JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2015 巻, 4 号
JARI Research Journal 2015年4月号
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研究速報
  • 清水 貴弘, 今村 大地, 吉村 昇, 矢口 紀恵, 金村 崇, 上野 武夫
    原稿種別: 研究速報
    2015 年2015 巻4 号 論文ID: JRJ20150401
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    水素を燃料とするため走行時にCO2を排出しない燃料電池自動車(FCV)が注目を集めている.市販が開始されたFCVには,固体高分子形燃料電池(PEFC)スタックが搭載されており,主要部材である膜電極接合体(MEA)は高分子膜,電解質および電極触媒から構成される.電極触媒にはカーボン担体にPtなどの貴金属を高分散担持したもの(Pt/Cなど)が使用されている.  PEFCの発電性能や耐久性と電極材料の構造変化には密接な関係があるため,関連する研究が広く行われている.特に,発電性能の劣化には電極触媒の構造変化が大きく影響することから,その劣化メカニズムの解明が必要不可欠である.  電極触媒の劣化メカニズム解明の手法としては透過電子顕微鏡(TEM)が用いられることが多い. 単セルを用いた耐久評価試験前後のMEAから取り出した電極触媒をTEM観察すると実環境での劣化傾向を推察することはできる一方,同一触媒粒子の構造について経時変化を解析することは不可能である.また,同一触媒粒子の構造変化を観察する手法として,ドイツのMeierらは水溶液系でPt/Cの起動停止を模擬した試験を行い,試験後にはPt粒子の凝集,溶出,脱離,カーボン担体の腐食が起きることを確認している.しかし,この手法ではPt/Cは常に水溶液中に存在するため,発電時に試料が置かれたガス雰囲気が構造変化に与える影響を明らかにすることは難しい.したがって,同一触媒粒子の構造変化を経時的に観察し,劣化メカニズムを明らかにするにはその場(in situ)TEM観察が重要となる.  我々の研究グループは環境制御型透過電子顕微鏡(環境TEM)を用いたその場TEM観察技術を開発し,燃料電池の発電状態を模擬するガス雰囲気で電極触媒劣化過程の直接観察を行っている.既報ではMEA中のカソード(正極)の実作動雰囲気を想定し,環境TEM試料室に異なった湿度の空気雰囲気を作り,水分がPt/Cの構造変化に与える影響について検討した.その結果,乾燥空気雰囲気では,カーボン担体の劣化が先行し,それにともなってPt粒子の凝集,粒成長が起きるが,高湿度空気雰囲気ではPt粒子の活発な移動,凝集,粒成長がカーボン担体の腐食を誘発するという興味深い現象を世界ではじめて明らかにすることに成功した.  本報では,電解質(Nafion)付きのPt/C電極触媒を既報と同様の環境でその場TEM観察し,電解質がPt/Cの劣化にどのような影響を与えるか検討を行った.
  • 松田 智行, 安藤 慧佑, 明神 正雄, 今村 大地
    2015 年2015 巻4 号 論文ID: JRJ20150402
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    環境問題に対する意識の高まりから,排ガスを出さない電動車両の普及が求められている.なかでも,リチウムイオン電池を搭載した電気自動車が有望視されているが,普及の障害の一つとしてリチウムイオン電池の劣化に対する不安があると言われている.劣化に対する不安を払拭するためには,現状のリチウムイオン電池について種々の使用条件での劣化機構を明らかにし,電池の耐久性のさらなる向上を図る必要がある.リチウムイオン電池の性能(容量,出力)は充放電を繰り返すことによって劣化(サイクル劣化)する一方,電池を使用しなくても劣化(保存劣化)することが知られている.劣化機構を明らかにするためには,種々の使用条件でのサイクル試験および保存試験により劣化速度を評価した上で,劣化に寄与する要因の影響度を把握する必要がある.そのための手法として,劣化後の電池を解体して材料分析を行う手法が行われているが,非破壊で電池の劣化状態を把握することができれば,効率的に劣化要因解析を進めることが可能となる.  そこで,本研究では電気自動車の使用条件を考慮したサイクル試験を行い,さらに,非破壊での劣化要因解析を行った.電気自動車では使用環境により,温度や充電を開始する際の充電状態(SOC:State of Charge)が異なることから,試験温度と充電を開始する際のSOCについて評価した.非破壊での劣化要因解析としては,低電流での放電試験から得られる放電曲線についての微分曲線解析を行った.
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