日本再生歯科医学会誌
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7 巻, 1 号
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原著論文
  • 布施 恵, 早川 徹, 小崎 政博, 石倉 和明, 市村 真奈, 續橋 治, 深津 晶, 福本 雅彦, 牧村 正治
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 7 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/02/08
    ジャーナル フリー
    現在,使用歯科臨床において,ポリ乳酸(PLA)などの生分解性材料は,GTRやGBRメンブレンとして広く使用されている.しかし,これらのメンブレンには細胞の接着を促進させるような生理活性機能はない.また細胞を欠損組織内部に配置させる様な3次元多孔体構造ではない.
     本研究ではPLA多孔体をポロジェン法と凍結乾燥法を組み合わせて作製した.作製したPLA多孔体にアルカリ加水分解処理を施して,脱水縮合剤によって細胞接着タンパク質であるコラーゲンを固定化し,ヒト歯肉由来線維芽細胞の付着に及ぼす影響を調べた.その結果,アルカリ処理を1時間行ってコラーゲン固定したメンブレンでは,細胞の初期付着数が増加する事が確認できた.
  • 平山 明彦, 吉成 正雄
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 7 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/02/08
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to clarify the possibility of continuous measurement on cell proliferation and calcification using a scintillator-incorporated culture plate (Cytostar-T). Mouse osteoblast-like cells (MC3T3-E1) were cultured using culture plates (Cytostar-T) with culture media including two nuclides (3H-thymidine and 45CaCl2), followed by continuous measurements of 3H and 45Ca were performed in the same well for 21 days using a micro-plate scintillation counter. The results showed it was possible to measure both cell number and the amount of calcification simultaneously and continuously. These results indicate that measurement using a scintillator- incorporated culture plate is promising method with improving the efficiency of the cells, the reagents and the materials used in vitro tests.
  • 牧村 英樹, 菊地 信之, 西谷 知子, 染井 千佳子, 河野 哲朗, 木村 功, 村上 修一, 長濱 文雄, 和田 守康
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 7 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/02/08
    ジャーナル フリー
    審美面から手術後の切開線の瘢痕形成を避けることが望まれる.根尖周囲の外科手術において切開線の設定と術後の瘢痕形成の関連を評価した.根尖周囲の外科手術が必要とされた全身疾患のない59名の患者を対象とした.切開線を弧状切開およびLuebke-Ochsenbein切開とした.縫合はOval-M® (6-0, ポリプロピレン)を使用し,かがり縫い法を行なった.術後2週間と1か月の瘢痕形成を比較した.その結果,Luebke-Ochsenbein切開では術後1か月ですべての症例で瘢痕が見えにくくなった.今回の研究結果からLuebke-Ochsenbein切開しOval-M®を使用してかがり縫い法を行なえば術後の瘢痕ができないことが示唆された.
  • 大久保 厚司, 井上 正朗, 松永 常典, 辻本 真規
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 7 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/02/08
    ジャーナル フリー
    目的 :日本では白色のMTA / ProROOT MTA®が販売されている.ProROOT MTA®に超微量に含有されている石灰化を阻害する可能性のある超微量元素や亜砒酸ならびにpHの問題が関与する歯髄組織の炎症反応に対して評価する必要性がある.
    材料および方法 : 患者の同意を得て,歯列矯正と半埋伏歯智歯の要抜歯に無菌的な機械的露髄をおこなった後,2%NaClOで止血した後,無菌綿球で乾燥し,ProROOT MTA®で覆髄をおこない,2週と4週の組織学的再生にH-E染色ならびに歯髄神経再生にS-100免疫陽性反応によりヒト歯髄組織再生を検討した.
    結果および考察 : ヒトでは条件が異なるため組織学的な経時比較はできないが,結果は2週検体では覆髄したProROOT MTA®直下の歯髄組織にデンティンブリッジ形成や歯髄神経の再生はほとんど見られず,MTA粒子の周囲には充血は認められなかった.4週検体では約200µm幅の形成された骨様もしくはセメント質様のデンティンブリッジ層を認め,石灰化層直下の界面は正常な歯髄組織と象牙芽細胞が回復しつつある.2週像では全く認められなかったシュワン細胞は4週では石灰化層直下から再生しているような像が数多くみられた.本検体の2週像と4週像でもヒト歯髄組織に溢出したMTA粒子周辺に充血や組織変性が認められなかったことより,超微量の亜砒酸やアルカリpHはヒト歯髄組織の影響を及ぼさない程度で生体調節されていくと考える.また,これらの検体から歯髄神経再生と象牙芽細胞に関連性があるように思えた.
