昨今の運転支援システムの開発においては,ドライバに煩わしさを感じさせることがないよう,運転中のドライバ状態を推定することで,必要な場面で必要に応じた支援を行う技術の検討が進められている.このようなシステムの一例としては,ドライバの顔向きをモニタリングし,脇見が検出された場合には衝突警報の提示タイミングを早くする技術1)が実用化されている.また瞬目などの生理的な指標や,操舵などの運転操作の特徴から,ドライバが眠気を感じているような居眠り状態を推定する技術開発2)-6)も盛んに行われている.
他方,事故のドライバ要因においては,脇見や居眠りよりも,漫然運転の占める割合が多い7).漫然運転の定義は様々であるが,居眠りとは区別された運転に集中していない状態として,ドライバ自身は眠気を感じていないがぼんやりとしている状態(以下,「ぼんやり状態」という)や,運転以外のことを考えている状態(以下,「考え事状態」という)などが挙げられる.ぼんやり状態については本間ら8)が,考え事状態については安部ら9)が,それぞれの状態において,周囲状況変化の見落としや発見遅れが発生しやすい特徴的な場面が存在することを実験的に明らかにしている.しかしながら,それぞれの漫然運転状態をどのように検出するのか,その技術は確立されていない.
そこで本研究では,実車においても比較的計測が容易なドライバのステアリング操作および瞳孔径の2つに着目し,漫然運転状態時において特徴的な変化が現れるのか,ドライビングシミュレータ(以下,「DS」という)実験により取得したデータを用いて検証した.また,それら2つの指標の時系列変化によって,漫然運転中のドライバ状態を抽出する技術の可能性ついて考察した.
抄録全体を表示