JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2014 巻, 6 号
JARI Research Journal 2014年6月号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究速報
  • - 74dB程度の交通騒音環境下での認知可能な水素流量とその安全性 -
    前田 清隆, 竹内 正幸, 山崎 浩嗣, 田村 陽介
    原稿種別: 研究速報
    2014 年2014 巻6 号 論文ID: JRJ20140601
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/12/14
    研究報告書・技術報告書 フリー
    燃料電池自動車(FCV)は,一部の自動車メーカーから2015年に販売される予定である.そのFCVは燃料として自動車にはほとんど使用されていなかった水素を高圧状態で搭載しているため,交通事故などによりFCVから水素が漏洩してしまった場合に,救助者が事故車両へ安全に接近するための対応策を事前に検討しておく必要がある. そこで著者らは,水素漏洩音により事故車両へ安全に接近する方法を調査している1).その結果,暗騒音が40 dB程度の比較的静かな環境で車両から水素が漏洩した場合,水素漏洩音が聴取可能な最大の流量は車両中心から20 mの距離で110 NL/minであったことから,何らかの原因で水素に引火しても人に危害を与える程度ではないことがわかった1).しかし,地面から1.5 mの高さにおける水素漏洩音の最大の騒音レベルは約59 dBであったことから1),これ以上の暗騒音環境下においては水素漏洩音を認知出来ない可能性がある.さらに,そのような環境下において認知可能な流量の水素へ引火した場合は,人へ危害を及ぼすことも考えられる. そこで,74 dB程度の交通騒音環境下において水素が漏洩した場合を想定して,水素漏洩音を認知可能な流量とその流量の水素に引火した場合の人への影響を調査した.
  • -真空引き工程の省略化の検討-
    山崎 浩嗣, 竹内 正幸, 犬嶋 健, 田村 陽介
    原稿種別: 研究速報
    2014 年2014 巻6 号 論文ID: JRJ20140603
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/12/14
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2012年9月に圧縮天然ガス(以下,CNGという)自動車の容器くず化作業中に発生した爆発死傷事故は,「CNG自動車用容器からの残ガス処理及びガス容器くず化要領書」(以下,くず化要領書という)に記されているガス抜き工程を逸脱した不適切な解体作業が原因であることが判明し,くず化要領書の重要性が再認識されることとなった.これを受け,2015年以降の燃料電池自動車(以下,FCVという)の本格的な普及に向けて,FCVに搭載される水素容器においても,くず化要領書を作成し,迅速にその方法を整備する必要がある. 容器のくず化処理工程には,容器に残されたガスを処理するため,ボイラーなどで燃焼処理を行った後,真空引きを行い,さらにその後,容器弁を取り外し,容器内を水で置換する工程となっている。このように,くず化処理工程は多くの手間やコスト,時間を要するため,くず化処理工程の合理化を考慮した安全な処理方法の検討が望まれている.そこで本研究では,くず化処理工程の合理化の一考として容器くず化工程のひとつである真空引き工程に着目し,その工程を省略できるかを検討するために,容器弁を取り外して大気環境下で放置した際の容器内の水素濃度の経時変化および容器内の水素への着火試験を実施し,その影響を評価した.
