シミュレーション&ゲーミング
Online ISSN : 2434-0472
Print ISSN : 1345-1499
28 巻, 1 号
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特集論文:デジタルゲームの心理的,生理的,身体的,人間関係的影響と健全化の取り組み
査読論文
  • 藤原 正仁
    2018 年 28 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/06/17
    ジャーナル フリー

    本稿では,台湾のゲームレーティングについて紹介し,他国・地域のレーティングシステムと比較しながら,その特徴を整理した.2011年,「デジタルゲームレーティング委員会」が発足し,ゲームのコンテンツに対して,業界団体や学者,保護者団体など,さまざまな意見が反映されるようになった.2012年,「コンピュータソフトウェアレーティング規制」から「ゲームソフトウェアレーティング管理規制」へ修整され,普遍級,保護級,輔導級,限制級の4区分から,普遍級,保護級,輔12級,輔15級,限制級の5区分に変更された.台湾のゲームレーティングでは,遊技測試員がゲームを実際にプレイして審査書類が作成されている.また,「ゲームソフト評価基準表」は,年齢別レーティングの根拠となる性,暴力と恐怖,麻薬,タバコとアルコール,不適切な言葉,恋愛,反社会性という項目について明文化され,Webサイトで公開されており,透明性と客観性がある程度担保されている.審査員は,学者,有識者,保護者団体,教師団体などのメンバーで構成されており,ゲーム業界と利害関係のない独立した組織として機能している.

  • 山本 喜晴
    2018 年 28 巻 1 号 p. 12-23
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/06/17
    ジャーナル フリー

    本研究では投影法心理検査の中からロールシャッハ・テストおよび箱庭を用いて,コンピュータゲームに対する親和性とパーソナリティとの関連を調べた.質問紙法調査によって,コンピュータゲーム親和性尺度を作成し,ロールシャッハ・テストの各スコアについて,コンピュータゲーム親和性尺度の高群・低群間の有意差を調べたところ,高群は色彩を伴いかつ形の明確な反応の数が有意に高く,血液反応の数が有意に低かった.このことから,コンピュータゲームへの親和性が高い人は,色彩を手掛かりにイメージを投影する傾向があり,外界に対する情緒的反応が程よい傾向にあることが考えられた.一方で,据え置き型ゲーム機を長時間プレイする人は,現実検討力に課題を抱えやすい傾向も示された.箱庭の結果からは,個性的な創造性に結びついた箱庭はコンピュータゲーム親和性の高群と低群の両方に確認できたが,特に,コンピュータゲーム親和性の高い人が創造性を発揮する際には,退行が生じやすい可能性が示唆された.

  • 堀内 由樹子, 田島 祥, 松尾 由美, 寺本 水羽, 鄭 姝, 倉津 美紗子, 鈴木 佳苗, 渋谷 明子, 坂元 章
    2018 年 28 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/06/17
    ジャーナル フリー

    本研究では,子どものデジタルゲーム利用に対する保護者の介入行動について,横断的調査を2011年と2017年の2時点で実施し,その調査結果から子どもの学齢および時代による変化を検討した.分析対象者は調査時点で3歳児クラスから高校3年生までの子どもをもつ親であり,2011年の調査では760名,2017年調査では700名の父親および母親の介入行動のデータを得た.調査の結果,学齢による違いとしては,中学生以降で「共接触」以外の介入行動が減少する傾向が見られ,子どもの発達的な変化に応じて保護者が介入行動を変化させていることが示された.また,時代による変化としては,2017年時点で,子どものメディア利用状況を把握していない家庭が増えているとともに,一部の介入行動について2017年の方が2011年の調査よりも頻度が減っており,子どものメディア利用に対する保護者の指導機会が減少していることが示唆された.

