一時的または断続的に利用される一時預かり事業では,子どもは不慣れな保育環境や親しみが浅い保育者,流動
的な友人関係の中で過ごすため,情緒が安定しない場合もある。そのため一時預かり担当保育者には,子どもの
情緒を早期に安定へ導く専門性が必要となる。本研究では,一時預かり担当保育者が,保育の中で情緒が安定し
ない子どもを「抱っこ」する際の判断と,その背景にある専門性の一端を明らかにする。研究方法では,トービ
ン(1988, 1989)の Video– cued Multivocal Ethnography を使用した。一時預かり事業で行われる保育を動画撮影し,
後日,それを視聴しながら保育者へのインタビューを実施した。収集したインタビューデータについては,質的
データ分析の手法である Steps for Coding and Theorization(SCAT)を使用して分析した。その結果,一時預かり
担当保育者は子どもの情緒を安定に導くために,①子どもの家庭文化に保育方法を合わせること,②子どもの選
択による緩やかな担当制をとっていること,③子ども理解と自らの保育の意図を言語化し,同僚に伝えながら保
育を営んでいることが明らかとなった。
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