JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2017 巻, 6 号
JARI Research Journal 2017年6月号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
研究速報
  • 細谷 純一, 萩野 浩之, 伊藤 剛
    原稿種別: 研究速報
    2017 年2017 巻6 号 論文ID: JRJ20170603
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近年の排出ガス規制強化・対策技術の進歩により自動車排出ガスは大幅に低減され,ほとんどの自動車排出ガス測定局において浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準を達成している.その一方で,2009年に環境基準が制定された微小粒子状物質(PM2.5)に関しては,基準未達の観測局も散見されている.PM2.5に関しては,特に二次粒子の寄与率が高いことが注目されている.二次粒子は,主として揮発性有機化合物(VOC)等が光酸化反応されることにより生成される.この反応の際,二次粒子自身が酸化能を有することが指摘されており,その酸化能が生体において酸化ストレスや炎症を誘発することが懸念される.しかしながら,実験的に生成した二次粒子が酸化ストレスや炎症を誘発するか,あるいは前駆物質であるVOCの種類により,生成される二次粒子の性質に違いがあるか否かについて検討した報告はほとんどない.  本研究では,二次粒子による酸化ストレスおよび炎症応答に関する影響の把握を目的に,ヒト気道上皮細胞を用いて,二次粒子の構成成分処置,二次粒子の捕集抽出物処置,二次粒子の直接曝露,を実施した.
  • -NO2曝露による気道上皮細胞の遺伝子発現解析-
    伊藤 剛, 村木 直美, 田村 久美子, 佐々木 左宇介
    原稿種別: 研究速報
    2017 年2017 巻6 号 論文ID: JRJ20170604
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     これまで自動車排気等のガス状物質および微小粒子状物質の健康影響は主に動物曝露実験により評価されてきたが,最近では培養細胞を用いた評価に対する関心が高まっている.しかし,培養細胞を用いた実験は汎用性が高く,研究者が独自の視点で様々な実験条件を設定するため,それぞれの実験を公正に比較することが難しい.そこで我々は,自動車排気のin vitro評価法の標準化を目指し,その基本骨格の構築を目指している.  自動車排気は呼吸により取り込まれることから,その影響評価では吸入曝露を反映した気液界面培養条件下での細胞曝露が重要である.気液界面培養条件では細胞は乾燥しやすく,長時間送気しながら細胞を安定した状態に保つことは難しい.その一方で,近年の自動車排気は大幅に改善されていることから,微弱な排気の影響を感度良く検出するためには長時間曝露可能な実験系が求められる.これらのことから,我々は送気の湿度を制御するために加湿器を導入し,細胞を安定した状態で6時間連続曝露可能な細胞曝露システムを構築した.さらに,本細胞曝露システムを用い,実際に大気汚染物質や自動車排気等を細胞に曝露し,炎症応答を鋭敏に検出できることを確認する必要がある.そこで本研究では,我々の細胞曝露システムの炎症応答評価への利用可能性を検討することを目的に,大気や自動車排気に含まれており,炎症を誘導することが広く知られているNO2の細胞曝露実験を実施し,炎症関連遺伝子の発現変動を解析することとした.
  • 山田 英助
    原稿種別: 研究速報
    2017 年2017 巻6 号 論文ID: JRJ20170606
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     化石燃料の代替エネルギー源の有力候補である水素を燃料とした燃料電池自動車(FCV)が次世代の自動車として注目されている.水素の単位体積あたりのエネルギー密度は著しく低いので,FCVでは水素を高圧にして専用の高圧水素容器に格納している.最大70 MPaに達するFCVの高圧水素容器には高度な安全性が求められており,各種の評価試験が実施されている.  その一つに,火災時にFCVの容器が破裂しないことを確認する火炎暴露試験がある.この試験では,容器を火炎に晒して容器に付属する熱作動式安全弁(TPRD)を作動させ,安全に容器内の水素が放出されて容器が破裂しないことを確認する.TPRDの作動に重要な温度上昇過程を把握するために実験および数値シミュレーションによる研究が実施されている.TPRDの不作動を防止するためには,数値シミュレーションで温度上昇過程を事前に確認することが有効と考えられる.本研究では,様々な流体解析に対応可能で安価に利用できるオープンソースソフトウェアのOpenFOAMに注目し,火炎暴露試験に対して有効な数値シミュレーションツールになり得るかどうかの検討を行った.
技術資料
  • -有機エアロゾル質量スペクトルを用いた合成データによる一次粒子と二次粒子の分離-
    萩野 浩之
    原稿種別: 技術資料
    2017 年2017 巻6 号 論文ID: JRJ20170605
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     大気中の微小粒子状物質(PM2.5)のうち,有機成分(有機エアロゾル)は多岐にわたる成分から構成され,発生源から直接排出される一次有機エアロゾル(POA)やガス状成分から光化学反応を経て生成する二次有機エアロゾル(SOA)から成り立つ.これらの物質の大気中における時空間変動は大きいことが知られており,大気中での動態を解明するためには,分析技術や解析方法の進展が不可欠である.  近年,PM2.5の化学的性状を分析するために,エアロゾル質量分析計(AMS)を用いた観測が世界中で広く行われている.AMSを用いた有機エアロゾルの発生源推定を行う場合,統計的手法であるPositive Matrix Factorization(PMF)法が用いられることがある.この方法では,有機エアロゾルを観測データの時間変動に起因する共通因子として導き,有機エアロゾルの発生源を推定するものである.しかし,PMF法による発生源推定では因子を充分に分離できないことが指摘されている.このため,PMF法で発生源を推定する場合,その性能と課題を充分に理解した上で使用する必要がある.  本研究では,発生源推定を行う手法であるレセプターモデルである,PMFやChemical Mass Balace(CMB)法による解析の特性を理解するため,実験的に観測から得られた有機エアロゾルの質量スペクトルに対し,シナリオに基づいた合成データ(時系列データ)を作成し,想定した寄与度との整合性の確認を行った.
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