日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
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日本文化人類学会第42回研究大会
選択された号の論文の344件中151~200を表示しています
個人発表
【分科会】 「仕事の人類学」が拓く地平-労働・ジェンダー・社会変容-
個人発表
  • 北インド・ダラムサラ在住チベット難民舞踊集団を事例に
    山本 達也
    セッションID: E-29
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    本発表は、チベット難民社会における伝統概念を、チベット難民舞踊集団の事例を通して、先行研究で提示されてきた伝統観を再考するものである。この再考を通して、「伝統の創造」に関する議論においても、旧来の議論が提唱してきた伝統概念をそのまま現地に当てはめるのではなく、つねに現地の文脈に応じて、そのリアリティなどを勘案しつつ検討、考察するべきだ、ということを提唱する。
  • 中国内モンゴル自治区オルドス地方における白いスゥルデ祭祀事例を中心に 
    ソロンガ ソロンガ
    セッションID: E-30
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    チンギス・ハーン即位800周年を機に、中国内モンゴル自治区に居住しているマイノリティのモンゴル人たちは、国との緊張関係をもちながら、チンギス・ハーンの祭祀を企図してきた。その中でオルドス地方に、チンギス・ハーンの白いスゥルデ祭祀が盛大に「復活」され、すでに復活されていた祭祀と「二重」に行われるようになった。これまでの研究では「ニュー・エスニシティ」現象に、「伝統」の当事者としての「正統性」という問題は出ていなかったが、本研究では、その点が重要な論点の一つとなる。
  • メコンデルタ農民の事例
    渋谷 節子
    セッションID: E-31
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    ベトナム南部、メコンデルタの農民が「現在」について語るとき、縦糸としての「過去」との比較と、横糸となる「他者」との比較が複雑にからみあっている。この発表では、カントー省の農民の事例をあげ、「過去」がいかに「他者」との比較の中に現れ、その結果としてどのように人々の「現在」の認識を形作っているのか、そして、「過去」がいかなる意味を持って個人の「現在」に生き続けているのかを考察する。
  • 燃料価格高騰を受けたアラスカ先住民のサケ漁における変化に関する考察
    井上 敏昭
    セッションID: E-32
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    近年の石油価格高騰を受けてアラスカ先住民グィッチンのサケ漁に生じたふたつの変化、すなわちフィッシュキャンプの復活および忌避されていた漁獲分配時の金銭授受の出現について報告し考察を試みる。ともに同じ状況への対応策であるが、前者は伝統の復活、後者は伝統ルールの封印という一見正反対のかたちをとる。かれらが伝統的生活手法を柔軟に「出し入れ」しながら、危機を乗り切ろうとしていることがうかがえる。
  • 英国グラストンベリーの人々との交流から見えてくるもの
    河西 瑛里子
    セッションID: E-33
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    キリスト教到来以前のヨーロッパにおける信仰の復興運動、ネオペイガニズムを通して、伝統の創出について考える。本運動は、外部からは創られた伝統とされるが、当事者は過去との連続性を主張し、「本物」の信仰の復興をめざしている。その一方で、北米やオーストラリアの先住民族の文化を積極的に取り入れている。ここでは、とりわけドルイドの実践を取り上げ、彼らがなぜ「伝統」を復興させようとしているのか、考えてみたい。
  • ツバルにおける海面上昇の語りを事例に
    小林 誠
    セッションID: E-34
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    地球温暖化やそれに起因する海面上昇に関する科学的な知見を受けて、小島嶼国は将来的に水没するという言説がマスメディアを通じてグローバルに流通し始めた。本発表の目的は、ツバルの人々の語りを事例に、彼(女)らの経験知がこの言説に沿った形で、意味づけされていると指摘することである。本発表の事例を通して、グローバルに流通する環境言説がローカルな人々の生に及ぼす影響を考える。
F会場
個人発表
  • ザンジバルにおけるマウリディの事例から
    朝田 郁
    セッションID: F-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    イスラーム暦の第3月12日は,預言者ムハンマドの誕生日であるとされ,イスラーム世界の各地で彼の生誕祭が開かれている。タンザニア連合共和国の島嶼部に位置するザンジバルにおいても,マウリディという呼称で預言者生誕祭が広く行われているが,アラブ地域の場合とは異なった特徴がいくつも観察される。そこで本発表では,ザンジバルにおける預言者生誕祭マウリディの事例を報告・分析し,その構造について論じたい。
