日本政府は2015年に開催されたCOP21にて地球温暖化対策の中期的な目標として,2030年までに温室効果ガス排出量を2013年比で26%削減することを公表しており,この目標は5年毎に見直し,提出することが求められている.さらに,2021年に開催されたCOP26にて岸田首相は2030年に46%削減,2050年までに国内の温室効果ガス排出量を実質ゼロまで削減することを表明した.日本における運輸部門のCO2排出量は総排出量の18.5%を占めており,そのうち自動車部門は86.2%を排出している.また,自動車の平均使用年数は12年以上と比較的長く,新規技術の普及に時間が必要であることを考慮すると,2030年,2050年の目標達成には早期の対策導入が必要である.筆者らは既往研究にて,自動車技術の進展と消費者選好を考慮した長期温室効果ガス推計手法を開発し,2050年までを対象に自動車部門の温暖化対策効果を検討した.その手法では燃費の改善や次世代車普及などの単体対策に加えて,交通流改善,エコドライブ,自動運転普及,MaaS,カーシェアリングなどの効果を考慮した統合対策効果を推計可能となった.そこで,本報では筆者らの既往研究の成果を整理し,自動車部門の温暖化対策導入時の効果を紹介し,それに伴い環境影響(大気汚染物質,道路交通騒音)への効果について整理した結果を述べる.
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