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日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
ISSN-L : 2189-7964
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日本文化人類学会研究大会発表要旨集
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The 56th Annual Meeting of the Japanese Society of Cultural Anthropology 日本文化人類学会第56回研究大会
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D会場(527 教室) 第二日目 6 月9 日(日) 9:00-16:55
国家の機能を補完するエスニシティ原理
インドネシア、ジャカルタにおけるブタウィ・エスニシティの大衆組織から
中村 昇平
セッションID: D09
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_150
会議録・要旨集
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第三世界のエスニシティについてはこれまで、国家を分裂させ、その社会機能を妨げる危険性が強調されてきた。本発表では、下層の人々を直接的に動員し、彼らの生活領域の中で社会福祉機能を担う大規模なエスニック組織を取り上げる。そうすることで、従来強調されてきた負の側面ではなく、エスニシティが大衆の生活実践と緊密に関係しながら、国家機能の行き届かない社会的機能を補完するという、ポジティブな可能性に光を当てる。
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(247K)
不可視の暴力と「バリ文化」
インドネシア・バリにおけるモダニズムをめぐる言説の一面
中野 麻衣子
セッションID: D10
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_151
会議録・要旨集
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スハルト体制崩壊後のバリでは、外部から一見すると民族的排外主義に見える暴力が蔓延している。本発表ではこの暴力の状況を、バリ人のローカルな語りや観念に即して再解釈するとともに、外国人の指摘を受けて暴力について自省するバリ知識人の語りの中に、今日のバリ人のモダニズムがその裏面に派生させている自省(モダニズム批判)の側面を捉え、その特徴の一端を明らかにする。
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(360K)
仮面の「親・子」
バリ島天女の舞の仮面のレプリカをめぐって
吉田 ゆか子
セッションID: D11
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_152
会議録・要旨集
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バリ島南部のパヨガン・アグン寺院には「天女の舞(topeng legong)」に用いられる、一連の天女の仮面と、そのレプリカが納められている。本研究では、このレプリカの仮面を、本物と併せて、天女の舞における重要なエージェントと位置づける。レプリカの仮面が纏う曖昧で多義的な意味づけを明らかにし、天女の舞の活動やそれを取り巻く人々に与える作用を考察する。
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(325K)
祖先・神はコカコーラを乞う
信仰現象の多様性と遍在性
青木 恵理子
セッションID: D12
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_153
会議録・要旨集
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信仰現象に関する視点を、先行理論研究を整理することにより定め、フィールドの事例を考察することを通して、信仰現象が、多様なかたちをとりながら、私たちを含め人々の日々の生活の襞に折りこまれていることを明らかにする。さらに、信仰現象の研究が、近代の知と生のあり方を逆照射することを示唆する。
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(178K)
インドネシアにおける食のハラール性
―ムスリム消費者の意識と戦略―
阿良田 麻里子
セッションID: D13
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_154
会議録・要旨集
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近代化/グローバル化が進むにつれ、食のハラール性はインドネシアのムスリムにとって大きく意識される問題となってきている。ハラールと非ハラールの境界線は曖昧で、専門家の間でも意見が一致するとは限らない。そのような状況下で、人々は、飲食品を選び、宗教的浄性を保つために、さまざまな情報源からの情報を織り交ぜながら、多様な戦略を用いている。また、必ずしも厳格化へと進む一方ではないムスリムのあり方も見られる。
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(188K)
遼東半島における観光振興の動向について
―旅順周辺の観光開発の事例から―
王 慧琴
セッションID: D14
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_155
会議録・要旨集
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日清戦争や日露戦争の戦場として知らされる旅順は今も戦争遺跡や記念碑が数多く残され、その殆どは主に観光資源として利用されている。しかし旅順の観光スポットの中に歴史に係わるものが多く、観光客が厳粛且つ悲惨な雰囲気のなかに見物するので、ネガティブな感情を感じさせ、本来の観光と異なる体験になる。旅順が今まで観光客に与えていた印象をいかに改善するかは今後地域の人々にとっては何より重要な課題となっている。
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(184K)
現代中国における地方文化の資源化と使用
広東省汕尾における地方政府主催民俗イベントを事例に
稲澤 努
セッションID: D15
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_156
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本報告では、2006年から2008年にかけての広東省汕尾における元宵節および媽祖誕を事例として分析を行う。毎年少しずつ異なる形態をとる政府主催の民俗イベントの分析により、『政策文化の人類学』で指摘されているような行政のつくる地域の「特色ある文化」がどのように選択、消費され、またそうしたイベントに参与している各寺廟や地域住民の行動にどういった影響を与えているのかを考察する。
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(156K)
