自動車排出ガスなどによる健康影響に関する研究は,ラットやマウスなど実験小動物への曝露や(in vivo),細胞への曝露(in vitro)による研究手法で精力的に進められている.一方,これら in vivo および in vitro 研究手法に加え,近年ではヒト集団に対する曝露の影響を,多変量統計解析を用いて評価する環境疫学研究が精力的に行われ,健康影響研究の重要な手法と認識されている1, 2).(一財)日本自動車研究所はこれまでin vivo および in vitro 研究手法を用い研究を実施し,その成果を報告してきた.今回我々は,これらの研究手法に加えて,疫学研究に着手した.
PM2.5の長期間曝露による影響は,虚血性心疾患を含む循環器疾患との関連性が多くの論文で示されている.また,道路交通騒音と虚血性心疾患の関連についても報告されている.そこで我々は,高齢者における道路交通に起因する大気,騒音曝露と虚血性心疾患の関連性を断面調査(ある時点での,対象集団における疾患有症率などを求める調査手法)で検討する調査を企画した.今回,この調査計画の妥当性や課題の抽出を目的に,本調査の10分の1規模の予備調査を実施した.予備調査の実施に関しては,次の事項を主な確認項目とした:1)倫理的事項の外部機関による審査.2)対象者の抽出数と同意率.3)対象者の代表性.4)虚血性心疾患の有症率.5)個人曝露推計量の地域差(沿道地域と非沿道地域の差別化).
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