  • 田村 陽介, 竹内 正幸, 中島 孝
    原稿種別: 研究速報
    2014 年2014 巻6 号 論文ID: JRJ20140605
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/12/14
    研究報告書・技術報告書 フリー
    燃料電池自動車の世界統一基準で規定される炭素繊維複合容器(CFRP複合容器) では,水素を充填することができる容器の最高充填圧力は,環境温度15°Cを基準とした内圧が示される.また,容器の最高使用温度は85°Cである1).容器の内圧は環境温度により変化するので,たとえば,環境温度が15°Cから最高使用温度の85°Cへ変化すると,内圧は約1.25倍に増加する.故に,CFRP複合容器には,環境温度に配慮した耐熱性能と,その温度変化に伴う容器の内圧に配慮した耐圧性能を兼ね備える必要がある.  そこで,車両火災が発生した際のCFRP複合容器の状態を考えてみたい.CFRP複合容器には,火災時の容器の破裂を避けるため,火災時の熱を検知し,容器内のガスを放出させる熱作動式安全弁(Thermally-activated Pressure Relief Device:TPRD)が装着される.しかし,消火活動などでTPRDが作動する前に鎮火すると,CFRP複合容器には高圧の水素ガスが残された状態になる.さらに,容器が消火放水の掛かりにくい箇所に搭載されていた場合など,状況によっては,容器はガスが充填された状態で,数時間,使用温度以上の環境に放置されることも想定される.このような火災車両を,安全に移動・保管するには,鎮火後の容器の健全性を判断し,迅速にガスを抜くなどの処置が必要である.しかし,鎮火後のCFRP複合容器の取扱い方法に関する知見は,ほとんどない.この知見を得るには,容器が使用温度以上に加熱され,破裂や漏れが発生して容器の機能が失われた時の温度(以下,限界温度という)と,その限界に至るまでの状況を知る必要がある.  CFRP複合容器の限界温度は,実際に調べられたことはなく,CFRP材料の限界温度とみなされる炭素繊維に含浸したレジン(エポキシ樹脂)の熱分解温度と同じである1)2)と推定されている.  本研究では,使用最大圧力でフル充填した2種類のCFRP複合容器を加熱し,火災時の耐熱および耐圧性能を考慮した自動車用CFRP複合容器の限界温度と限界時の内圧を調べた.また,限界温度未満の容器については,鎮火後も容器の耐圧性能が失われていないかを確認するため,容器の破裂強度を調べるとともに,得られた限界温度と容器の観察から,TPRDが作動していない鎮火後のCFRP複合容器の取扱い方法について考察した.
  • 冨岡 純一, 前田 清隆, 犬嶋 健, 高橋 昌志
    原稿種別: 研究速報
    2014 年2014 巻6 号 論文ID: JRJ20140606
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/12/14
    研究報告書・技術報告書 フリー
    産業用リチウムイオン電池の安全規格(JIS C8715-2など)では,耐熱暴走試験において,単セルの強制内部短絡試験かモジュール・パックの耐類焼試験のどちらかを行うこととなっている.耐類焼試験は,電池システム内の1セルが熱暴走した際に,他セルへの熱連鎖によるシステム外への発火や破裂の有無を確認する試験法である.本試験方法はIEC62660-2等で自動車用蓄電池に適用可能か検討されているが,耐類焼試験に関して,モジュール・パック内の1セルを適切に熱暴走させる方法が明確となっていないことが課題である.そこで,自動車用蓄電池への適用可能性を調査するため,特に熱暴走発生方法を検討する必要がある.  このため,まずは単セルで過充電,加熱,釘刺しにより熱暴走発生の有無と発熱状況の比較を行い,適切な熱暴走発生方法があるか調査した.また,単セルの結果から選定した熱暴走発生方法で,モジュール規模での試験を行い,熱連鎖の有無を確認した.また,2013年1月に発生したボーイング787旅客機の発火事故対応で採用された対策を参考として,同様の材質であるフェノールガラス樹脂製の断熱板の有無の影響を調査した.
