一般財団法人日本自動車研究所 (以下「JARI」という) は,「圧縮水素自動車燃料装置用継目なし容器の技術基準 JARI S 003 (2018)」(以下「JARI S 003」という) を制定した.本基準は最高充填圧力を35 MPaとする圧縮水素用金属製継目なし容器 (以下,「Type 1容器」という) の技術基準であり,主にフォークリフト等の燃料電池産業車両への搭載が期待され,それらの普及・拡大により水素社会の更なる発展に貢献するものである.
本稿では,JARI S 003の制定の経緯および概要について紹介する.
自動車用内燃機関技術研究組合(以下AICEと記す) は,国内自動車メーカーが協調して自動車用内燃機関に関する共通課題を設定し,大学・研究機関の英知により研究を推進するという産学連携に取り組んでいる.JARIはAICEの設立から関与し,2014年4月のAICE設立以来は,AICE活動の運営を担う組合員として,また,AICEが推進する基礎応用研究の実施者としてAICE活動に参画している.特に研究面では大学等国内研究機関と連携し,いくつかの研究テーマでは研究リーダーとして取りまとめをおこなうことにより,成果の導出に貢献してきた.また,経済産業省主導で推進されている自動車に関するモデルベース開発(MBD:Model Based Development) の普及についても,JARIはAICEと連携して推進している.ここでは,JARIが主体となって推進して得られた研究成果,ならびにMBD推進活動について紹介する.