離婚・再婚家族と子ども研究
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4 巻
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巻頭言
投稿論文
  • 黒澤 泰
    2022 年 4 巻 p. 2-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー
    異性関係や暴力の問題は離婚につながりうる。これら夫婦が経験するネガティブなライフイベントはある夫婦では経験するが,他の夫婦では経験しないものである。また,結婚満足度と人生満足度は離婚と関連するため,低下 / 向上に影響を与える要因の特定は重要である。本研究の目的は,1)子育て期夫婦におけるネガティブなライフイベントの実態の解明,2)結婚満足度の低下 / 向上につながる要因の同定,3)人生満足度の低下 / 向上につながる要因の同定,の三点である。2019 年に 4 つの施設(2 つの幼稚園と 2 つの認定こども園)の協力を得て質問紙調査を行い,192 名(父親 79 名,母親 113 名)の未就学児を育てる父母のデータを分析対象とした。分析の結果,1)現在婚姻を継続している夫婦でも,一定数の割合の夫婦がネガティブライフイベントを経験していること,2)結婚満足度の高さは関係内スト レッサーの低さと関係内サポートの高さによって予測されること,3)人生満足度の低さは,関係内ストレッサーの高さにより予測されることが明らかとなった。
  • ――母親のソーシャルサポートおよび母親による子どもの意思・様子確認の調整効果の検討――
    直原 康光, 安藤 智子
    2022 年 4 巻 p. 18-31
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,離婚後の母親の面会交流の受けとめと母親のゲートキーピングとの関連を検討するとともに,「母親のソーシャルサポート」および「母親による子どもの意思・様子確認」の調整効果について検討することであった。離婚して小学校4 年生から中学校3年生の子どもと同居する母親を対象とした質問紙調査を行い,167 名を分析対象とした。階層的重回帰分析の結果,母親の面会交流の受けとめである「子どもや自身の安全への懸念」は,母親のソーシャルサポートが低い場合にのみ,面会交流の制限につながっていた。また,「再婚にあたっての懸念」は,「母親による子どもの意思・様子確認」が低い場合のみ,面会交流の促進を低下させていたことなどが明らかになった。考察では,「母親のソーシャルサポート」,「母親による子どもの意思・様子確認」の重要性と実践への示唆について検討した。
  • 柏木 舞, 髙坂 康雅
    2022 年 4 巻 p. 32-46
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,Rowlands(2019)の片親疎外尺度(RPAS)を参考に,日本で使用できる離婚をした親を対象とした片親疎外を測定する尺度(PASPJ)を作成し,信頼性,妥当性を検証することであった。離婚経験があり,別れた相手との間に15歳以下の子どもがいる648名を対象に,PASPJ暫定項目,親子関係,人生に対する満足について調査を実施し,265名(男性73名,女性192名)を分析対象者とした。PASPJ暫定項目の因子分析を行ったところ,「親に対する肯定的な感情の欠如」「借り物のシナリオ」「もう一方の親に対する無条件で無批判なサポート」「中傷活動」「独立した思想家」の5因子が抽出された。居住形態と性による2要因分散分析を行ったところ,「親に対する肯定的な感情の欠如」「借り物のシナリオ」「もう一方の親に対する無条件で無批判なサポート」において別居親の方が同居親よりも得点が高いことが示された。またPASPJの5得点と親子関係尺度(久和・梁, 2006),人生に対する満足尺度(角野, 1994)との相関を算出したところ,「親に対する肯定的な感情の欠如」「借り物のシナリオ」「もう一方の親に対する無条件の再帰的サポート」「中傷活動」は予想された関連を示したが,「独立した思想家」は予想と反した関連を示した。これらから,「独立した思想家」を除く4下位尺度で構成されたPASPJを開発した。
  • ――複線径路等至性アプローチを用いた分析を通じて――
    隅田 玲
    2022 年 4 巻 p. 47-67
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,離婚・別居前後のコペアレンティングを巡る父母間の合意形成過程に着目し,父母がコペアレンティングを選択していくプロセスを明らかにすることで,離婚後の安定的なコペアレンティング関係を築く上での要素を検討することを目的とした。離婚・別居を経験し現在も未成年の子どもと別居親とが関わりを維持している父母14名を対象に半構造化面接によるインタビュー調査を実施し,その結果を複線径路等至性アプローチ(TEA)を援用して分析した。結果,コペアレンティングの選択に至る多様な径路が明らかになるとともに,径路の違いがその後のコペアレンティング関係の安定具合に影響する可能性が示唆され,コペアレンティング関係の再構築に向かう上での初期プロセスの重要性が確認された。さらに,家族にとってのコペアレンティングの意義を父母で共有していくプロセスや,取決めのプロセス自体の納得性を重視した在り方が,離婚後の父母の安定的なコペアレンティング関係の構築に資する可能性が示唆された。
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