JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2013 巻, 7 号
JARI Research Journal 2013年7月号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
研究速報
  • 高橋 昌志, 前田 清隆, 中川 翔馬
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130702
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電動車両用蓄電池は高電圧を有しているため,例えば洪水や津波などで泥水や海水中に水没した場合には,水の導電率が高いと水中で放電現象が起き,電流が流れる.もし,大電流が流れた場合には,ジュール熱の発生によって電池の温度が高くなり,その後電池の自己発熱による熱暴走が起こると,電池自体が発火したり破裂するなどの危険事象が発生する可能性がある.電動車両用蓄電池の水没試験が規定されている規格として,中国規格QC/T 743(EV用リチウムイオン電池)や米国規格SAE J24641),SAE J29292)などがあり,いずれも発火,破裂の無いことが適合条件となっている.  電動車両用蓄電池の水没試験に関して,これまでに公開された情報はほとんど無く,実際に危険事象などが発生するか不明であった.そこで,本報では実際に電動車両用蓄電池を用いて水没試験を行い,どのような事象が起こるか調査したので,その結果を報告する.
  • -夜間視界支援装置の効果予測-
    本間 亮平, 菊地 一範, 若杉 貴志
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130703
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    国土交通省の第4期ASV(Advanced Safety Vehicle)推進計画における先進安全技術の普及促進活動の一環として,ASV装置の導入効果をわかりやすく示すために,各予防安全装置の事故低減効果予測を実施した1).効果予測では,これまで発生していた事故のうち,仮にASV技術が搭載された車両であれば,どの程度の事故が防げたかという考え方のもと,事故低減件数を推定している.その中で,装置が危険状況を検出できる割合(検出精度)など一部のパラメータを,経験や仮定に基づいて設定している.しかしながら,支援を提供されたドライバの対応行動については,ドライバ特性や運転環境などの各要因が影響するため,一義に決めることが難しい.そのため,代表的な支援場面におけるドライバ対応行動を実験的に調査し,ドライバが適切に対応し,狙い通りの効果が期待できる割合(支援有効率)を推定する必要がある.本稿では,夜間における対歩行者事故防止を狙いとする夜間前方視界情報提供装置(以下,「暗視カメラ」という)および夜間前方歩行者注意喚起装置(以下,「夜間歩行者警報」という)の支援有効率を検討した結果を述べる.
  • 田村 陽介, 大塚 宣明, 竹内 正幸
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130704
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現在,燃料電池自動車の世界統一基準(HFCV-gtr)では,衝突試験における水素漏れ量と,車室内やトランクルームなどの閉鎖空間での水素濃度1) を制限する規定の検討が進められている.現状の基準案では,水素許容漏れ量は118NL/min以下(ヘリウム代替試験ではヘリウムの許容漏れ量は88.5NL/min)とし,車室内やトランクルームなどの閉鎖空間での水素濃度は 4vol.%以下(ヘリウム代替試験の場合,3vol.%以下)でなければならないとされる.  筆者らは本試験法の妥当性を調べるため,側面衝突試験後を模擬した車両での水素漏洩試験を行い,車室内外の水素濃度を測定した.その結果,水素許容漏れ量以下であっても,車室内の水素濃度は4vol.%を超える場合があることや,風速0.5m/sの風により車室内の水素濃度は影響することなどが明らかになった2).  本研究では上記の検討結果を踏まえて、実際に側面衝突試験を実施し,その車両を用いた水素漏洩時の車室内の水素濃度を計測し,衝突バリアの影響や車室内水素濃度に影響しない風速条件および水素ガスの代替ガスとして提案されているヘリウムガスによる試験方法の妥当性を調査した.
