JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2015 巻, 7 号
JARI Research Journal 2015年7月号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究速報
  • 佐藤 健治, 安部 原也, 内田 信行, 植田 俊彦, 鈴村 弘隆
    原稿種別: 研究速報
    2015 年2015 巻7 号 論文ID: JRJ20150701
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ドライバは自動車を運転するとき,認知,判断,操作というタスクを繰り返し実施している.認知はある対象を知覚し,判断する為の重要な過程である.視覚的な知覚とは,眼が捉えた光の情報が脳へ伝送され情報処理されることである.眼疾患によって視覚に何らかの不全が生じると,認知へ悪影響を及ぼすばかりではなく,判断,操作へも影響を及ぼすことにより交通事故へ至る危険性が懸念される.眼疾患のなかで緑内障は視神経に異変が起き,視野が狭くなったり(視野狭窄),部分的に見えない範囲(視野欠損)が生じるなどの視野障害が現れる.緑内障は,左右眼で症状に差があり,進行が緩徐であること,周辺視から障害が進行され視力の低下が症状初期では現れないという特徴があるため自覚症状が分かりにくい.そのため,潜在的な緑内障患者の存在が懸念されている.近年の緑内障に関する疫学調査によると,40歳以上の20人に1人(約500万人)が罹患し,加齢とともに罹患率が上昇していると報告がされており,高齢化が進む国内においてはさらに患者の増加が想定される.先行研究では視野障害が高度であるほど交通事故に至る可能性が高いと報告されており,視野障害が交通事故要因の一つではないかと考えられている.視野障害による交通事故要因への影響を把握するために,視野検査結果とドライビングシミュレータ(以下,DS)の事故件数との関係性が検討されている.そこでは,ある特定の視野範囲における視野検査結果と事故件数には相関がある可能性が指摘された.また,運転中の視線行動を分析した研究では,実写映像を用いたハザード知覚テストを行い,緑内障患者は健常者よりも注視やサッケード運動を多くしていることが確認された.このように近年,緑内障に関する運転への影響を把握する研究が多方面で進められているものの,典型的な交通事故場面での運転行動を分析した例は少ないため,本研究で検討を行った.具体的には,典型的な交通事故場面(歩行者飛出し)をDSで再現し,視野障害程度と運転行動の関係について検討した.
  • 松田 佳之, 清水 貴弘
    原稿種別: 研究速報
    2015 年2015 巻7 号 論文ID: JRJ20150702
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2014年に市販化が開始された燃料電池自動車(FCV)の本格普及に向け,低廉で高品質な水素供給が重要である.FCV用の水素品質規格は2012年に水素中不純物の規格値が規定されたISO14687-2として発行された.不純物の規格値は燃料電池における白金触媒量の低減や電解質膜の薄膜化,運転条件の変更など,燃料電池開発動向に合わせた見直しが必要であり,次期規格改訂の準備が進められている.  水素中不純物のうち,一酸化炭素(CO)は低濃度であっても燃料電池の発電性能に対する影響が大きい.加えて,COは水素ステーションでの実測値が規格値上限(0.2 ppm)に近いケースも報告されている.そのため,CO濃度が規格値付近の場合において,発電性能に与える影響を詳細に調査する必要がある.  不純物が燃料電池の発電性能に及ぼす影響は,一般的に単セル出口ガスをそのまま排出する開放系で評価されており,ISO14687-2の規格値も開放系での試験結果を元に定められた.これに対し自動車用の燃料電池システムでは,反応に利用されなかった水素を再びセル上流に戻す水素循環系となる.もし燃料中に不純物が含まれる場合,運転条件によっては不純物が水素循環系で濃縮し,開放系の場合よりも低濃度で発電性能に影響を及ぼす可能性がある.  我々はこれまでに開放系と水素循環系の両方で,COが燃料電池の発電性能に及ぼす影響を調査してきた.開放系では,アノード白金担持量を0.05 mg cm-2まで低減させた条件における規格値付近のCO濃度による電圧への影響と,負荷変動による被毒軽減効果を確認した.水素循環系では,アノード白金担持量0.4 mg cm-2,電流密度1000 mA cm-2の条件で,CO(5 ppm)が濃縮しないことを確認した.しかし水素循環系において,規格上限値のCO濃度による影響度や負荷変動時の被毒軽減効果の有無は明らかになっていない.そこで本研究では規格値付近のCO濃度による影響度を見極めるため,FCVで用いられるような低白金および薄膜の膜 / 電極接合体(MEA)を使用して,水素循環系を備えた発電装置において定常負荷および負荷変動時のCOによる電圧への影響を調査した.
