第四紀研究
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49 巻 , 4 号
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論説
  • 上中 央子, 大庭 重信, 宮本 真二
    2010 年 49 巻 4 号 p. 191-200
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    大阪市長原遺跡NG02-8次調査地点で検出された奈良時代の畠状遺構の耕地利用を検討するために,花粉・種実分析を行い,さらに近接の長原遺跡NG03-5次調査地点と瓜破遺跡UR00-8次調査地点の畠状遺構の分析結果の比較を行った.長原遺跡NG02-8次調査地点では,湿潤環境を示す分類群が卓越しており,イネの炭化種子が産出し,イネ属花粉の産出率が高いことから,遺構では水稲耕作が行われた可能性が高い.比較地点の長原遺跡NG03-5次調査地点では,乾燥環境のもとで陸稲が栽培された可能性があり,瓜破遺跡UR00-8次調査地点では,湿潤環境のもとで水稲耕作が行われたと推定した.これらの結果は,遺構における乾湿環境の違いをはじめ,遺跡の立地条件や遺構の形態の違いからも,それぞれ耕地利用の目的が異なっていた可能性があり,畠状遺構が必ずしも畠作を目的としたものとはいえないことを示している.
  • 船引 彩子, 春山 成子, ディン タイ・フン
    2010 年 49 巻 4 号 p. 201-218
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    三重県雲出川デルタ平野は伊勢湾に面する河川—波浪卓越型のデルタである.本研究では,ボーリングコアKM01, KM02より,雲出川デルタにおける沖積層の発達史を検討した.両コアの堆積相は,下位より最終氷期最盛期後の河成堆積物,エスチュアリー堆積物,プロデルタ堆積物,デルタフロント堆積物と現世の河成堆積物からなる.最大海氾濫面はエスチュアリー,デルタ性堆積物境界に位置し,その年代は約7 cal kyr BPである.
    また本研究と既往研究に基づき,完新世を通じた雲出川デルタの前進モデルが得られた.最終氷期最盛期に形成された開析谷は,9 cal kyr BPまで河成堆積物によって埋積され,9~7 cal kyr BPにはエスチュアリーの環境へと変化した.最大海氾濫面の発達した7 cal kyr BP頃には,現在の海岸線より約4 km内陸にあるKM02地点にまで海岸線が到達し,約2 km内陸のKM01地点ではデルタフロントを伴う雲出川デルタが形成された.雲出川デルタは6 cal kyr BP頃までには開析谷をほぼ埋積して伊勢湾に直接面するようになり,6~4 cal kyr BPと3~0 cal kyr BPにはおもに北東方向に,4~3 cal kyr BPには南東方向に舌状のデルタを前進させた.
短報
  • 垣内 佑哉, 堤 浩之, 竹村 恵二, 鈴木 毅彦, 村田 昌則
    2010 年 49 巻 4 号 p. 219-231
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    琵琶湖西岸北部泰山寺野台地に分布する河成段丘面の対比・編年を行い,琵琶湖西岸断層帯上寺断層の活動による段丘の隆起速度を明らかにした.空中写真判読および現地調査に基づき,段丘面を饗庭野I面,泰山寺野I~IV面,奥山面,中野面に分類した.露頭観察,パーカッション採土器を用いた段丘面被覆土壌の試料採取および火山灰分析により,段丘面上の風成層中に鬼界アカホヤテフラ(K-Ah),姶良Tnテフラ(AT),鬼界原テフラ(K-Tz)の層準を検出した.その結果,饗庭野I面は160~200 ka, 泰山寺野I面は105~140 ka, 泰山寺野II面は95~130 ka, 泰山寺野III面は90~100 ka, 泰山寺野IV面は60~80 ka, 奥山面は25~30 kaにそれぞれ形成されたと推定した.各段丘面と沖積面の比高を段丘面の年代で除して,段丘面の隆起速度を求めたところ,すべての段丘面が0.6~1.2 mm/yrの範囲に収まった.このことにより,泰山寺野I面形成以降,上寺断層の活動によって,断層の上盤側の地形面は,ほぼ一定の速度(0.6~1.2 mm/yr)で隆起してきたと考えられる.
資料
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