第四紀研究
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48 巻 , 3 号
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「第四紀後期の気候変動と地球システムの挙動—その原因とメカニズムの解明に向けて—」特集号
  • 本山 秀明
    2009 年 48 巻 3 号 p. i
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/04/28
    ジャーナル フリー
  • 中川 毅, 奥田 昌明, 米延 仁志, 三好 教夫, 竹村 恵二
    2009 年 48 巻 3 号 p. ii
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/04/28
    ジャーナル フリー
  • 三浦 英樹
    2009 年 48 巻 3 号 p. 103-108
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    海底,湖沼,氷床や炭酸塩堆積物のコア記録から得られる高時間分解能データは,第四紀後期の気候変動や地球システム変動の原因とメカニズム研究を明らかにする上で,大きな役割を果たしている.さらに,高時間分解能データは,地域の自然の特性や多様性を明らかにし,地球規模の変動に与える地域の役割を考察する上でも,新たな視点を与えるに違いない.
  • 川村 賢二
    2009 年 48 巻 3 号 p. 109-129
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    第四紀後期の古気候研究において,氷床コアは重要な役割を果たしてきた.特に,南極やグリーンランドで深層掘削された氷床コアからは,温室効果気体の濃度が氷期—間氷期の気候変動を強める方向に変動したことや,氷期の間には急激な気候変動が幾度も起こっていたことを明らかにしてきた.日本が独自に掘削したドームふじ氷床コアからは,気泡の酸素濃度(O2/N2)が現地の夏期日射量を物理的メカニズムにより記録していることを用いて,そのオービタルチューニングにより,過去34万年間にわたる年代決定の精度を2,000年程度へと飛躍的に高めることに成功した.この年代は,地球軌道要素からの強制力に対する,グローバルな環境変化のタイミングの把握と,メカニズムの理解に向けた有力な手がかりを与える.ここでは,南極氷床コアから氷期—間氷期変動のメカニズムを考察するために必要となる,気候変動とCO2変動との関係や,南極の気候変動と他地域の変動との関係,時間スケールの異なる変動間の関連など,筆者がNatureに掲載した論文では省略せざるを得なかった多くの点を含めて解説する.異なる時間・空間スケールの変動を総合的・有機的に捉えることで,南極の気候変動のタイミングが10万年周期の氷期—間氷期サイクルに関するミランコビッチ理論と整合的であることを示す.今後は,第2期ドームふじ氷床コアにより,正確な年代をさらに延ばしていくことと,間氷期前後の詳細な解析が重要になる.
  • 大河内 直彦
    2009 年 48 巻 3 号 p. 131-142
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    南極縁辺海の堆積物中には,南極氷床の消長の歴史が刻まれていると考えられている.しかし,通常放射性炭素年代測定に用いられる有孔虫が堆積物中に含まれないことと,その代わりに用いられる堆積物中の有機物に南極大陸起源の古い(放射性炭素を含まない)有機物が多様な割合で混入しているため,南極縁辺海の堆積物の正確な年代決定は実質上不可能であった.筆者はこの問題を解決するために,ロス海で得られた堆積物中に含まれるC14, C16, C18脂肪酸を単離・精製し,その放射性炭素年代を測定した.表層堆積物の分析結果は海洋表層のリザーバー年代とよい一致を示し,堆積物の深度方向の分析結果は生物擾乱の記録と,徐々に増加する年代を示した.この分析結果は,化合物レベル放射性炭素年代法が南極縁辺海の堆積物の正確な年代決定に利用できる可能性を示している.本稿では,化合物レベル放射性炭素を用いた堆積物の年代決定の理論的基礎について解説する.