  • 冨岡 純一, 木口 和博, 田村 陽介, 三石 洋之
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130707
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    自動車用圧縮水素容器の技術基準として,現在,35MPa用容器を対象とした「圧縮水素自動車燃料装置用容器の技術基準 JARI S 001 (2004)1)」がある.スペース効率の向上,航続距離の伸長などを目的として,最高充填圧力をこれまでの35MPaから70MPaに引き上げることが求められている.そこで,新たな技術基準「70MPa圧縮水素自動車燃料装置用容器の技術基準 KHK S 0128 2)」が,高圧ガス保安協会により2010年に制定された.KHK S 0128では,1個の容器に様々な負荷を与えるシリーズ試験(使用環境負荷試験)が新たに規程されている.そこで,現行JARI S 001の70MPa相当の要件を満たした70MPa-VH3容器および70MPa-VH4容器を用いて,使用環境負荷試験を実施した結果、70MPa-VH3容器で、試験途中にリークが発生した 3)。使用環境負荷試験の中で実施する加速応力試験では、加熱・加圧手順の規定がなく、試験結果に影響を及ぼす可能性があるため、試験手順の影響を調査する必要がある。このため、現行JARI S 001の70MPa相当の要件を満たした70MPa-VH3容器を用いて、加速応力試験の加熱・加圧手順を変えた使用環境試験を実施した。
  • 前田 清隆, 竹内 正幸, 冨岡 純一, 田村 陽介
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130711
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    既存のガソリン車よりもエネルギー効率に優れる燃料電池自動車(FCV)は,一部の自動車メーカーが2015年から販売する予定となっている.そのFCVは燃料として自動車にはほとんど使用されなかった水素を利用していることから,救助者が安全に事故車両へ接近するための対応策を事前に検討しておく必要がある.  FCVになんらかの事故が起きて水素が漏洩した場合,水素への着火によって爆発が起きる可能性がある.着火時の爆風や熱流束,騒音レベルは水素漏洩量に比例して大きくなるが,水素漏洩量が400 NL/min以下であれば,車底部やボンネット内部で着火しても車両前方や前輪タイヤから1 mの場所での爆風や熱流束は人に重大な影響を与える程度ではなく,爆発時の音で苦痛を感じる程度である1).衝突時の最大水素許容漏れ量は118 NL/minと定められているため2),この程度の水素漏れを車両から離れた位置で検知できれば,安全に事故車両へ接近することができると考えられる. 事故車両の水素の漏洩を検知するための方法としては,水素漏れ検知器や水素と反応して変色する塗料3),漏洩箇所から生じる噴流音などがある.特に,装置や機器を必要とせずに水素漏洩音によって水素漏洩の危険性を判断できれば,有力な情報源となる.しかし,噴流音に関する研究は,空気のノズルからの噴流音のみであり4),水素では行われていない.  そこで,暗騒音が40 dB程度の環境下での可聴できる水素漏洩音の車両周囲の方向や距離,地上高さならびに配管形状の影響を調べるとともに,水素漏洩音の周波数解析を行い,これらの水素漏洩車両の水素漏洩音の情報から,救助者が事故車両へ安全に近づくための方法を検討した.
  • 松野 優, 高橋 文夫, 大塚 宣明, 冨岡 純一, 田村 陽介, 三石 洋之
    原稿種別: 研究速報
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130712
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    急速に水素ガスを自動車用圧縮水素容器(以下,容器という)へ充填すると,容器内のガス温度が上昇し,容器の最高使用温度85℃を超える恐れがある.そこで,充填する水素ガスをあらかじめ低温に冷却(以後プレクールという)する方法により,容器内の温度上昇を抑えて安全で効率的に充填する手順を定める充填プロトコルが北米のSAE(Society of Automotive Engineers)TIR J26011)規格で検討されている.さらに,我が国では,国内水素ステーションでの水素充填時の技術要件を検討するため、この充填プロトコルをベースに,より改良を加えている. SAE TIR 2601の充填プロトコルでは充填ガスの温度の区分が規定されており,これまでの研究では-40℃区分(温度公差:-40℃~-33℃)のプレクールガスを容器へ充填した場合に過充填および過昇温に至らず安全に充填できることを確認した2).しかし,同時に充填する車両の変動によって,設備側のガス流量が変化し,それに伴いプレクールガスの温度も変動し,温度公差を外れる可能性がある.このような場合,SAE TIR J2601では容器を過充填および過昇温から防ぐため,充填を中断する問題があった.そこで,我が国では,充填ガスが規定の温度公差を外れた場合でも,充填を安全に継続する方法としてFallback充填法が提案されている3).本法は数値解析により,理論上,充填ガス温度が公差を外れた時点で充填速度(昇圧率)を変更し,容器内が過昇温に至らないよう設計されているが,実際に検証されていない. そこで本研究では,Fallback充填法の安全性を実験によって検証するために,充填ガスの温度が変化して公差が外れてしまった場合を想定した充填試験を実施し,その時の容器内温度および圧力の挙動を調べたので報告する.
