わが国は2007年,超高齢社会(65歳以上の人口比率である高齢化率が21%以上)に入った.2050年には高齢化率が40%に達すると予測されている.また,65歳以上の高齢ドライバーによる交通事故も増加傾向にあり,最近は10万件前後で推移している.このような状況の下,運転免許証返納制度の創設,損害保険大手各社の高齢ドライバーの保険料率引き上げ方針など,高齢ドライバーを運転から遠ざけるような風潮がみられる.
一方,公共交通の不十分な地方では,移動手段として自動車の必要性は高く,高齢者にとって,日用品の買い物や病院への通院などのための生活必需品であるだけでなく,生涯を通して社会に参加し,充実した人生を送るための重要な手段とも言える.高齢者がいきいきと生活できる活力ある地域社会の構築に向けて,高齢者が安全に運転できる新しい自動車が求められている.
このようなことから福岡県の提唱により,2009年5月に全国35道府県が参加する「高齢者にやさしい自動車開発推進知事連合」が結成され,2010年度を目途に,高齢者にやさしい自動車のコンセプトを自動車メーカー等に提案し,開発・実用化を促すことを目指した.この目的のために,高齢者にやさしい自動車開発委員会(委員長:JARI小林敏雄所長)は,知事連合からの付託を受け,2009年7月から2年間にわたり,高齢者のための自動車の支援機能や車両について検討した 1), 2) .
本稿では,その活動の紹介を中心に,超高齢社会における自動車の在り方を考える.次章より,高齢ドライバーの対象範囲,市場規模推計,アンケート調査とニーズ把握,コンセプト提案などについて述べ,最後に市場規模を試算する.
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