第四紀研究
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59 巻, 1 号
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論説
  • 白濱 吉起, 細井 淳, 小松原 琢
    2020 年 59 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/20
    ジャーナル フリー

    東北日本に位置する横手盆地東縁断層帯北部を構成する断層は前縁断層と境界断層に分類され,境界断層から前縁断層へと逆断層運動場が転移したことが知られている.我々は前縁断層である白岩断層帯周辺の調査により,真昼山地西縁の白岩断層に並走する境界断層北端において,前期更新世に堆積したと推定される栗沢層を切断し変形させる断層帯が露出した大規模な断層露頭を発見した.詳細な観察の結果,断層露頭では,栗沢層の下部ほど大きく変形しており,上部ほど変形が小さくなる様子が認められた.これは,境界断層が栗沢層堆積期の前期更新世に活動していたことや,栗沢層堆積中に断層の活動が収束していったことを意味する.断層露頭では2~3列の南北方向に延びる逆断層帯が認められた.境界断層が活発に活動していた時期には,活動前線の小規模な転移が繰り返されていた可能性がある.

  • 白井 正明, 宇津川 喬子, 渡辺 万葉
    2020 年 59 巻 1 号 p. 17-29
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/20
    ジャーナル フリー

    静岡県安倍川上流域では,1707年の宝永地震の際,大谷崩の大規模崩壊により発生した土石流堆積物が谷を埋めたとされる.土石流堆積物の分布と礫の配列から,大規模崩壊前の安倍川の谷は山地内を穿入蛇行しており,その谷が土石流堆積物に埋積された結果,安倍川の水流が一時的に谷底との高度差を失った頁岩の尾根を越えてショートカットし,赤水の滝の原型が形成されたことを明らかにした.赤水の滝以外にも安倍川上流部にいくつか存在する谷の狭窄部は,土石流堆積物によって安倍川谷が埋め立てられたことによって,流路が元の谷軸とは大きくずれ,そのまま基盤の頁岩斜面を下刻したために形成されたものである.また堆積物の記載と地形断面図の検討の結果からは,赤水の滝の約500m下流では,大規模土石流が既にハイパーコンセントレイテッド流に遷移していたと推測される.

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