技術資料
  • 木村 真, 伊藤 晃佳
    原稿種別: 技術資料
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130706
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    自動車排出ガスの環境影響は,道路沿道で大きく,建物など構造物が複雑な気流を形成するため,沿道大気中の自動車排出ガス濃度分布も複雑になる.したがって,近年,CFD (Computational Fluid Dynamics: 数値流体力学)を用い沿道の気流分布を詳細に予測し,局所的な自動車排出ガスの濃度分布を算出する手法が注目を集めている.2007年度から2011年度の5ヵ年で実施されたJapan Auto-Oil Program (JATOP)1)では,CFDを利用した沿道大気質モデル(以下,JATOPモデルと略記)を開発し,沿道大気質の環境評価を可能にした.  CFDのソフトウェアの多くが市販ソフトウェアであるが,近年,無償のCFDソフトウェアが使用されつつある.これらの中には,商用CFDソフトウェアに匹敵する精度,機能を有しているものもあり,CFDコスト削減の観点から大きな期待を集めている.  そこで,本研究は,無償CFDソフトウェアとしてOpenFOAM2)を用いてJATOP沿道大気質モデルに代替可能なモデル(以下,OpenFOAMベースモデルとする)を開発し,低コストで利用できる沿道大気質モデルの実現を目指す.本稿では,開発において,都市形状を簡易的に模擬した形状と実都市形状を用い,JATOPモデルとの比較をした結果をまとめる.
  • 萩野 浩之, 中山 明美
    原稿種別: 技術資料
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130708
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    微小粒子状物質(PM2.5)は,2009年に大気環境基準が設定されたが,我が国においてその動態について充分に解明されているわけではなく,特にPM2.5中の主要成分である炭素成分は発生源からの寄与度や生成機構が明らかではないことから,組成解析や各種発生源調査などの科学的な根拠を整備する段階にある。 PM2.5中の炭素成分は,熱光学式炭素分析計により行われ,その分析装置のキャリアガスにヘリウム(He)が用いられる。ヘリウムは工業的に生産する事が出来ず,天然ガス田から抽出生産しているが1),世界最大の生産国である米国での減産により,供給不足が継続しており,世界の二大科学雑誌の一つである『Nature』でも取り上げられる程,話題となっている2)。PM2.5中の炭素分析を継続的に実施するためには,ヘリウムの代替となる再生可能な物質を用いることや装置条件設定を再検討する必要がある。 測定装置の分析条件を検討する場合,市販されている認証標準物質を用い,認証値との相互比較を行うことが多い。微小粒子状物質の炭素成分の分析において,有機炭素(OC)や元素状炭素(EC)の明確な標準物質は存在しないため,参照試料として,アメリカ国立標準技術研究所(NIST)から配布されている石英フィルタに捕集された大気粉塵(RM8785)が利用できる。しかし,フィルタ試料の不均質性(認証値との解離やOC/EC比のばらつき)は高いことが指摘されており3),空間再現性精度(異なる分析機関や従事者による同一試料の分析値の精度)4)を評価することが困難になることが予想される。 本研究では,大気粉塵に関連する認証標準試料である都市大気粉塵や自動車排出粒子,炭素発生器からの粒子など,広範囲の条件を考慮した試料を用い,OCとECの分離分析におけるキャリアガスの影響を調査した。
  • -走行挙動変化を伴うITS施策の評価-
    林 誠司, 金成 修一, 木村 真, 中野 麻耶, 米沢 三津夫, 平井 洋
    原稿種別: 技術資料
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130709
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    自動車交通分野の二酸化炭素(CO2)削減方法には,燃費改善などの自動車単体対策,交通流対策のほかに,エコドライブなどの走行方法改善が挙げられる.わが国では官民を挙げた取り組みにより,職業ドライバーだけでなく一般ドライバーに対するエコドライブの普及促進が進められている.  エコドライブを含めたCO2低減施策の効率的運用には,施策導入前に効果評価を行い,その効果を事前に把握しておくことが重要となる.このため,平成20年度からの5ヵ年で,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施したエネルギーITS推進事業の一環として,「国際的に信頼される効果評価方法の確立」プロジェクトが実施され1),ITS施策による自動車CO2低減の効果を評価するツールが開発された.このツールは,日米欧の研究者の合意を得た要件を満たすものである.  前報2)では,種々のエコドライブの紹介,上述した効果評価ツールのうち,自動車CO2排出量推計モデルの紹介,および,エコドライブの一種であるeスタートの効果評価事例について報告した.  本報では,推計精度向上のための自動車CO2排出量推計モデルの改良と,これをもちいたエコドライブおよびエコルートのCO2低減効果評価結果例について報告する.
