JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2013 巻, 12 号
JARI Research Journal 2013年12月号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
研究速報
  • -凝集粒子の計測手法-
    青柳 貴子, 木口 和博, 今村 大地
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻12 号 論文ID: JRJ20131201
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近年,固体高分子形燃料電池のPt触媒の劣化に関する研究が進み,触媒活性の低下や物質移動の阻害などさまざまな劣化現象が解明されつつある1)~4).反応表面積の低下を引き起こすPt粒径の粗大化は主要な劣化モードのひとつである.初期品では粒径2~3 nmの球体のPt触媒がカーボン担体に高分散しているが,劣化後は粒成長,癒着/凝集などPt粒子の変化や,カーボン担体からの脱離などが観察される5)~7).透過型電子顕微鏡(TEM)による観察はPt触媒の微視的な評価をするために必須の測定手法である.TEM像からPt触媒の劣化状態を定量的に評価する場合には,画像処理によりPt粒径や粒子数を求めてから統計処理を行う8).しかし,Pt触媒の粒径解析手法について検討した例は少なく,その手法が解析結果に及ぼす影響は明らかになっていない.そこで本研究では,Pt粒子の凝集体の分割方法に着目し,分割方法の違いが計測結果に及ぼす影響を明らかにする.得られた結果より,粒成長や癒着/凝集などPt粒径を適切に評価する解析手法について検討を行った.
  • 森川 多津子, 溝畑 朗
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻12 号 論文ID: JRJ20131203
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    この10年におけるわが国の都市域における大気汚染物質のうち,もっとも大きく濃度が低減したものは浮遊粒子状物質(SPM)である.東京都内の大気汚染常時監視局において,2000年代初めはSPMの環境基準はほとんど未達成であったが,2003年頃より一般大気環境測定局および自動車排出ガス測定局のどちらの局においても,達成率は大幅に改善し,2005年度には全局達成を果たした.このような大幅改善の要因には,主にこの間におこなわれた自動車への排出ガス規制の効果が現われているものと考えられる.  本研究では,東京都内の一般大気環境に相当する地点,および,幹線道路沿道の地点において,2002年から継続的に夏・冬季2週間ずつの粒子状物質(PM)捕集をおこない,その濃度推移を示した.また,CMB法をもちいた発生源寄与解析により,PM濃度への自動車寄与率の低下をPM成分からも実証した.
  • -アノード/カソード白金担持量およびアノード露点の影響-
    松田 佳之, 吉村 昇, 今村 大地, 橋正 好行
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻12 号 論文ID: JRJ20131204
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2015年からの市販化が予定される燃料電池自動車(FCV)の普及に向け,燃料コストを上昇させず,かつ燃料電池の発電性能に影響を与えない水素品質規格が必要である.FCV用の水素品質規格は弊所からのデータを中心に議論が進められ,2012年に水素中不純物の許容濃度が規定されているISO14687-2として発行された1).これはFCV普及初期のための規格であり,FCV大量普及を見据えた規格の改訂準備が進められている.  アンモニア(NH3)は水素中に含まれる可能性がある不純物のうち,低濃度であっても燃料電池の発電性能に対する影響が大きいことが報告されている2-5).UribeらはNH4+がアノード触媒層においてH+と置換され,プロトン伝導度を下げたことが性能低下の主な要因であると報告した2).HalseidらはNH4+が水素酸化反応および酸素還元反応への影響が大きいことを報告した3-4).Zhangらは非発電条件下で,NH3が電解質膜と触媒層の両方に影響することを報告した.このうち触媒層におけるNH3被毒は回復可能であるのに対し,電解質膜における被毒回復速度は非常に遅い5).同時に,低加湿条件ではNH3被毒によるECA低下率が大きいことも述べている5).幣所でもアノードに供給されたNH3が単セルの発電性能に及ぼす影響を報告している6-7).発電中の単セルから排出された水を分析した結果,アノードとカソードの両方からNH4+が検出された.また,カソードガスからはNH3由来と考えられるN2やNO,N2Oが検出された6).そのためアノードに供給されたNH3は電解質中を移動し,カソードにおいて反応したと考えられる.  これらの結果からNH3はアノード,カソード,および電解質膜へ影響を及ぼす恐れがあり,その影響は加湿条件によっても異なる可能性がある.今後FCVが大量普及する際には白金担持量が低減されることや,加湿システムが簡素化されることが考えられるため,NH3による影響を受けやすくなる可能性がある.  本研究では,アノードおよびカソードの白金担持量を変化させたときの水素中NH3のPEFC発電性能への影響を調査した.また,水分によるNH3被毒の影響度の違いも調査し、NH3の許容濃度の議論に必要とされるデータを取得した.
