学生相談研究
Online ISSN : 2758-0067
Print ISSN : 0914-6512
43 巻, 1 号
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資料
  • ―コロナ禍の対応を含めて―
    森田 裕子
    2022 年 43 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2023/05/19
    ジャーナル フリー

     短期大学は短い修学期間で、資格取得を目指す学科も多いため、授業数は多く学習スケジュールも過密になりやすい。このため早期から学生を支える相談・支援体制を整える必要があるが、課題も多いのが現状である。本研究では、短期大学の学生相談・支援の実態を把握するため、全国の短期大学309校を対象に、Webアンケートを実施した(回答率24.9%)。結果から、小規模の短期大学ならではの個別の対応や、教職員の協力を得やすいといった特徴があることが示された。一方、「対人関係」「メンタルヘルスを含む健康面」「家庭・家族関係」「学習面」「進路選択」の課題に加え、なかなか相談につながらない実態があることも示された。対応する人材が少なく小さい組織であるほど、一部の担当者に負担が生じる可能性があることも示唆された。また、2020年のコロナ禍の対応では、学生が抱える問題を把握しにくい状況も起こっていた。学生支援の充実を図るうえで、役割の明確化や専門的な人材の配置、それを組織的に有効活用できる体制を整えておくことが必要といえる。

  • 杉江 征, 杉岡 正典, 堀田 亮, 福盛 英明, 今江 秀和, 小橋 亮介, 二宮 有輝
    2022 年 43 巻 1 号 p. 56-100
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2023/05/19
    ジャーナル フリー

     日本学生相談学会では、高等教育機関における学生相談機関の設置やその組織のあり方、活動の実態等に関する状況の定期的な把握と共有を目的として、全国の大学・短期大学・高等専門学校を対象に調査を行っている。9回目となる今回の調査では、学生相談機関の設置率は前回の調査と同程度で、ここ数年大きな変動はみられていない。カウンセラーの配置や雇用状況は、指標によっては幾分改善されてきていることころもみられるが、校種や規模などによってはより不安定になっている状況もうかがえた。来談者状況は、新型コロナウイルス感染症の影響により、年間来談者数は約半数の機関で来談者が減少し、約2割の機関で増加していた。活動状況は、全体としては、これまでの傾向と同様なものであったが、コロナ禍で苦しむ学生への支援として、遠隔相談やWEBの利用など様々な工夫が模索され、新しい活動を試みながら、健闘している様子がうかがえた。

展望
  • 江上 奈美子
    2022 年 43 巻 1 号 p. 101-111
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2023/05/19
    ジャーナル フリー

     本稿では、日本学生相談学会および学生相談関連の全国的な会合を中心に、2021年度における学生相談学界の動向を報告し、今後の展望について考察を行った。
     2021年度の学生相談学界の特徴としては、2020年度から続いている新型コロナウィルス感染症拡大に関連した論考や研究発表、研修が多く見られたことが大きな特徴であった。ウェブ会議システムを用いた学生対象のグループ活動やセミナーの実施などが多く実施されてきたが、さらに今後はそれらの拡充が進んでいくと考えられる。
     今後は学生支援に携わる者が、待つ姿勢から、働きかけるという姿勢に重心を移していくことが重要となる。その支援とは、大学生がコロナ禍での体験をこれからの成長の糧にしていけるような「育ち」の支援になることが求められる。

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