解説
  • -ISO/TC22/SC21(電気自動車)の動向-
    吉原 三智子
    原稿種別: 解説
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130701
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    自動車関係の国際標準化はISO/TC22 (自動車)が担当している.そのISO/TC22傘下で,一般財団法人日本自動車研究所 (以下JARI)は,経済産業省の日本工業標準調査会(Japanese Industrial Standards Committee [JISC])から委託され,ISO/TC22/SC21(ハイブリッド電気自動車[以下HEV], 燃料電池自動車[以下,FCV],バッテリー電気自動車[以下,BEV]を含む電気的に駆動する自動車[以下,電気自動車]全般)の国内審議団体となっている.ここでは,ISOの中でのISO/TC22/SC21の位置づけ,概要,さらには日本主導で作成した国際規格について紹介したい.
  • 高橋 雅子
    原稿種別: 解説
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130705
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電気自動車(Battery Electric Vehicle; BEV),ハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle; HEV),プラグイン・ハイブリッド自動車(Plug-in Hybrid Vehicle; PHEV)などの電動車両(Electric Vehicle; EV)の普及促進と市場形成のためには,車両・電池・充電システムの基本的な性能・安全性の確保や充電インフラ整備の基礎となる国際規格の整備が不可欠である.このため,EV関連技術に関する国際標準化への要望も高まり,IEC(International Electrotechnical Commission) 及びISO (International Organization for Standardization)において,様々な標準化プロジェクトが進行している.日本はそのような中でも特に積極的な取り組みを続けており,その概要については昨年本ジャーナルにて紹介した1).ここでは,EV用電池・充電に関する日本提案プロジェクトを中心に,最近の主な進捗を紹介する.
研究活動紹介
  • 渡辺 知絵, 島村 和樹
    原稿種別: 研究活動紹介
    2013 年2013 巻7 号 論文ID: JRJ20130710
    発行日: 2013年
    公開日: 2025/12/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
    電動フルトレーラシステムとは,通常の大型トラックに,モータ,バッテリ,車両制御コントローラ等電動駆動システムを搭載した被牽引車のトレーラを連結させることで,フルトレーラシステム全体をハイブリッド車とさせるシステムである.車両の架装状態によって若干の違いはあるものの,フルトレーラシステムでは約29トンの積載が可能である.普通の大型トラックが約15トンであるから約1.9倍の一括大量輸送が望める事になる. 現在,国内の陸上貨物輸送の約94%はトラック輸送が占めている.この業界で競争していくには輸送コスト削減は必至であり,そこには燃料費と人件費の削減が必要となる.他方,原油消費量削減や,地球温暖化抑制のためのCO2削減は常に声高に叫ばれており,燃費の良い新型トラックを新規購入するより初期投資が小さく,連結することによって,ハイブリッド化(燃費向上)が望め,大量輸送を可能にする電動フルトレーラシステムのポテンシャルは大きい.
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