大気中の微小粒子状物質(PM2.5)のうち,有機成分(有機エアロゾル)は多岐にわたる成分から構成され,発生源から直接排出される一次有機エアロゾル(POA)やガス状成分から光化学反応を経て生成する二次有機エアロゾル(SOA)から成り立つ.これらの物質の大気中における時空間変動は大きいことが知られており,大気中での動態を解明するためには,分析技術や解析方法の進展が不可欠である.
近年,PM2.5の化学的性状を分析するために,エアロゾル質量分析計(AMS)を用いた観測が世界中で広く行われている.AMSを用いた有機エアロゾルの発生源推定を行う場合,統計的手法であるPositive Matrix Factorization(PMF)法が用いられることがある.この方法では,有機エアロゾルを観測データの時間変動に起因する共通因子として導き,有機エアロゾルの発生源を推定するものである.しかし,PMF法による発生源推定では因子を充分に分離できないことが指摘されている.このため,PMF法で発生源を推定する場合,その性能と課題を充分に理解した上で使用する必要がある.
本研究では,発生源推定を行う手法であるレセプターモデルである,PMFやChemical Mass Balace(CMB)法による解析の特性を理解するため,実験的に観測から得られた有機エアロゾルの質量スペクトルに対し,シナリオに基づいた合成データ(時系列データ)を作成し,想定した寄与度との整合性の確認を行った.
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