日本再生歯科医学会誌
Online ISSN : 1880-0815
Print ISSN : 1348-9615
ISSN-L : 1348-9615
4 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
総説
  • -トレシルクロリド法によるチタン表面への細胞接着タンパク質固定の試み-
    早川 徹
    2007 年 4 巻 2 号 p. 87-98
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/09
    ジャーナル フリー
    チタンインプラントの生体適合性を向上させるために,細胞接着タンパク質を固定化する手法が幾つか報告されている.著者らは,簡便かつ確実な固定化法としてトレシルクロリド(2,2,2-トリフルオロエタンスルフォニルクロリド,CF3CH2SO2Cl)を用いる手法を開発した.チタン表面に液体であるトレシルクロリドを直接塗布し,37°Cで2日間放置するだけでチタン表面がトレシル化される.その後,細胞接着タンパク質溶液にトレシル化チタンを浸漬するだけで,チタン表面に細胞接着タンパク質が固定化される.水晶発振子マイクロバランス法,モデル化合物での分子軌道計算などからトレシルクロリド処理の効果を確かめた.また,細胞接着タンパク質固定化チタンへの細胞の初期付着状態を調べ,その効果を確認した.今後,トレシルクロリド法はチタンフィバーメッシュなど再生医療のための3次元スキャホールドへの適応が期待される.
原著論文
  • 相川 文子, 塗 小麗, 隈部 俊二, 陳 志良, 岩井 康智
    2007 年 4 巻 2 号 p. 99-108
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/09
    ジャーナル フリー
    細胞増殖・分化を誘導する因子として化学的刺激の一つで侵害刺激と考えられているカプサイシンに注目し,ラット骨髄由来細胞をカプサイシン添加培地中で培養し,細胞の分化誘導に適当なカプサイシン濃度を検討した.カプサイシン受容体であるTRPV1はカルシウム透過性陽イオンチャネルでカプサイシンだけでなく,熱や酸,脂質により活性化される.この受容体は主に侵害受容神経に発現し,炎症性痛覚過敏を誘発するが,これまで骨髄由来細胞でTRPV1が発現したという報告はみられない.今回の実験で培養細胞からcDNAを抽出し,TRPV1 mRNAの発現を確認した.TRPV1 mRNAの発現はカプサイシン添加群でのみ認められ,対照群では認められなかった.これにより骨髄由来細胞においてカプサイシンの添加によりTRPV1 mRNAの発現が誘導されることが示唆された.
  • 布施 恵, 早川 徹, 竹内 麗理, 根深 研一, 若井 広明, 福本 雅彦, 牧村 正治
    2007 年 4 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/09
    ジャーナル フリー
    近年,わが国において著しい糖尿病患者の増加が認められる.糖尿病患者は重度の歯周病を併発しやすく,歯牙の喪失にいたる場合が多いので,糖尿病患者に対するインプラント材料への細胞レベルでの挙動を知る必要性があるのではないかと考えられる.しかし,今までに糖尿病患者由来の細胞を用いてチタンに対する初期付着や増殖を調べた報告はほとんどない.そこで,今回われわれは糖尿病患者由来歯肉線維芽細胞のチタンプレートへの初期付着について検討した.チタンプレートに細胞接着タンパク質であるコラーゲンType?Tでコーティング処理してその効果を調べた.その結果,非尿病患者由来歯肉線維芽細胞ではコラーゲンコーティングによりチタンへの初期付着数が向上したが,HbA1c9%の高血糖状態で得られた糖尿病患者由来歯肉線維芽細胞に対してはチタンプレートへのコラーゲンコーティングは初期付着向上に効果的でないことが判明した.
feedback
Top