  • 南エチオピア牧畜民ボラナの事例より
    大場 千景
    セッションID: F-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    19世紀までのボラナの世界において、raaga〔=予言者〕と呼ばれる人々がいた。予言者は、人々のまわりで起こる問題や事件、天災や出来事に対して、超常者として解釈を与え、あるいは、人々に物事を解釈する強いインスピレーションを与えてきた。予言者の言葉は、歴史語りの中で語りつがれ、同時代のコンテクストの中で、再構築されながら、人々の間で新たな世界解釈を生み出していく。本発表では、予言者の言葉と人々の解釈に焦点を当てて、同時代の人々の文化的な世界解釈の一端を明らかにしたい。
  • 遠州・森の祭りの1945年~1974年を事例として
    谷部 真吾
    セッションID: F-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    本発表では、静岡県周智郡森町で行なわれる「森の祭り」の第2次大戦後から1974年までを事例として取り上げる。この当時の森の祭りは、「森の『けんか』祭り」とも呼ばれ、非常に荒々しい祭りであったとされている。しかし、こうした祭りのあり方は1974年に改められ、より穏やかな祭りへと変貌を遂げた。ここでは、そうした変化へと至る一連のプロセスを、当時の時代状況に位置づけて検討していきたい。
  • 現代メラネシアにおける「超自然的力」の諸相
    石森 大知
    セッションID: F-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    マナをめぐる議論は、19世紀末のコドリントンによる報告以来、大変な蓄積がある。しかし、太平洋の人々がキリスト教徒となった現在でも、マナは伝統的信仰の象徴として扱われる一方、同概念とキリスト教的価値観との関連性は不問にされてきた。そこで本発表では、ソロモン諸島の事例に依拠し、マナは、聖霊とも結びつき、名詞的または実体的な「超自然的力」と認識されていることを明らかにするとともに、その社会・歴史的背景について考察をおこなう。
  • 小林 宏至
    セッションID: F-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    中華人民共和国では、一部の伝統的慣習を迷信として位置づけ公的に認めていない。本発表でとりあげる風水活動もそのひとつである。しかし、1978年の改革開放政策以降、それまで抑圧されていた風水活動は徐々にはあるが実践されるようになってきた。本発表では、福建省西部山岳地帯に点在している「客家土楼」と呼ばれる巨大住居をめぐる風水言説の生産、消費過程に着目し、その居住者へのフィードバックのあり様を考察し発表する。
  • タール沙漠における「トライブ」社会の信仰の「複数性」をめぐって
    小西 公大
    セッションID: F-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    本発表はインド・ラージャスターン州西部のタール沙漠エリアにおける「トライブ」の信仰実践を扱ったものである。多様で複雑な形態をとるローカルな信仰の在り方を、これまでなされてきた「正統的」ヒンドゥイズムとの関係性で捉えようとする中心主義的な研究を批判しつつ、神/人の関係性という視座から捉えなおす試みである。事例はトライブの婚姻儀礼において即興的に選ばれ、祈りが捧げられた10柱の神々をめぐる言説を取り上げる。
  • 北部ケララ(インド)のムスリムの生におけるジャーラムとナーチャ
    川野 美砂子
    セッションID: F-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    マーピラ(ケララ・ムスリム)の聖人-殉教者信仰は、マーピラの困難な歴史的状況の中で発達した。そこで特徴的なのは、ポルトガル人、イギリス人、そしてヒンドゥーに対する戦いで殺された殉教者に対する信仰である。聖人たちの中心には、布教を行い、人々に自尊を教え、戦いの精神的指導者となったサイードたちがいる。聖人と殉教者の墓はそれらの文化的記憶として、人々に力とアイデンティティを与えてきたといえる。
  • インド・ケーララ州における指定カーストの生計活動をめぐって
    竹村 嘉晃
    セッションID: F-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
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    本発表は、南インド・ケーララ州の北部地域を中心に隆盛するムッタッパン信仰とその祭祀に関する現代的な消費動向を照射する。そして、ムッタパンという「神霊になること」を生業とする指定カーストの人々の実践活動の動態と彼らの生計戦略を描写しながら、経済発展の恩恵を背景に儀礼依頼が増加する今日において、実践者間の軋轢やかれらを取り巻く社会環境、さらには実践に関する様々な変容の一端について考察する。
