JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2017 巻, 7 号
JARI Research Journal 2017年7月号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究速報
  • 松田 佳之, 清水 貴弘, 橋正 好行, 富岡 秀徳
    原稿種別: 研究速報
    2017 年2017 巻7 号 論文ID: JRJ20170701
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     2014年に市販が開始された燃料電池自動車(FCV)の本格普及に向け,低コストでかつ一定の品質要件を満たした水素供給が重要な課題となっている.水素燃料コスト低減のためには,水素の大量かつ長距離輸送,貯蔵技術の開発が必要である.その有望なプロセスとして,有機ハイドライドによる水素供給技術が検討されており,2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおける実証を目標に開発されている.有機ハイドライドはトルエン等をはじめとする有機化合物の水素化・脱水素化反応により水素貯蔵が可能な媒体である.有機ハイドライドは,水素を液体で輸送可能であり,タンカーや備蓄タンクなど既存のインフラを活用することもできる.トルエン(C7H8)-メチルシクロヘキサン(C7H14)系の場合の水素化・脱水素化反応を式(1)に示す.   C7H8 + 3H2 ⇔ C7H14 (1)  このプロセスを利用して水素を供給するとき,トルエン,メチルシクロヘキサンおよび他の炭化水素類が水素燃料中に混入する可能性が考えられる.現行のFCV用水素品質規格(ISO 14687-2: 2012)において,炭化水素はC1換算として2 ppm/C1以下と規定されている.  炭化水素類が燃料電池アノードに混入したときの発電性能に及ぼす影響については,WangやDornらによりトルエン,Wangや辰巳らによりベンゼンの結果が報告されている.しかしこれらの条件は白金担持量が多いことや,燃料電池の作動温度が80℃のみの評価であるなど,現状のFCV技術や運転条件を十分に反映できていない.そこで本研究では,有機ハイドライド由来の不純物による影響をスクリーニング調査し,セル電圧への影響の有無を明らかにすることを目的とした.また,有機ハイドライド不純物として最も混入可能性が高いトルエンについては反応機構を解明するため,燃料電池アノード排出ガスを分析した.
  • 長谷川 信, 金子 貴信
    原稿種別: 研究速報
    2017 年2017 巻7 号 論文ID: JRJ20170703
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     自動車の電気/電子システムの機能安全国際規格ISO 26262は2011年に発行され,乗用車をその対象としているが,2018年に予定されている第2版において二輪車も対象に含まれる見通しである.この改定に先立ち,二輪車への機能安全の適用にあたり必要な要件が公開仕様書ISO/PAS 19695として2015年12月に発行されており,第2版にもこの内容が織り込まれることが想定される.  本研究の目的は,ISO/PAS 19695に基づきMotorcycle Safety Integrity Level (MSIL) を導出し,機能安全を二輪車に適用する際の課題を検討することである.あわせて,MSIL導出に必要なエクスポージャの推定についてのその基礎となるデータの種類,測定方法の事例を示すことである.なぜなら,乗用車のAutomotive Safety Integrity Level (ASIL) 導出に関する研究発表事例はある程度存在しているが,MSIL導出に関するものはほとんどみられないためである.  ISO/PAS 19695に規定されているMSILを決定する要素にはエクスポージャ (E),コントローラビリティ (C),シビアリティ (S) がある.二輪車のコントローラビリティ,シビアリティの推定方法については検討例があるが,エクスポージャについては推定の根拠となる運用状況のデータが乗用車と比較して少なく,エクスポージャクラスをエキスパートが判断するためには実交通環境のエクスポージャ事例を調査することが有用である.  本研究では,ISO/PAS 19695に準拠したハザード分析およびリスクアセスメント (HARA) を実施し,二輪車特有の運用上の課題を考察した.そして,実地調査により二輪車の実交通環境での走行データを収集し,エクスポージャを推定した.具体的には,Fuel Injection (FI) システム,Throttle-By-Wire (TBW) システム,Anti-Lock Brake System (ABS),Combined Brake System (CBS) といった二輪車の「走る,止まる」の要素に大きく影響し,また二輪車で一般的になりつつある電気/電子システムについてHARAを実施し,想定される課題を検討した.その結果,TBWシステムの失陥が発生したシチュエーションを検討する場合には,追従走行時のエクスポージャを求めることが必要であり,このエクスポージャは二輪車と乗用車で異なることが想定された.そのため,一般道路を一定速度で,前の乗用車に追従している二輪車の車間時間を調査対象として選択し,交通量の多い道路で合計5台のカメラによって得られた映像データを用いて追従走行時のエクスポージャを分析した.