  • 開 渉, 山田 英助
    原稿種別: 研究速報
    2015 年2015 巻7 号 論文ID: JRJ20150703
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    国内の商用水素ステーションでは,燃料電池自動車へ安全かつ効率良く水素ガスを充填するための「軽量級水素ガス車両用充填プロトコル」 SAE TIR J2601に準拠した充填方法が検討され,実証試験が行われている.充填可能な水素ガス量は温度15℃,呼び作動圧力NWP時の水素ガス密度を100%として充填率SOCで表される.水素を燃料タンクに充填すると,圧縮により容器内のガス温度が上昇する.そのため,燃料タンクに水素ガスを短時間で,かつSOC100%を目標に充填するためには,水素ガスを-40℃に冷却したプレクール充填が必要である.しかしながら,-40℃プレクール充填を実証中のステーションにおいて,レセプタクルとノズルが冷却され,結露した水が氷結し,外れなくなる事例が報告されている.商用水素ステーションにおける-40℃プレクール導入に先立ち,ノズル・レセプタクルの氷結現象の把握が必要である.さらに,ノズル・レセプタクルの氷結現象に関する評価試験法を,水素充填コネクタの規格である「水素ガス車両充填コネクター規格」ISO 17268などへ提案することを想定し,試験法の策定に資するデータの取得が必要になっている.  本研究では,筆者らが以前実施したノズル・レセプタクル氷結試験の結果5)を元に,水分量の定量化試験を試行し,使用ノズルにおける氷結固着発生時の水分量の把握および,水分注入による評価方法の有効性の検証を行った.
調査資料
  • 伊藤 晃佳, 木村 真
    原稿種別: 調査資料
    2015 年2015 巻7 号 論文ID: JRJ20150704
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2013年1月に,中国における微小粒子状物質(以下:PM2.5)をはじめとする大気汚染の拡大が報道などで取り上げられたことを契機に,国内における大気汚染に対する関心は大きく高まった.大気汚染の著しい悪化は,住民の健康被害につながる恐れがあることから,大気汚染防止法により,都道府県および政令指定都市での大気汚染状況の常時監視が義務付けられている.現在,全国でおよそ1,800ヶ所の大気汚染常時監視局(以下:常監局)において,大気汚染物質濃度の連続測定が行われており,その測定結果は,「速報値」として,インターネットなどを通じて公表されている.  これらの大気汚染測定結果は,年度単位といった長期的な大気汚染状況および大気環境基準達成状況の評価にも用いられる.このような大気汚染状況の長期評価の際には,「速報値」に含まれる可能性がある異常値(例えば,測定機器の故障や通信異常などによる)をスクリーニングにより除外した「確定値」を用いて評価を行う.しかし,データの確定作業には多大な時間を要することから,大気汚染データの「確定値」は,現状では,測定年度の翌々年度に公表されており,必ずしも最新の大気汚染状況を反映しているとはいえない.  以上のような背景から,本稿では,最新の大気汚染状況を把握するため,2014年度を対象に,日々公表されている常監局測定結果の「速報値」を継続的に収集・解析し,2014年度の大気汚染濃度や環境基準達成率を算出し,過去年度における「確定値」との比較により経年傾向の把握を行った.
