リチウムイオン電池の温度は,容量や出力といった性能のほか,寿命や安全性にも影響する重要な因子である.一般財団法人日本自動車研究所(JARI: Japan Automobile Research Institute)では,電動車両(xEV)向け車載用蓄電池を対象に,発熱・伝熱シミュレーション技術を活用した評価・解析基盤の構築を進めている.本稿では,JARIにおける取り組みの一例として,セル単体の電圧・温度応答を扱うセルモデルの作成・検証と,モジュール内部の温度分布を評価するための三次元(3D: Three Dimensions)温度シミュレーションの構築・検証について述べる.セルモデルでは,開回路電圧,等価回路パラメータ,エントロピー変化などの電気・発熱特性を用いて,電流負荷に対する電圧・温度推移を評価する.3D温度シミュレーションでは,熱伝導率,接触熱抵抗などの伝熱パラメータを用いて,モジュール内の温度分布や部材間の熱移動を考慮する.これらのモデルを実験結果と比較することで妥当性を確認し,車載用蓄電池の温度挙動評価や設計検討を支援するための解析基盤の構築に取り組んでいる.