世界全体で地球温暖化の対策が進められており,各国においても中長期(2030年~2050年)を対象に温室効果ガス削減目標が設定され,日本でも2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを表明している.カーボンニュートラル達成に向けた目標を設定するためには,各種施策を導入する必要があるが,これらを適切に評価するためにはいろいろな情報(CO2排出量やエネルギー消費量など)が必要である. 温暖化対策の効果評価を行うために必要な統計データは膨大で多様であるため,効率的に活用するには,データベース化を進めることで,データの効率的な整理・保存ができ,その利用価値を大きく高めることができる.また,データベースを活用することで,必要な情報を迅速に抽出,多様な場面で効果的に利用することが可能となる. そこで,自動車の販売台数やガソリンの販売量などの自動車に関する環境・エネルギー分野の基礎データ,燃費基準,排出ガス規制やクリーンエネルギー車補助金などの産業・政策動向を収集してきた. 本報では,これまで構築したデータベース1) を活用し,日本のCO2排出量の約2割を占める運輸部門において,乗用車部門のCO2排出量動向を整理した結果を紹介する.
一般財団法人日本自動車研究所(JARI)は,電動・自動運転車の試験・評価に用いることができるシミュレーション基盤の構築を行っており,その一環としてタイヤ特性のモデル化に取り組んでいる.電気自動車1種の標準(純正)タイヤ1種および当該車両にて交換可能な市販タイヤ7種についてフラットベルト式タイヤ試験機を用いてタイヤ特性を計測し,実験近似式モデルであるMagic Formulaに基づいてタイヤ特性をモデル化した.本稿では,本事業におけるタイヤ特性の計測ならびにタイヤ特性のモデル化に関する取り組みについて紹介する.
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)グリーンイノベーション基金事業(GI事業)「電動車等省エネ化のための車載コンピューティング・シミュレーション技術の開発/電動車両シミュレーション基盤の構築」プロジェクトの一環としてタイヤ特性のモデル化に取り組んでいる.タイヤ特性は室内タイヤ試験機を用いて計測を行い,そのデータをタイヤモデルにパラメータ化して車両シミュレーションに適用することになる.しかしながら,タイヤ特性は路面による影響があり,実路面での特性を再現できているかどうかの確認が望まれる.そこで,本稿では実路面におけるタイヤ特性の計測とモデリングの取り組みを紹介する.
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