本研究は,メラトニン投与による象牙芽細胞や象牙質の組織構造及び石灰化への影響を解析することを目的とした.またメラトニン受容体の局在を免疫学的に検索することも目的とした.本研究には出生後5日,6日,7日齢のSDラットを用いた.これらのラットを,①対照群,②メラトニン低濃度群,③メラトニン高濃度群の3群に区別した.対照群よりメラトニン投与群では石灰化球の大きさが増大していた.メラトニン投与群ではコルフの線維が明瞭かつ長く分布していた.また象牙芽細胞数に増加傾向があった.メラトニン受容体MT2は象牙芽細胞での発現が認められ,メラトニン投与によりMT2はより強く発現していた.MELDI TOF-MS分析では象牙質に852m/z前後のピークが認められ,メラトニンの量に比例して強度が増していた.このピークはI型コラーゲンの分解されたペプチドと推察される.メラトニンは象牙芽細胞を活性化し,コルフの線維の形成や基質のコラーゲン線維分泌や象牙質の石灰化を促進すると考えられる.
光毒性は,光が原因となって発生する生体に不都合な作用全般を指す.ここでは,ヒトを含む動物に投与された化学物質と光の相互作用で生体に不都合な作用と解釈する.皮膚反応に限局する光毒性は光刺激性(photoirritation)と呼ばれる.最初の被験物質と光の暴露とは異なり,1∼2週間後の再暴露で免疫反応である光アレルギー(photoallergy)と呼ばれる.さらに光遺伝毒性(photogenetoxicity)や光変異原性(photomutagenicity)も存在する.また,被験物質と光の暴露による光発がん性(photocarcinogenicity)も知られている.さまざまな光毒性を誘発する化学物質やその評価法について説明し,光毒性と組織再生の融合について提案する.
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