解説
  • 香月 伸一
    原稿種別: 解説
    2013 年2013 巻12 号 論文ID: JRJ20131205
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2013年10月,神戸においてISO/TC204の第42回総会(図1)および傘下のWGの国際会議が開催された.21ヶ国から178人(うち海外から112人)が参加し,活発な審議が行われた.  ISO/TC204(Intelligent Transport Systems)は,ISOにおいてITSに関する国際標準化を担当する専門委員会である.ISO/TC204は1992年に設置され,1993年から活動が始まった.ISO中央事務局の情報では,TC204には約530人のエキスパートが登録し,82の作業項目が規格化作業中であり,ISOでは9番目の規模とのこと.ISO/TC204の幹事国は米国である.米国国家規格協会(ANSI: American National Standards Institute)にTechnical Advisory Groupが設置され,ITS Americaが事務局を務めている.我が国のTC204対応組織としてITS標準化委員会(委員長:東洋大学尾崎教授)が設置されており,公益社団法人自動車技術会(JSAE)を事務局に活発に活動を推進している.  ISO/TC204神戸会議ではすべてのWGが参加しWG会議を開催したが,なかでも協調システム(C-ITS: Cooperative ITS)に関する審議が活発であった.協調システムは,車車間通信や路車間通信を用いてドライバや車載センサの検知・認識限界を拡張することによって,安全運転支援や効率的な走行の実現に寄与するもので,国際標準化が急がれている.  本稿では,協調システムに関する欧米の研究開発と国際標準化の動向について紹介する.ISO/TC204の活動の詳細,ITS標準化委員会内の体制等については,JSAE発行の報告書1),ITSの標準化パンフレット20132)などを参照願いたい.
研究活動紹介
  • 大野 和之, 沼田 智昭, 矢野 勝, 黒田 英二
    原稿種別: 研究活動紹介
    2013 年2013 巻12 号 論文ID: JRJ20131202
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    低炭素社会構築に向けた取組みの一環として,電気自動車(EV),プラグインハイブリッド自動車(PHEV)の導入が進んでいる.EV/PHEVの普及には充電インフラの広範な整備が不可欠であるが,市場の拡大にともない安全性や性能などの品質が確保された充電器だけでなく,粗悪な充電器が流通することも考えられる.特に,AC普通充電器(EV supply equipment : EVSE)は,公共のみならず一般家庭でも利用されるものであり,従来の家電機器とは消費電流や通電時間など異なる特徴を有する.そこで一般財団法人日本自動車研究所(JARI)では,電気事故や充電不能の事態を防ぐため,製品の安全性や性能に関する適合性を第三者が評価する制度の検討について,学識経験者,消費者団体,EVSEメーカなどからなる委員会と共に検討を進め,2012年4月にEV/PHEV用AC普通充電器製品認証事業(以下,認証事業とする)を開始した1), 2).  認証事業における審査項目の一つに,EVSEとEV/PHEVの互換性評価がある.互換性とはEVSEが様々なEV/PHEVに対して充電できることであるが,この機能はIEC61851-1 電気自動車用コンダクティブ充電システム:一般要求事項3)(以下,IEC61851-1とする)に規定されたEVSEとEV/PHEVとの間の充電制御信号であるコントロールパイロット(CPLT)信号を主に測定することで検証している.なお,認証基準の策定にあたり,EVSEメーカ,自動車メーカおよび関連団体のメンバによって構成されるワーキンググループを発足し,EVSEの互換性を評価するための要求事項や判定基準を協議した.より確実な充電動作を可能とするため,国際規格には規定されていない項目(予見可能な誤使用・非常識な使用・故障又は異常状態)も認証基準に追加している.  本稿では,EVSEの互換性評価に関するCPLT信号の測定や評価方法,試験装置や評価結果の一例について紹介する.さらに,JARIでは実使用下での充電不成立事例についても調査を進めており,開発した試験機器の機能を一部紹介する.
feedback
Top