  • マルタにおける性的な葛藤をめぐって
    藤原 久仁子
    セッションID: F-9
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    カトリックの聖職者は教義上独身であらねばならないが、一般のカトリック教徒は家族を形成し子を産み育ててゆく。聖職者と平信徒に対する教義のいわばダブル・スタンダードの狭間で悩むのが「善きカトリック教徒」と呼ばれる人々である。彼ら彼女たちはいかなるコンフリクトを抱え、それを解消あるいは解消しきれないまま「善きカトリック」であり続けているのか。本発表では特に性的なコンフリクトに焦点を当てて考察することにしたい。
  • ライフコースと家族の視点から
    高橋 美和
    セッションID: F-10
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    カンボジアの(上座)仏教寺院には、僧侶の他に俗人修行者が止住していることが多く、そのほとんどが中高年女性である。今日の修行者の多くが、1970年以降20余年続いた内戦中の肉親喪失体験を持ち、老後を扶養してくれる家族・近親者を欠く。他方、頼ることが可能な子が存在していてもなお寺院修行が選択されることも少なくない。その背後にあるカンボジアの家族関係、特に母娘関係と、扶養・介護義務に着目して検討する。
  • 現代日本における葬儀産業の活動、及び葬儀サービスの浸潤
    田中 大介
    セッションID: F-11
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、現代日本における葬儀産業の諸活動と内情、及び葬儀サービスの傾向に関する事例を調査情報として提示することにより、儀礼の変容と産業的動因との相関を実証的に考察することを目指す。また、この取り組みにおいては事例そのものの分析に注力する一方で、その理論的含意として今までの儀礼研究における各種の説明図式を再検討する作業を期している。
  • バリ慣習村における遺骨の掘り起こし儀礼、ナングンをめぐって
    山本 早良紗
    セッションID: F-12
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では、インドネシア共和国バリ州中部に位置するL慣習村で近年みられた、死への対処・処理の方法をめぐる変化を主題とする。葬送儀礼のなかでも、遺骨の掘り起こし儀礼、ナングンに焦点を当て、遺骨の処理方法にみられた変化について考察する。そのなかで、死者の身体の腐食の問題をはじめとする、可視的な死に対する嫌悪感の創出に伴って、死にまつわる「穢れ」観に変化が生じている状況を明らかにしたい。
【分科会】 もの、ひと、ことばのネクサス
個人発表
  • 東南アジアにおける華人教団徳教を事例として
    黄 蘊
    セッションID: F-20
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
     本発表は、東南アジア地域で展開を続けてきた華人教団徳教を取り上げ、徳教のトランスナショナルな拡大とネットワーク構築の現象に焦点をあて考察を行う。徳教のこれまでの教団展開モデルは、理論の深化よりネットワーク化と組織の拡大性に重点を置いてきたものであり、本発表は、宗教教団としての徳教の特殊性、近年徳教団体の展開をめぐる状況を踏まえながら、トランスナショナルな拡大とネットワーク性こそが徳教のもつ本質的な性格であることを明らかにする。
  • ジャマイカ、エチオピア・アフリカ国際会議派のレゲエ活動の事例
    神本 秀爾
    セッションID: F-21
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、ジャマイカのラスタファリアン集団、エチオピア・アフリカ国際会議派の経済活動の変化が集団の再編成に与えた影響に関するものである。リーダーの死亡や経済活動の変化に伴う集団の再編成という変化は「必然」であるといえるが、外的要因としては、世界的なレゲエの流行、サブカルチャーとしてのラスタファリアニズムの確立があげられる。本発表では、同集団のシンボリックな側面についても考察する。
  • ―オリシャ崇拝・コミュニティと地域社会との関係―
    小池 郁子
    セッションID: F-22
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、西アフリカ・ヨルバの神々であるオリシャを崇拝するアフリカ系アメリカ人の社会宗教運動をとりあげる。本発表の目的は、運動の集団的な拠点であったオヨトゥンジ村が衰退した後に、オリシャ崇拝者が米国の各地に個別に設立したオリシャ崇拝・コミュニティと地域社会との関係について考察することである。米国各地の地域社会はオリシャ崇拝者をいかに受容し、また、受容しなかったのかについて事例をもとに考察する。
【分科会】 平和の人類学
  • 小田 博志
    セッションID: F-23
