平成21年(2009年)9月に,国内での大気中微小粒子状物質(粒径2.5μm以下の粒子.以下,PM2.5)の環境基準が告示された.告示に先立ち中央環境審議会大気環境部会から出された答申には,「微小粒子状物質やその原因物質の排出状況の把握及び排出インベントリの作成、大気中の挙動や二次生成機構の解明等、科学的知見の集積について、地方公共団体、研究機関と連携を取りながら、関係事業者の協力を得つつ、実施する必要がある。」との記載があり,今後様々なPM2.5関連物質についての研究が推進していくものと考えられる.
自動車走行に関連して排出されるPM2.5としては,テールパイプから排出される元素状炭素(EC)などが考えられるが,近年の排出ガス規制の強化により,その排出量は年々減少している傾向にある.
一方,自動車の走行に伴いテールパイプ以外から排出される粒子状物質として,ブレーキ粉塵やタイヤ摩耗粉塵などがあるが,その排出実態については良くわかっていない.
環境中のタイヤ摩耗粉塵実態については,タイヤ業界が実施したタイヤグローバルサンプリングプロジェクトにおいて,空気,土壌,沈殿物中のタイヤ摩耗粉塵がフランス,アメリカ,日本の代表的な3水域で測定されており,その濃度は毒性のあるレベルを下回っているとしている.しかしながら,実路走行に伴い自動車用タイヤから直接排出されるタイヤ摩耗粉塵の排出係数については,あまり研究がなされていない状況にあり,今後研究を進めていく必要があると考えられる.
非テールパイプ由来の自動車走行起因粒子として,タイヤ摩耗粉塵,ブレーキ摩耗粉塵,巻上げ粉塵などがあるが,この中でタイヤ摩耗粉塵の排出濃度のみを評価するためには,タイヤ由来成分のみを区分けして評価する分析法が必要である.そこで,本研究では,タイヤ摩耗粉塵の定量法を評価するため,その分析法について検討を行った.
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