日本不動産学会第1回学術講演会のシンポジウムは, 本誌で詳しく報告されるように「現代都市問題と借地・借家」をテーマとして開催された。他方, 法制審議会民法部会は, 3日後の10月29日に, かねてから財産法小委員会で行ってきた予備的な検討の結果に基づいて, 借地法および借家法の改正作業を行うことを決定した。法制審議会がこのようにして改正作業に取り組むことを決定した今日, 国民の関心は急速に高まり, さまざまな場において改正の内容やその要否について議論が行われるであろう。
このような状況から考えるならば, 本学会が上記のテーマでシンポジウムを開催したことはまことに時宜にか なっていたと言うことができる。開催校の予想を大きく上まわる参加者を得ることができ, シンポジウムの企画・進行に当たった者として嬉しく思った次第である。
ところで, おそらくそのような事情があったからであろう, 編集委員会から一文を寄せることを要請され, 私もそれに応じた。しかし, 考えて見ればシンポジウム司会者としての所感を記述するだけでは粗末すぎるようでもあり, 当日の雑駁な発言(これは, シンポジウム記録として掲載される)をまとめ直してひとつの論文とし, 編集委員会に提出することの方がよいように思われた。拙速の謗りを予想しながら, 筆をとることとする。
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