周辺監視義務をシステムが有する高度な自動運転車 (レベル3以上)を早期に社会実装するためには,安全性を確実に担保できる評価手法が必要である.自動運転のレベル定義をTable 1に示す.欧州ではPEGASUSプロジェクトやHorizon2020に代表される産官学が協調して自動運転システムの評価プロセスの標準化を進める動きが活発化しており,自国の道路交通事情を中心に評価プロセスの構築を推進している.したがって,日本でも国内の交通事情を鑑みた安全性評価のプロセスや手法の研究開発を進める必要がある.このような背景で,経済産業省からの委託事業である「自動走行システムの安全性評価技術構築に向けた研究開発プロジェクト (2018年度~) 」(SAKURAプロジェクト) では,まずは一般量産車の自動運転 (レベル3以上) を対象として,国際動向を踏まえつつ,自動運転システムの安全性評価に必要なプロセスと評価手法の開発と検証を行っている.具体的には,シナリオベースの安全性評価手法を検討しており,シナリオおよび紐づく各種パラメータの妥当性を裏付ける実交通環境データの収集と分析も行っている.また,社会実装が比較的に早いとされる高速道路や自動車専用道路を当面の対象としている.特に,衝突リスクに影響する複数車両の相互関係に係る交通外乱データ (車線変更や加減速など) の収集を実施している.本事業では,計測車両と定点観測の二つの方法で交通外乱データを収集しているが,本稿では定点観測による交通外乱データの収集,画像処理を使った軌跡データ抽出と精度予測/検証,データ収集状況を紹介する.
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