一般的に自動車の運転は認知,判断,操作という手順を踏んで運転している.視野障害を伴う眼疾患は運転者にとって重要な対象を発見する認知の段階における影響が懸念される.眼疾患のなかで緑内障は視野の欠損や狭窄が生じるにもかかわらず,進行が緩徐であるため,自覚症状が現れにくい特徴がある.近年の緑内障に関する疫学調査によると,40歳以上の20人に1人が罹患していると報告がされており,高齢化が進む国内においては更に患者の増加が想定される.また,国内の交通事故件数では全事故件数のうち19%が40歳以上の安全不確認(見落としや発見遅れによる要因)によって発生している.先行研究では視野障害が高度であるほど交通事故に至る可能性が高いと報告されており,視野障害が交通事故要因の一つではないかと考えられている.しかしながら,緑内障による運転への影響に関する知見は乏しいのが現状である.
本研究では,緑内障による運転への影響を把握する試みとして,健常者と緑内障患者との運転行動を調査した.また,緑内障患者の症例別に運転行動の特徴を取得することを目的とした.実施にあたり,ドライビングシミュレータ(以下,「DS」という)を用い,典型的な交通事故場面(歩行者や自転車の飛び出し)を再現し,運転行動を計測した.
運転行動では視認行動に関するデータをもとに特徴を示した.
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