本研究の目的は,Rowlands(2019)の片親疎外尺度(RPAS)を参考に,日本で使用できる離婚をした親を対象とした片親疎外を測定する尺度(PASPJ)を作成し,信頼性,妥当性を検証することであった。離婚経験があり,別れた相手との間に15歳以下の子どもがいる648名を対象に,PASPJ暫定項目,親子関係,人生に対する満足について調査を実施し,265名(男性73名,女性192名)を分析対象者とした。PASPJ暫定項目の因子分析を行ったところ,「親に対する肯定的な感情の欠如」「借り物のシナリオ」「もう一方の親に対する無条件で無批判なサポート」「中傷活動」「独立した思想家」の5因子が抽出された。居住形態と性による2要因分散分析を行ったところ,「親に対する肯定的な感情の欠如」「借り物のシナリオ」「もう一方の親に対する無条件で無批判なサポート」において別居親の方が同居親よりも得点が高いことが示された。またPASPJの5得点と親子関係尺度(久和・梁, 2006),人生に対する満足尺度(角野, 1994)との相関を算出したところ,「親に対する肯定的な感情の欠如」「借り物のシナリオ」「もう一方の親に対する無条件の再帰的サポート」「中傷活動」は予想された関連を示したが,「独立した思想家」は予想と反した関連を示した。これらから,「独立した思想家」を除く4下位尺度で構成されたPASPJを開発した。
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