年々深刻化する環境問題への取り組みが,企業・業界,国家にとって最重要課題の一つとなっている.経済産業省が打ち出した自動車分野のGX(Green Transformation:カーボンニュートラルと経済成長の両立を目指す取り組み)戦略では,自動車のカーボンニュートラル(CN)実現に向けた多様な選択肢の追求,自動車の電動化,車の使い方の革命など,幅広い取り組みが求められている. JARIシンポジウム2024では,国際エネルギー機関(IEA)の貞森氏による特別講演,経済産業省の岡林氏,早稲田大学の大聖氏による基調講演,そしてJARI職員による講演を企画した.さらにパネルディスカッションにおいては自動車メーカ(乗用車,商用車),エネルギー業界,環境ジャーナリスト,国際機関,学術機関などさまざまな立場から,GXへの取り組みについて討論を行った.本稿では,本シンポジウムの開催概要を報告する.また各講演は,本号の記事を参照いただきたい.
国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook(WEO)2024等に基づき,運輸部門を中心に,エネルギー転換の速度および化石燃料需要削減に関する不確実性とそれがエネルギー安全保障にもたらすimplication(暗示)を論じる.
カーボンニュートラルの実現に向け,電動化,水素,燃料の脱炭素化など多様な選択肢を追求しつつ,EVと内燃機関の両市場で勝つべく,各分野において取組を推進している.本講演では,自動車分野のGX(Green Transformation:カーボンニュートラルと経済成長の両立を目指す取組)実現に向けた取組や方向性を紹介する.
自動車分野における2050年のカーボンニュートラルに向けて,自動車の電動化とそれに利用される燃料や電力の脱炭素化が必要不可欠とされている.本講では,それらの実現に関わる課題を取り上げ,その解決のための方策について展望する.
一般財団法人日本自動車研究所(JARI)環境研究部が取り組んでいる研究領域の中から,カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現に貢献すべく,環境負荷ゼロを目指した取り組み概要を紹介する.
自動車セクターを対象に消費者の選好および自動車技術進化を考慮した長期CO2排出量モデルを開発した.このモデルを用いて,ライフサイクルにおける2050年までのCO2排出量および関連項目について検討した結果を紹介する.
地球温暖化対策の基本は炭素を含む燃料使用の抑制であり,それは大気汚染物質の発生低減にも直結する.本稿では,2050年シナリオに基づいた大気汚染物質の排出量変化と,シミュレーションによる大気環境の予測を紹介する.
本稿では,高知県仁淀川町と大分県姫島村における小型電動モビリティの試験走行の結果を踏まえて,中山間地域および離島での移動課題を解決する車両要件について検討する.仁淀川町では,高齢者の移動支援を目的とした電動のトゥクトゥク(小型の3人乗り電動三輪自動車,道路運送車両法では側車付軽二輪扱いとなる)の導入が高齢者の外出頻度の向上やコミュニティ活性化に寄与する可能性について検討を行う.姫島村では,観光客と高齢者双方のニーズに応えるために電動カートを活用し,観光振興や住民の生活支援の効果を確認する.地域の特性に基づく運用可能な車両要件の検討に基づいて,免許制度の見直しや法整備の必要性を明らかにするとともに,全国展開可能かつ持続可能なモビリティ社会の構築に向けた方向性を示唆する.
高度経済成長期に整備されたニュータウンは,住民の高齢化と施設の老朽化が同時に進行しており,「オールドニュータウン問題」として社会的な課題となっている.本稿では,オールドニュータウンに居住する高齢者のWell-Being(幸福や健康で充実した状態)およびQOL(生活の質)の維持向上に焦点を当て,全国で実施されているモビリティ・リデザインの事例のうち,特徴的なものを四つ選び,調査・分析した.調査の結果,ニュータウン内での徒歩移動の制約,バス減便によるアクセス利便性の低下,階段が多い団地環境など,高齢住民の移動に大きな負担を与える要因が複数存在することが明らかになった.これらの移動困難問題を解決するために,各地で低速モビリティの導入が試みられているが,持続可能な形で継続している事例は現時点では少ない.成功事例の分析からは,以下の重要な知見が得られた:1) 低速モビリティなど移動手段の確保,2) 福祉施設や介護施設,住民交流のための休憩スペースなど,移動の目的となる設備の整備,3) 事業者や利用者が当事者意識を持って関与できるような事業規模の適切化.
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら