本報告でに,砕屑岩の正断層における断層岩の浸透率,シール能力,および断層の応力状態を評価する方法について,石油公団石油開発技術センターが開発した断層シール能力評価ソフトウェアFAULTAPを用いて報告する。Sorkhabi et al (2002)で報告した断層面の幾何学解析,シェールスミア解析の結果を用いて,これら石油のトラップに関連する断層岩物性の評価を行っている。
断層岩の浸透率や毛細管圧力などの物性について定量的に評価することは,断層シール能力評価や隼産層の管理のたあに重要である。経験的に,断層岩の浸透率は貯留岩の浸透率と比べて二桁ほど小さいことが知られている。砕屑岩の変形過程で断層に発達するシェールスミアは,断層岩の浸透率減少の最も効率的なメカニズムであろう。FAULTAPでは,断層岩の浸透率が,泥岩含有量,埋没深度,断層変位などと逆の相関にあること利用して断層岩の浸透率評価を行っている。また泥岩含有量と孔隙径の関係を利用して,断層岩の毛細管圧力や断層が保持できる炭化水素高を計算している。
断層シールの成否は,断層面での応力が大きく影響するため,正断層における最も簡単な原位置応力の推定方法として断層面でのスリップテンデンシーやダイレーションテンデンシーを求め評価している。シェールスミア解析や断層物性評価と統合することによって,断層シール能力や生産段階における断層による圧力バリアーなどの評価をより正確に行うことができる。
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