本論文では、2020年秋学期に実施した調査を通じて、コロナ禍にある学部2年生以上の学生のメンタルヘルスについて報告を行った。調査はオンラインにて行い、調査協力者は1,006名の大学生であった(学部2年生438名、学部3年生307名、学部4年生以上261名)。分析の結果から、抑うつと不安は大切な人のサポートと負の関連がある一方で、コロナによるストレスとは正の相関があることが明らかになった。さらに、女性の方が男性よりも抑うつおよび不安が高いこと、抑うつおよびコロナによるストレスは4年生以上よりも3年生の得点が高く、不安は2年生よりも3年生の得点が有意に高いことが示された。他方、希死念慮のハイリスク群の学生数には学年差はみられなかった。新入生だけではなく2年生以上のメンタルヘルスにも注意が必要であり、その中でも抑うつや不安が高かった3年生は、先の見えないコロナ禍で就職活動や研究室活動をしなければならず、暗中模索の状態だったかもしれない。コロナ禍において学年ごとに置かれた状況は異なるため、その特徴に留意しながら、柔軟に支援方略を検討する必要がある。
抄録全体を表示