  • 橋正 好行, 大徳 浩志, 沼田 智昭
    原稿種別: 研究速報
    2017 年2017 巻7 号 論文ID: JRJ20170705
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     燃料電池自動車の本格的な普及のためには,燃料電池膜/電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)材料の性能,耐久性を向上させ,燃料電池スタックのコストを大幅に低減する必要がある.新規材料の開発効率を向上させるために,開発材料の耐久性を短時間で適切に評価することを狙った共通の評価法(耐久性評価プロトコル)がFCCJ(The Fuel Cell Commercialization Conference of Japan: 燃料電池実用化推進協議会)等から提案されている.  燃料電池のセル内部では,出力の変動に対応して生成水の量が増加,減少するなどの理由で湿度サイクルが発生する.電解質膜の寸法はその含水率によって変化することが知られており,湿潤環境下では含水率が上昇することで電解質膜が膨潤し,乾燥環境下では含水率が低下することで電解質膜が収縮する.電解質膜が膨潤,収縮を繰り返すことでその機械的耐久性が低下する現象が報告されている.このような劣化現象に対して,電解質膜の機械的耐久性を評価するための試験法として湿度サイクル試験が設定されている.我々はMEAの触媒層厚さに注目し,触媒層厚さを大きくすることでみかけの貯蔵弾性率が向上し,湿度サイクル耐久性が向上することを報告してきた7).本研究では,異なる種類の電解質膜についても触媒層が湿度サイクル耐久性に及ぼす効果の検証を行った.電解質膜単体および触媒層を形成した電解質膜(Catalyst Coated Membrane,以下「CCM」という)を用意し,単セルを用いた湿度サイクル試験,動的粘弾性および熱機械特性の測定を行い,得られた特性値とサイクル寿命との相関を比較することで,電解質膜の湿度サイクル耐久性を向上させるために必要な要件を考察した.
技術資料
  • 福山 慶介, 三上 耕司, 鮏川 佳弘, 山口 伊織
    原稿種別: 技術資料
    2017 年2017 巻7 号 論文ID: JRJ20170706
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     交通事故時の速度鑑定手法のひとつとして,運動量保存則とエネルギ保存則を連立して速度推定する方法がある.この手法では,エネルギ吸収分布図を用いて車両の永久変形量から変形に消費されるエネルギを算出する.これまでに剛体壁へのフルラップ前面衝突試験により,様々な前面エネルギ吸収分布図が報告されている.高速衝突における軽乗用車のエネルギ吸収分布図については,1998年にMogamiらにより提案されているが,高速域と低速域でエネルギ吸収分布図を使い分ける必要があり,速度域の判断が非常に難しい部分があった.また,軽乗用車の規格が変更となる以前の車両であるため,現在の車体剛性とは異なると考えられる.他方,2007年に大賀らにより,現在の軽乗用車規格に対応したエネルギ吸収分布図は提案されたが(以下,「エネルギ吸収分布図(2007)」),55 km/h(中速度)で剛体壁へ衝突させた実験データを元に作成されたものであり,高速衝突までは対応していない状況にあった.  以上の背景から,本稿では,軽乗用車において高速衝突で車体変形が大きい場合でも対応可能なエネルギ吸収分布図を提案するために,軽乗用車の高速衝突試験を実施し,軽乗用車のエネルギ吸収分図を検討した結果について報告する.
調査資料
  • 須藤 菜那
    原稿種別: 調査資料
    2017 年2017 巻7 号 論文ID: JRJ20170704
    発行日: 2017年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     大気汚染物質のひとつである微小粒子状物質(PM2.5)は,呼吸器や循環器など人体への健康影響が懸念されている.また,PM2.5の環境基準値は未達成であり,効果的な環境対策を行うためにはPM2.5の詳細な成分情報が必要である.  PM2.5の約3割を炭素成分が占めており,特に有機炭素は発生源から直接排出される一次粒子と揮発性有機化合物(VOC)などが大気中で反応してできる二次粒子の両方を含んでいる.さらに,有機炭素は数百から数千種類以上の化合物から形成されており,成分の実態が解明されていないのが現状である.有機炭素の中でも主要な成分であるn-アルカンは,大気中での反応が比較的遅く,人為起源と植物起源を推定する有用な指標である.  そこで本稿では,PM2.5に含まれる有機炭素の主要成分であるn-アルカンに着目し,分析方法,起源同定のための指標化,また安定同位体を用いた技術について文献調査を行った.
研究活動紹介
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