臨床化学検査値の正常値あるいは正常範囲の設定に関する諸要因を整理するとともに,検査値データのとり扱いの1つの方法を展開した。
まず正常値に関連する諸要因ならびにデータ解析に関連する諸事項を関連図としてまとめ以下の解析の指針を与えた.
次にBox-Coxのベキ変換より導かれるベキ正規分布の定義と若干の性質を述べ,この分布に基づき検査値データの性と年令による変動を記述する方法を展開した.
性と年令により2元分類されたデータに対し,ベキパラメータの一様性,変換されたデータにおける分散の一様性ならびに位置パラメータにおける性と年令の交互作用,年令効果,性と年令の効果の非存在の仮説系列を考え,情報量規準AICを用いて最適モデルを選択した.同時にベキパラメータの男女間での一様性を評価した.選ばれたベキパラメータに基づき,分布形状の類型化を行うとともに,性と年令の因子効果の評価の一例を示した.これらの解析を通して,検査値データの解析にベキ正規分布が有用であることを示した.
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