応用統計学
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9 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 開原 成允
    1980 年 9 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    医学データを統計的に解析する時の問題を整理するために,臨床医学データの特徴とそれを解析する際の統計上の関連事項について考察を加えた.
    臨床医学データの特徴は複数の測定値が経時的なくり返しをもつ三次元のデータであるということで,かかるデータを解析する試みについて紹介した.ついで,臨床医学データの「不完全さ」として,正規分布をしないデータmissing value,censored data,restricted randomization等について,その問題点とその解決の試みについて述べ,応用統計学の立場からかかる研究の重要性を強調した.
  • 竹内 啓
    1980 年 9 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
  • 渋谷 政昭, 柳本 武美
    1980 年 9 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    安全性の統計的研究では非常に小さな反応率(確率)にたいする投与量(確率点)を求めなければならない.それには多かれ少なかれ補外に頼ることになるが,確率点の変化は模型(確率分布)によって異なり,補外の結果も想定した確率分布により左右される.
    ここでは,分布の裾の重さを比較する関数が確率点の変化と密接な関係をもっていることを示し,特に対数投与量の確率点の変化が,零近傍の投与量にたいする確率密度関数の様子によって定まることを示す.その結果,ある前提の下では1打撃模型(指数分布)から安全側の規準が導かれる,と言える.
  • 上坂 浩之, 後藤 昌司
    1980 年 9 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    臨床化学検査値の正常値あるいは正常範囲の設定に関する諸要因を整理するとともに,検査値データのとり扱いの1つの方法を展開した。
    まず正常値に関連する諸要因ならびにデータ解析に関連する諸事項を関連図としてまとめ以下の解析の指針を与えた.
    次にBox-Coxのベキ変換より導かれるベキ正規分布の定義と若干の性質を述べ,この分布に基づき検査値データの性と年令による変動を記述する方法を展開した.
    性と年令により2元分類されたデータに対し,ベキパラメータの一様性,変換されたデータにおける分散の一様性ならびに位置パラメータにおける性と年令の交互作用,年令効果,性と年令の効果の非存在の仮説系列を考え,情報量規準AICを用いて最適モデルを選択した.同時にベキパラメータの男女間での一様性を評価した.選ばれたベキパラメータに基づき,分布形状の類型化を行うとともに,性と年令の因子効果の評価の一例を示した.これらの解析を通して,検査値データの解析にベキ正規分布が有用であることを示した.
  • 伏見 正則
    1980 年 9 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    臨床実験においては,患者は逐次に実験に参加するのが普通であるから,可能ならば逐次実験法を用いるのが適当であろう.2種類の治療法の優劣を比較する場合,結論を下すまでに実験に参加してもらう患者の総数の期待値が少ないことが望ましいのはもちろんであるが,倫理的な観点からみれば,劣っている方の治療法を施される患者の数の期待値をできるだけ少なくすることは,さらに重要であるといえよう.
    このような要請にこたえるために,種々の逐次実験法が提案されてきた.なかでも,いわゆるplay-the-winnerサンプリング・ルールを用いる方式がよく研究されている.本論文では,このサンプリング・ルールに対して新しいストッピング・ルールを組み合わせて使う方式を提案し,既存の方式と比較する.その結果,本方式は既存のほぼ最良の方式と比べ遜色のないものであり,いずれの方式を採用するかは,治療法の平均的な有効度に応じて決めるのがよいことが示される.
  • 松原 義弘, 後藤 昌司
    1980 年 9 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    本論文では生存時間研究における回帰の方法として,生存時間と対象の付随特性を結びつける2つの回帰モデルを論じる.そのような状況での特徴ともいえる難点は観測される生存時間データに所謂中途打ち切り観測値が生じ,そのうえ生存時間が非負のためにその分布に独特の歪みが生じることである.
    従来,このような問題のモデルにはセンサード回帰や比例ハザード回帰モデルが考えられてきている.この種のモデルでは通常パラメトリックな生存時間分布が仮定され,パラメータの推定値は最尤法で求められるが,実践の場では適合度検定によってその基礎分布の選定が必要である.
    ここでは生存時問の分布形が未知である場合に,分布を適応的に規定できるベキ正規分布上での回帰モデルのあてはめを提示し,胃癌患者の治験データにこの方法を適用することでその有用性を示す.
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