  • 田島 祥, 堀内 由樹子, 寺本 水羽, 松尾 由美, 倉津 美紗子, 鄭 姝, 坂元 章
    2018 年 28 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/06/17
    ジャーナル フリー

    現代のデジタルゲームはインターネットに接続した状態でプレイするものが多く,他のプレイヤーと交流したり,新しい人間関係を作るきっかけを提供する場にもなっている.そこで生じうるリスクを抑制する要因として,保護者からの介入が挙げられる.本研究では,介入行動に先立つ保護者の態度に焦点を当て,その特徴を検討した.3歳から高校3年生までの子どもをもつ保護者1,000名を対象に調査を行った.ゲームをきっかけとした他者との交流に対する保護者の態度は,オンラインで新たな関係が構築される可能性があるゲームと,そうした可能性はないゲームに対するものとに分けられた.両者に対する態度から,保護者を4つのグループに分類し,子どもの性別や学校段階,保護者の性別やゲーム経験,ゲームの影響に対する考え方との関連を検討した.

  • 鈴木 佳苗
    2018 年 28 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/06/17
    ジャーナル フリー

    本研究では,携帯型ゲームの使用量やゲーム中の行動内容が小学生の社会的適応(ネット上と現実の友人数,友人関係満足度,孤独感)に及ぼす影響を検討した.関東圏の小学校で1年間の間隔をあけて収集した2波のパネルデータ(483名)に対して構造方程式モデル分析を行った.分析の結果,携帯型ゲーム使用量全体と社会的適応に有意な因果関係は見られなかった.携帯型ゲーム中の行動内容が社会的適応性に及ぼす影響については,行動内容によって影響を及ぼす場合があり,通信相手と協力したり競争したりする経験が多いほどネット上の友人数が増えることが示された.逆の因果関係として,社会的適応が高い場合にも低い場合にもそれぞれ携帯型ゲームでより多く経験される行動内容があり,ネット上や現実の友人数が多いほどゲーム中のコミュニケーション機能の使用が増えたり,友人関係満足度が低いほど通信相手と協力したり競争したりする経験が多くなることなどが示された.

  • 佐々木 輝美, 林 志修
    2018 年 28 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/06/17
    ジャーナル フリー

    本研究では,ゲームレーティングの客観的な基準を探った.その基準を明らかにするため,ゲームソフトのレーティングを行っているNPO法人のCEROが公表した一連の調査データの中の性表現,暴力表現,および反社会的行為表現に関するデータを利用し,次の3点を検討した.1)各々の表現項目がどの年齢にふさわしいかの判断について,保護者とゲームユーザーとの間に統計的に有意な差があるかどうか.2)有意な差がある場合は,なぜそのような差が生じるのか.そして,3)レーティングの客観的な基準を何に求めたらよいのか.その結果,1)保護者とゲームユーザーとの間には明らかな有意差が見られ,2)その理由として,保護者については第三者効果が,そしてゲームユーザーには脱感作効果が働いていることが推測された.そして,3)ゲームユーザーの中でも,女性ライトユーザーがバランスのとれた判断をしていることがわかり,客観的なレーティング基準として役立てることが提案された.

一般論文
査読論文
  • Victor Alonso Cuesta Aguiar, Maziah Mat Rosly, Masaru Nakano
    2018 年 28 巻 1 号 p. 60-72
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/06/17
    ジャーナル フリー

    In this paper, the importance and dimensions of sustainable supply chain management are presented holistically, global businesses face several economic, social, and environmental supply chain challenges. Sustainable supply chain management is complex and serious games are the perfect method to raise awareness and comprehension of sustainable supply chain management. Existing supply chain management and sustainable supply chain management serious games are analyzed and categorized; sustainable supply chain management serious games are additionally classified in the serious game cube, resulting in a state of the art outlook of the serious games available. A possible explanation as to why there are few sustainable supply chain management serious games is correspondingly provided. The design process of Looper and flow of the serious game is displayed to the reader. Finally, “Looper” is tested to assess its viability in raising sustainable supply chain management awareness, proving to be successful. “Looper” is a single player sustainable supply chain management serious game designed to provide a comprehensive approach to sustainable supply chain management. The ability of “Looper” to prompt discussion and create awareness in non-traditional modus makes “Looper” a significantly attractive alternative teaching tool. Academics, business practitioners and the public are encouraged to make use of “Looper”.

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