  • 吉森 正和, 阿部 彩子
    2009 年 48 巻 3 号 p. 143-162
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    古気候研究には,純粋な学問的興味の枠組みを超えて,現在進行している,あるいは将来起こりうる気候変化に対して,現実に起きた事実に基づいた知見を提供するという重要な役割がある.将来の地球の平均気温がどのくらい変化するかを表す気候感度の推定,およびその不確定性の評価もその1つと考えられる.本稿では,まず古気候情報を利用した気候感度の制約の意義を述べ,最も基本的な概念である放射強制力,気候感度を決める放射フィードバック過程について解説する.その後,第四紀の気候変化を利用した気候感度の推定と制約について,間接指標によるもの,気候モデルと復元された古環境の比較によるもの,物理アンサンブル実験を用いるものの3つに分けてこれまでの研究をまとめる.さらに,過去と将来の気候感度の関係について,フィードバック過程を通して論じた研究を紹介する.これらの研究における問題点や今後の可能性についても言及する.
  • 川幡 穂高
    2009 年 48 巻 3 号 p. 163-177
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    風送塵の生産・運搬は気候システムに影響されるが,逆に,放射強制力あるいは生物生産などを通じて気候にも影響を与えている.地球的規模での風送塵の生産量は1,700 Tg yr−1と推定されており,アフリカ大陸起源が66%程度で,風成塵の海洋への沈積流量は450 Tg yr−1で,河川からの粒子状物質流量の3%となる.外洋域への石英砂やアルミノ珪酸塩の運搬では,風送塵の役割が重要となる.砂漠の風送塵は直径が0.1~10 μmで,中心粒径2 μmが卓越している.風送塵の生産は,一般に風速の3乗に比例する.風送塵の滞留時間は通常数時間から数週間で,何千kmという単位で輸送される.しかし,風送塵の堆積過程あるいは大気中の濃度は不均一性が高く,実質的に1日程度という時間スケールで大きく変化している.風送塵の生産・運搬には,その地域の気候が大きく反映する.太平洋中央部の堆積物柱状コアの解析より,風送塵の沈積流量は過去20万年間で156~732 mg cm−2kyr−1まで変化した.基本的に,沈積流量の極大は氷期に,低い値は間氷期にみられた.炭素循環への影響では,炭酸塩および主要栄養塩であるリンについてはほとんど影響を及ぼさないが,鉄あるいはケイ素について,生物生産あるいは珪藻の生産に相当量の影響があると考えられる.南極氷床を掘削したVostokコアの解析では,大陸起源風送塵含有量は間氷期で50 ng g−1,氷期で1,000~2,000 ng g−1と大きく変動し,海洋深層循環とリンクしたパタゴニアの気候を反映したものと解釈されている.また,エアロゾルによる放射強制力への影響は,直接効果で−0.5 [±0.4] W m−2,雲をつくるなどの間接的効果は−0.7 [−1.1, +0.4] W m−2と推定されているが,誤差が大きい.
  • 原田 尚美, 木元 克典, 岡崎 裕典, 長島 佳菜, Timmermann Axel, 阿部 彩子
    2009 年 48 巻 3 号 p. 179-194
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    日本を含めた東アジアの気候変動に影響を及ぼすオホーツク海,ベーリング海,日本海などの縁辺海を含む北西部北太平洋域において海底堆積物を採取し,そこに記録された大気循環,表層環境から中・深層まで,急激に生じた海洋環境変化を代替指標(プロキシー)を用いて復元した.
    日本列島東方海域(38~45°N, 163~170°E)の海底堆積物に記録された表層水温(SST)変動から,完新世と最終氷期における亜寒帯前線帯の位置を比較した.その結果,緯度方向のSST勾配から推測される亜寒帯前線帯は,最終氷期最寒期(LGM)には現在よりも緯度で数度程度南下していたことが示唆された.前線帯の南北移動については,偏西風ジェット軸の南北移動と密接に関連している可能性がある.さらに,オホーツク海および日本海堆積物の記録によると,SSTや偏西風ジェット軸は,氷期—間氷期スケールよりもさらに短い周期のダンスガード-オシュガーサイクルとほぼ同期して変動していることがわかった.大西洋と太平洋間の気候変動伝播メカニズムとして,偏西風(惑星波)などの中・高緯度の大気経由による伝播の可能性が示唆される.
