近年では大気汚染の健康影響として,呼吸器および循環器系疾患だけでなく,中枢神経系や生殖器系への影響についても注目されている.ディーゼル排気粒子の生殖・繁殖系への影響については,動物実験を中心に,精子産生能力の低下1),2),性成熟や血中性ホルモンへの影響3)が報告されている.我々もこれまでにディーゼル排気曝露の生殖・繁殖系への影響を評価しており,その実験では指摘されていた精子産生能力の低下は観察されなかったものの,血中性ホルモンや受胎率に影響を及ぼす可能性が示された.しかし,試験法の精度や動物の例数が必ずしも十分とは言えず,影響の有無について結論を得るには至らなかった.
これらのことから,本研究では最新のディーゼルエンジン排気曝露の生殖・繁殖系への影響を評価することを目的に,胎仔・新生仔期にディーゼル排気を曝露したラットの,1)繁殖毒性(交尾率,受胎率など),2)精子産生能,3)血中性ホルモンおよび性分化・性成熟,を中心に評価した.
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