以上説明し來つた要點を摘記すれば次の如くである
I. オハ第3層,第9, 15號區に於る原油埋藏量は約2,200,000屯と推定し得る。而して埋藏量の分布を見るに,コントール線+5m~-5mに包まれた區域が最も多量で,この兩側は共に減少する。之は油層の表面積が狹くなる許りでなく,端水を含まぬ所の,油層の有効層厚が減少するからである。
II. 原油の回收量の最大なのは-15m~-25mの區域である。昭和12年度末迄の回收率は同區域では37.3%に達するが油層全體として見れば約20%である。
III. 産油減退率は-5m~-35m附近は急であるが, +15m~-5m附近は緩である。年毎に區域別に産油率を比較すると,最大率を示す區域は年々背斜頂部に移動し來る。
IV. 油層全體として回收率を37%と假定するならば,今後尚37萬屯を採油し得るが,殘油量は約140萬屯となる。
V. 坑井の表面密度は大體6,000平方米に就き1坑井の割合であるが,背斜頂部では10,000平方米に就て1坑井の割である。然し回收率と坑井密度との關係は油層表面積に對する坑井密度ではなくして,油層容積に對する密度として考へねばならぬ。最終の回收率は坑井の容積密度に比例するが如き豫想が與へられる。又油層が厚い所では薄い所に比し坑井數を増加すべきことも自ら結論せられる。
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