静岡県下田市大浦湾奥の海食台で,離水した海生固着動物の遺骸が付着した巨礫を発見した.巨礫の長軸,中軸,短軸はそれぞれ3.4m, 2.5m, 2.5mで,重量は約32tと推定される.巨礫の陸側に傾いた平坦面の標高約0.7〜2.2mに遺骸が見られ,フジツボ類を主体とし,
Pomatoleios kraussiiの棲管と
Saccostrea kegakiなどを随伴する.それらの
14C年代測定の結果,最も若い年代値(2
σ)は西暦1720年〜1950年を示すことが分かった.この年代値と海生固着動物の生態および歴史記録から,巨礫は西暦1854年の安政東海地震に伴う津波によって転動した津波石と推定される.
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