  • 三島 弘幸, 北原 正大, 宮元 沙織, 田中 和夫, 大久保 厚司, 西野 彰恭, 大野 由香, 中石 祐子, 野村 加代, 和食 沙紀, ...
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 7 巻 1 号 p. 34-46
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/02/08
    ジャーナル フリー
    本研究では男性と女性の10~70歳代の歯肉縁下歯石を用いて,男女の性差や加齢変化に伴う組織構造及び組成変化の比較検討を行った.歯石は男女共に10~60歳代までは白色が多く,70歳代では黄色が多かった.内部構造では,女性で層状構造が明瞭で内・中・外層において色の違いがみられた.内部の結晶形態では,男女共に10~20歳代では球形を呈し,30~70歳代では不定形な形を呈していた.顆粒径は男女共に10歳代が一番小さく,40歳代が最大でそれ以降からは徐々に小さくなっていった.EPMA分析では構成元素の含有量の多い順からCa,P,Na,Mgとなっていた.Ca/P比では,男女共に10,20,40歳代と比べて70歳代の方がCa/P比が高かった.層状構造している歯石において,EPMAの線分析では明帯と暗帯において,暗帯の方が明帯よりMgが多く含まれていた.X線回析法で歯石の結晶組成を同定したところ男女共に10,20,40,70歳代でHAが検出され,他に10,20,40歳代の女性でOCP,Wが検出された.
  • 伊澤 俊次, 山路 公造, 星加 知宏, 中田 貴, 神農 泰生, 西谷 佳浩, 吉山 昌宏
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 7 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/02/08
    ジャーナル フリー
    保存修復治療において象牙質欠損部位への象牙質再生は機能性および審美性保持において最良の方法と考えられる.我々は2006年に,ヒト骨髄間葉系幹細胞が適切な分化因子(エムドゲインゲルとTNF-αの組み合わせ)によって象牙芽細胞に分化することを発表した.さらに2008年に分化した象牙芽細胞が人工合成のScaffoldなどにより象牙質を再生・生成することの実証を試みた.その結果,分化細胞組織が蛍光抗体法および酵素抗体法により,オステオカルシンに対する陽性反応を示し,アリザリンレッド染色でも陽性反応を示した.さらに位相差顕微鏡による形態観察では細胞外に象牙質様組織を認めた.これらの結果より,ヒト骨髄間葉系幹細胞は,エムドゲインゲルとTNF-αを組み合わせた分化因子と,人工合成されたペプチドハイドロゲルなどの適切なScaffoldを用いることによって,象牙芽細胞に分化し,象牙質を再生することが示唆された.
  • 神農 泰生, 岸本 麻実, 穴吹 優佳, 山路 公造, 西谷 佳浩, 田中 亨, 佐野 秀彦, 吉山 昌宏
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 7 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/02/08
    ジャーナル フリー
    コラーゲン固定化エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVA+C)添加試作石灰化誘導促進性接着材(RMSB)の接着強さと生体親和性について検討した.接着強さ試験の結果,EVA+Cの添加比率の上昇に伴い,接着強さは低下した.しかし,SBP30処理を行うことで,接着強さの低下率は軽減した.また,細胞増殖に与える影響は,初期段階ではすべてのRMSBでコントロールと同等に良好であり,特にEVA+Cの添加比率が高い群ではSB(Superbond)より増殖に与える影響は少なかった.以上より,7P(SB粉末/EVA+C = 40wt%/60wt%)が良好な接着性と生体親和性を有していることが示唆された.動物実験では,7PはSBに比べ,炎症が軽微で石灰化傾向も強かった.結論として,SBに適切な比率でEVA+Cを添加することで高い接着性と生体親和性を得られることが示唆された.
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