    一方,下北沖周辺の北西部北太平洋における約980~1,300 m深の堆積物の記録によると,融氷期のHeinrichイベント1寒冷期(H1 : 17.5~14.6 ka)における中層水循環年齢は,現在よりも600~700年ほど若く,中・深層の対流が活発になっていたと報告されている.以上の海底堆積物に記録されたプロキシーの記録から,(1) 北太平洋中高緯度域の海洋表層環境は,偏西風軸の南北移動の影響を大きく受けていること,(2) 大西洋高緯度域と太平洋中高緯度域気候変動の同位相性を説明するには,偏西風などの中・高緯度大気循環を介した伝播機構が重要であること,さらに (3)融氷期に代表される1,000年スケールの気候変動に連動して,海洋表層環境の変動から中・深度層循環へと変化が随所に現れている様子が明らかとなってきた.このような中・深度層循環を変化させる要因を明らかにするために,3種類の古気候モデルを用いて北大西洋高緯度域で強制的に大量淡水供給を起こす「water hosing実験」によってH1を再現し,プロキシーの結果から推測される伝搬メカニズムの検証を行った.その結果,H1では太平洋表層環境が寒冷化し,中・深層における対流が活発化することがモデルによっても再現され,メカニズムの解明にはプロキシーとモデルの連携研究が重要であることが明らかとなった.
  • 山本 正伸, 五十嵐 八枝子, 大場 忠道
    2009 年 48 巻 3 号 p. 195-206
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    北太平洋亜熱帯循環がどのように軌道強制力に応答しているかを記述し,その応答過程を熱帯大気海洋ダイナミクスの観点から考察する.また,軌道時間スケールにおいて,亜熱帯循環と熱帯大気海洋ダイナミクス,東アジアモンスーンの三者がどのように関連して変動しているかを記述する.過去15万年間における,茨城県鹿島沖MD01-2421コア古水温と,カリフォルニア沖の1014地点と1016地点の古水温差(北東太平洋水温差)とは,ともに2.3万年周期で変動し,両者の変動は逆位相である.鹿島沖の水温が低いとき(黒潮続流・親潮境界の南下,黒潮続流の弱化)に,北東太平洋水温差は大きく(カリフォルニア海流の弱化)なり,北太平洋亜熱帯循環強度が歳差運動に応答して変動していることが示唆される.この亜熱帯循環変動は,中国鍾乳洞の石筍酸素同位体比やMD01-2421コア花粉温度指標にみられる東アジア夏季モンスーン変動に対して,2,500~4,000年遅延している.それは東アジア夏季モンスーンと熱帯大気海洋ダイナミクスの相互作用のあり方が,歳差運動に応答して変化するためと考えられる.
  • 中川 毅, 奥田 昌明, 米延 仁志, 三好 教夫, 竹村 恵二
    2009 年 48 巻 3 号 p. 207-225
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    過去におけるモンスーン変動のパターンを復元するための代表的な試料として,中国のレス古土壌堆積物と鍾乳石をあげることができる.だが,前者が主としてモンスーンと氷期・間氷期サイクルの密接な結びつきを示唆するのに対し,後者においては太陽放射の直接の影響の方が卓越するなど,両者の間には本質的に解決されない矛盾が存在していた.著者らは,琵琶湖の堆積物コアの化石花粉データを用いて,季節ごとの気候を過去45万年にわたって定量的に復元することで,この矛盾を統合的に説明することを試みた.その結果,シベリアと太平洋の気団の温度はいずれも氷期・間氷期サイクルに応じて変動するが,海陸の温度傾度においてはそのような変動が相殺され,むしろ太陽放射の直接の影響の方が卓越することがわかった.また海陸の温度傾度はモンスーンの直接の駆動力であるため,夏モンスーンの強度も太陽放射の変動周期に同調して(すなわち,主として23,000年の歳差運動周期で)変動していた.ただし,太陽放射の振幅が十分に大きくない時代においては,モンスーンは氷期・間氷期サイクルの方に連動する傾向が見られた.本稿では,これらの事実を総合的に説明することのできる,きわめて単純なモデルについて解説する.またモンスーンが海洋の表面温度の分布に及ぼすかもしれない長期的な影響,ならびにレス古土壌堆積物が内包している,モンスーンの記録計としての問題点についても言及する.
  • 三浦 英樹
    2009 年 48 巻 3 号 p. 227-240
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
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