技術資料
  • -ダミーの着座姿勢,ならびにシートの設定方法の検討-
    中嶋 太一, 山崎 邦夫, 小野 古志郎, 加藤 和彦, 角谷 佳治
    原稿種別: 技術資料
    2015 年2015 巻7 号 論文ID: JRJ20150705
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2005年2月より,UN ECE/WP29/GRSPにおいて,ヘッドレストに関する世界統一基準策定会議(以下,GTR7:ヘッドレストGTRインフォーマル会議)が,日本がテクニカルスポンサーとして開始され,2008年3月にはPhase1(バックセット(後頭部とヘッドレストの距離)の規制)が成立した.その後,2009年12月より,Phase2 のインフォーマル会議が開始され, Phase1で成立した幾何学的な要件ではなく,動的試験時におけるダミーの傷害値による評価を目指して,試験方法の検討やヘッドレスト高さの検討,ならびに頚部傷害を評価するためのダミーで計測可能な指標とその基準値の検討などが議論されている. (一財)日本自動車研究所(JARI),ならびに(一社)日本自動車工業会(JAMA)では,市場事故における頚部傷害を低減するための試験評価法の研究1)-3)を行っており,GTR7のためのBioRID-IIを用いたスレッド試験方法の研究を実施している.本試験法は法規として採用され,世界各国で実施されることになるが,試験機関の違いによるバラツキを極力低減させることが求められる.本研究では,バラツキ低減の要件として,ダミーの着座姿勢に着目し,ダミーの姿勢の違いが試験結果に及ぼす影響について検討した.併せて,シートにおける設定方法(シートバック角度等)の違いが試験結果に及ぼす影響を含めて,後面衝突試験方法の適正化について検討した.
  • 島村 和樹
    原稿種別: 技術資料
    2015 年2015 巻7 号 論文ID: JRJ20150706
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現在,地球温暖化等の環境問題から自動車の燃費改善への要望が強くなっている.自動車メーカは,その一つの解として,車両の電動化を進めている.電動化により必要となるモータやバッテリなどの要素部品の評価も重要となり,性能や耐環境,安全など多岐にわたる評価試験が実施されている.  モータの性能評価試験の一つとして,定格出力の測定がある.定格出力は,長時間に渡り連続で運転できる出力であり,その際のモータの耐久性において支配的な要素には,巻線の温度上昇による絶縁劣化がある.そのため,代表的な定格出力の試験法として定められているのは,モータを定格出力で運転し,巻線温度が安定した際に絶縁の耐熱クラスで規定されている温度上昇限度に達していることを確認する方法である.表1に示すよ うにモータ製造メーカが定めたモータの耐熱クラス毎に定格出力試験法で温度上昇限度が規定されている.弊所では巻線の温度測定には,サーミスタなどよりも測定精度の高い熱電対を用いている.しかし,この信号上に数Hz程度の低周波のノイズが発生する.試験法では,温度の測定精度は±1℃が求められているが,ノイズにより±1℃程度の変動がみられるため,対策を講じないと試験精度が確保できない条件が出てくる可能性がある.  そこで,このノイズの発生源について調査し,ノイズ低減のための対策とその効果について,検討を行うことにした.
研究活動紹介
  • -自動車-機能安全-ISO 26262-
    大谷 正俊, 後呂 考亮, 山本 吉則
    原稿種別: 研究活動紹介
    2015 年2015 巻7 号 論文ID: JRJ20150707
    発行日: 2015年
    公開日: 2025/12/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
    自動車のE/E(電気/電子)システムの機能安全国際規格として,2011年11月にISO 26262:2011(First edition)が制定された.機能安全とは,安全機構の実装,あるいはプロセスの導入を含めた安全方策によって安全性を確保することをいう.  ISO 26262規格発行後,各OEMが取り組んでいるASIL(Automotive Safety Integrity Level:自動車安全度水準)を決定するH&R(Hazard analysis & Risk assessment:ハザード分析およびリスク評価)は,Exposure,Severity,Controllabilityの各要素の組合せから導出される機能安全のコンセプトフェーズにおける重要な実施項目の一つである.  しかしながら,多くのOEMはASIL決定に際し,規格上に明確な規定がない,また業界で標準化されたユースケースが存在しないという材料不足の状況下で,独自のエキスパート判断によりASILを導出している.  同一機能のアイテムに対して異なるASILが,各OEMの独自の解釈や基準に基づいて,エキスパート判断によって導出されている場合には,どのASILが適切であるかについて自動車産業界内の混乱を招く一因となり得る.  そこで,本稿ではASILの不均一を招く要素であるExposureについて,適切な評価のための証拠データや推論の導出に関する参考事例を紹介する.
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