1976年版AAPG Foreign Reprint Series Mo. 1, Geology and Oil Fields of Libya. Algeria and Tunisiaの中に挙げられているアルジェリアとリビアにおける6個の巨大油(ガス田)について,重要な石油地質学的特性20項目を一覧表に整理してみた所,興味ある問題を数多く発見した。しかしこの20項目を6油(ガス)田全部について満足させることができなかった所,加藤正和氏(石油開発公団)からお知らせをいただき1975年末現在の諸数値でもって,ほぼこれらの特性を考察することができるようになったので,誌上に掲載してご参考に供することにする。
本 Reprint series は AAPG Memoir 14(1970),16(1972),AAPG Bullettin 59(1975)等にすでに発表されたものの再録である。また加藤氏からいただいた情報については本表中に印を付して区別しておいた。
本表1に示す6油(ガス)田とは次の通りである。アルジェリアのハシメサウド(Hassi Messaud)油田,ハシエルメル(Hassi er R'Mel)ガス田,リビアのサリル(Sarir)油田,アマル(Amal)油田,アウギラ(Augila)油田およびゼルテン(Zelten)油田である。最後のゼルテン油田は現在ナセル(Nasser)油田と改名されている。
特性20項目は発見年,平均深度,油層岩,根源岩,帽岩,底岩,堆積層厚(新生代,中生代,古生代別に),構造,産油面積(またはクロージャー面積),油柱,孔隙率,滲透率,原始埋蔵量,坑井数(掘削井,採油井,密閉井,ガス圧入井別),主要井の日産量,原油比重,ガス油比,原始油層圧,油層温度および掃攻型である。
油田あるいは石油鉱床というものは,これらを生成した母体である堆積盆にその特性の大部分が原因しておるといっても過言ではなかろう。そして1つの堆積盆はそれぞれ共通した性質をもつた石油鉱床をつくって行く。北アフリカではアフリカという剛塊(Craton)の上に堆積が行なわれた。それは古生代以後5億年に亘っており,堆積速度はきわめてゆるやかであるが,広域に亘っておる。また造陸的な昇降運動がその間にはさまって,いくつかの堆積間隙,削剥が行なわれたし,大きな焼曲や,地塊の断裂がなされてはいるが,造山運動や褶曲構造といったものは見当らない。そのような堆積の場としては時に109kl級の原始埋蔵量をもつ巨大油田が形成される。しかもその生成期が古生代から新生代にまたがっていてまことに壮観といわねばならない。しかもこれらの地域はいわゆるるサハラ砂漠の真只中であり,近代の組織的調査は第2次世界大戦後はじめて実施された,いわば石油探鉱の処女地とも名付くべき所であって,探鉱,開発の歴史としてもきわめて興味深い地城である。以下順を追って説明を加えて行こう。
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