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    この分科会の目的は、平和というテーマに対する人類学の意義を明らかにすることである。人類学的平和研究は世界的に見ても萌芽的段階にある。しかし私たちは人類学が平和の研究・実践に関して有する可能性は大きいと考えている。そこでこの分科会では人類学的平和研究の概説に加え、各発表者がそれぞれの研究・実践の現場に基づく報告を行ない、討論の中で平和の人類学の独自性、貢献点、問題点などを浮かび上がらせる予定である。
  • 第2次世界大戦後ドイツにおける和解運動の事例を通して
    小田 博志
    セッションID: F-24
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    この発表の目的はドイツの和解NGO「行動・償いの印・平和奉仕」に関する現地調査に基づき、「和解」と「他者」との関係を考察することである。和解とは紛争後に行なわれる他者との関係修復である。しかしその他者が和解に応じるか、また自己と同じ「和解」の概念を共有しているか基本的にわからない。つまり和解とは成立する保証のない企てである。ここではドイツの例において他者の問題がどのように扱われてきたかを分析する。
  • 東ティモール受容真実和解委員会の活動を事例に
    福武 慎太郎
    セッションID: F-25
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    東ティモールの村落共同体における和解儀礼の変容について考察する。ある村において住民投票前の1999年7月、長老たちの仲介により独立派と反独立派の和解儀礼がおこなわれた。この和解の試みが失敗に終わったのは「儀礼の手順を間違えたため」と人々は説明する。この人々の認識の背景には、儀礼的権威の世俗権力に対する優位性があると同時に、同様の理解が国家和解委員会の和解手続きにもみられることを指摘する。
  • マーシャル諸島ロンゲラップ共同体
    中原 聖乃
    セッションID: F-26
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    核汚染はどのように解決することが可能なのか。居住環境を汚染させ、日常生活の平和を脅かすこの問題について、アメリカの核実験により被害を受けたマーシャル諸島ロンゲラップ共同体に焦点を当てて考察する。一般の人びとの核汚染に対する行動を考察し、ロンゲラップ共同体の存続にとっての意味を明らかにする。
  • 沖縄の民間巫者による戦死者の感受と平和
    佐藤 壮広
    セッションID: F-27
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    祖先や戦死者を感受するとされる沖縄本島の民間巫者の儀礼調査に基づき、沖縄における平和祈願の文化的基盤を考察する。沖縄の平和運動のなかでは、生者と戦死者との交渉は公的には語られない。しかし「ユタ」と呼ばれる民間巫者の儀礼では、戦死者の思いや爆撃で寸断された土地の痛みが語られ、それらを基盤とした平和の祈りが行われている。発表では、ローカル文化の死者儀礼と平和運動や平和学との接点を分析する。
  • スリランカの紛争から
    足羽 與志子
    セッションID: F-28
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    平和構築が今後の日本外交の柱だとされている。「国際コミュニティ」も平和構築を最重要課題に掲げ、取り組みの指針としている。組織的・制度的な国家暴力である近代戦争のメカニズムと、人間の行為としての暴力とを混同する議論はいまも偏在するが、「平和」についても同様の問題が浮上している。本報告では、スリランカの6年間の停戦期の政治・社会・文化の諸相の一部を概観し、平和構築の多重性と文化人類学の課題を示す。
個人発表
G会場
個人発表
  • 地域連携活動とフィールドでの営みをつなげようとすること
    松川 恭子
    セッションID: G-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    文化人類学者の地域連携活動で常について回るのが、「地域連携活動とフィールドでの営みをどのようにつなげるのか」という問題意識だ。本発表ではまず、PUKAR(インド・ムンバイ)の「近隣社会プロジェクト」について紹介する。次に、発表者が現在携わっている「ゴアと奈良の近隣社会をつなげる」試みを中心に、教育・研究活動の場とフィールドという二つの地域の間を往復することで成り立つ人類学者の営みについて考えたい。
  • ベトナムの農村における回転貯蓄信用講プロジェクトより
    加藤 敦典
    セッションID: G-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    ある国際組織がベトナムの農村で展開する回転信用講事業をとりあげる。この事業は住民を自律的経営者に育て、かつ利子収入による持続可能な講経営をめざす新自由主義的事業である。事業側は住民の利子への疑念を見越し、詳細な利子内訳表を作る。住民はそれを外国の厳格さの象徴と理解し、事業の理念とはずれたところでその厳格さを模倣しようとする。他者の意図を曲解しつつ応答する対話的主体による錯綜した開発受容過程を描く。
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