技術資料
  • -SUV型車両における車両の衝突速度と歩行者の飛翔距離の関係-
    福山 慶介, 山崎 邦夫
    原稿種別: 技術資料
    2014 年2014 巻6 号 論文ID: JRJ20140607
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/12/14
    研究報告書・技術報告書 フリー
    交通事故解析における走行速度と衝突速度の算出は非常に重要であり,これまでの歩行者事故における車両の走行速度および衝突速度の推定には,路面に印象された制動痕跡を元に推定する方法が使用されてきた.しかしながら,近年の車両はABS(Antilock Brake System)が標準装備されているため,車両の制動痕跡が付き難い傾向にあり,制動痕跡のみにより走行速度および衝突速度を推定するには厳しい場合もある.現在では,ダミーを用いた衝突実験によって車両の衝突速度(V:衝突速度)と歩行者の飛翔距離(X:飛翔距離)の関係(V=(10X)^0.5)が示されており,制動痕跡が確認出来ない場合には,歩行者の飛翔距離から車両の衝突速度を推定する場合もある.V=(10x)^0.5 の関係式では車両前面形状がボンネット型のみに限定しており,車両前面形状の違いによる検討は実施されていない.また,実際の事故調査によるデータなどを用いて,歩行者の飛翔距離と車両の衝突速度の関係を示してはいるが,制動レベル・制動タイミングの違いによる歩行者の飛翔距離と衝突速度の関係などは示されていない.これまでに,著者らにより,ボンネット型と1BOX型において,制動レベル・制動タイミングの違いによる検討を実施しているが,SUV型の検討は行っていなかった.そこで,本研究では,ボンネット型や1BOX型とは異なるSUV型に焦点を当てた解析を行い,ボンネット型とSUV型の衝突速度と飛翔距離の関係を比較し,更にはSUV型における算出式の適用範囲を明確化した.
研究活動紹介
  • -ITS世界会議での自動運転隊列走行デモンストレーション-
    蓮沼 茂, 野本 和則, 青木 啓二, 森田 康裕
    原稿種別: 研究活動紹介
    2014 年2014 巻6 号 論文ID: JRJ20140602
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/12/14
    研究報告書・技術報告書 フリー
    一般財団法人日本自動車研究所(以下JARI)では,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け,JARIが取りまとめ役となる産学公15機関からなるコンソーシアムを構築し,2008年度から2012年度の5年間でエネルギーITS推進事業(自動運転・隊列走行の研究開発)を行った.同事業は,高速道路幹線輸送における省エネルギー化を目的としたもので,高速道路を隊列で走行する大型トラックに自動運転技術を導入して車間距離を極限まで短縮することにより,空気抵抗低減による燃費向上効果と,道路占有面積低減の結果生じる交通流改善による省エネ効果を狙うものである.同事業では,最終目標である時速80km,車間距離4mでの大型・小型トラック混在4台での自動運転・隊列走行技術を開発した.  今後同技術の実用化,普及のためには,法規などの環境整備に加えて,ドライバーや社会の受容性における技術以外の課題克服が重要であるため,2013年秋,ITS世界会議東京2013の場を利用して,世界トップレベルの自動運転隊列走行技術をアピールするとともに,来場者を対象として社会的な受容性に関するアンケート調査を実施した.以下にその概要を紹介する.
  • 矢野 勝, 沼田 智昭, 大野 和之, 黒田 英二
    原稿種別: 研究活動紹介
    2014 年2014 巻6 号 論文ID: JRJ20140604
    発行日: 2014年
    公開日: 2025/12/14
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2009年の三菱自動車i-MiEVの発売に象徴されるように,第3次電気自動車ブームが到来している.一般的にガソリン自動車に比べて電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車(以下,総称してEV)の航続距離は半分もしくはそれ以下であり,それを補うために全国各所に公共の充電器が設置されている.しかし,市場においてEVおよび充電器の種類が増加するに従い,充電が不成立となる事例が報告されはじめた.そのような事例の発生を未然に防ぐためにIEC等の国際標準やJARI充電器認証/互換性技術基準が制定されているが,これらが市場で必要とされるルールの全てを網羅していないことが課題と考えられる.  この問題を解決する方法の一つとして,実際に製品同士を相互に接続させることにより互換性を評価するイベント(以下,互換性確認会)の開催が考えられる.この例として,家電機器のホームネットワークの基盤構築を目指すエコーネットコンソーシアムは,ECHONET Lite規格に則る製品に対して,互換性確認会を定期的に開催している.そして,この場で確認された課題について,必要に応じて規格に反映させるなど,互換性の向上につなげている.  これらを鑑み,市場におけるEVと充電器の互換性課題を解決する手段として,互換性確認会を開催した.その具体的な内容と,実施結果について述べる.なお,充電器は急速充電器と普通充電器に分けられるが,本件は普通充電器に対する取り組みである.
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