中国華南地域におけるエスニック・ラベルの歴史的変容
広東省潮州市の村落の事例から
横田 浩一
セッションID: D16
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_157
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調査地では、移民第一世代である開基祖が海南島から移住してきたという伝承がある。そしてその際には、妻型居住婚によって村内に定着した。このような現象は華南中国では普遍的であり、特に問題とはならない。筆者が提示した問題は、清代に調査村落において宗族組織が形成されたとき、彼らが妻型居住婚という文化実践を採用することによって、自らの土着性を否定し、文化的中心から来たという正統性の主張を行ったということである。
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(152K)
中国伝統演劇の教授・学習過程の教育人類学的研究
秦腔演劇学校の“口伝心授”実践に注目して
清水 拓野
セッションID: D17
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_158
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中国伝統演劇は、多様な芸術的要素が集まった総合芸術であり、教育研究の分野にも興味深い研究材料を提供するが、これまで教育現場の実践に焦点を当てた研究はほとんど行われてこなかった。本報告では、教育人類学的な観点から、「口伝心授」と呼ばれる口伝えの教授・学習方法に注目して、中国伝統演劇の技や知識がどのように教授・学習されているかを取り上げる。具体事例として、報告者がこれまで調査してきた秦腔と呼ばれる中国西北地域の地方劇に注目し、秦腔を専門に教える演劇学校で、中核的な教育実践である口伝心授を通して芸の教授・学習がどのように行われているか、という点に迫りたい。
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(139K)
個人発表
E会場(526 教室) 第二日目 6 月9 日(日) 9:00-16:55
「発達障害」とその経験の確かさをめぐって
照山 絢子
セッションID: E03
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_159
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本発表では、近年において医療や教育の分野で急速に注目されるようになっている「発達障害」をとりあげ、診断基準や疫学的なデータの曖昧さからその実体性を疑問視する見方があることを指摘しつつ、当事者による身体感覚に根ざした障害経験のナラティブの意義を問い直し、両者の理論的接合を目指す。
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(151K)
治=験
薬を通して感覚を比べる
モハーチ ゲルゲイ
セッションID: E04
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_160
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本発表では、差異化における論理と感性の相互関係の視点から創薬の実践を描き出す。具体的な事例として、ハンガリーの治験センターで行われた調査を紹介し、病気における科学的真理と、身体感覚との関係性について明らかにする。臨床試験は、様々な流動的な状況において、薬の科学的な理性を追究するなかで、感性的な患者が出現するという過程である。ここでは、この治験における感覚と差異化の問題を分析の中心課題とする。
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(132K)
家族と分業
フィンランドの親族介護支援制度にみる個と範疇
高橋 絵里香
セッションID: E05
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_161
会議録・要旨集
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本発表は、供給主体の複数化という形での分業を推し進める現在の社会制度が、多様なアクターをどのように理解しているのかという問題について、フィンランドの親族介護者支援制度の実施過程を通じて考察する。親族介護を職業として遇することで、ケアワーカーの専門性や家族の意義が問い直される事態が生じている。その分析を通じて、家族・介護・支援といった概念を再考し、社会政策を人類学的に記述する方法と可能性を模索する。
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(174K)
〈病いの語り〉の中の身体
フィリピンの末期腎不全患者による苦痛の語りに関する一考察
島薗 洋介
セッションID: E06
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_162
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多くの解釈(学)的アプローチを志向する研究者たちは、生理学的・生物学的な記述と説明の対象としての「疾患から人間的な経験としての「病い」を区別し、後者を独自の理解・解釈の対象とした。こうした研究において、特に重要な意義を持ってきたのは「語り/物語」の概念である。医療人類学におけるこうした「物語(論)的アプローチ」の意義は疑いえない。しかし、そこでは、疾病体験の身体性が軽視される傾向がある。それでは、他者の身体体験としての「病い」へのアプローチとはどのようなものか。「語り」を手がかりに他者の疾病経験の身体的次元にどのように接近しうるのか。本発表では、自らのフィリピンにおける末期腎不全患者の疾病体験に関する調査の成果をふまえながら、その一つのあり方を提示することを試みる。掻痒感、疲労感、喉の渇き、吐き気、関節の痛みといった具体的な感覚的経験についての語りを提示しつつ、レヴィナスの「糧の享受としての生」「生の享受」「感受性」「情動性」などについての洞察を参照にしつつ、感覚的経験の意味について考察する。
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(104K)
身体に抗って
死をまぢかに控えた人間はなぜリハビリテーションを受けるのか
松岡 秀明
セッションID: E07
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_163
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死が近づいてくると、身体的機能が低下してきて生活を営む上で不可欠な基本的動作を行なうことが困難になってくる。そうした時、彼らにとって最も切実な問題となるのは、歩行と排泄である。寝たきりになること、排泄行為を自分の意志でコントロールできなくなることは、大きな精神的苦痛となりうる。本発表は、死に近い人々が衰えていく身体に対してどのように抗うのかを、緩和ケア病棟の患者、医療従事者の体験にもとづいて検討する。
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(134K)
ドキュメントを通じた統治の連鎖
ガーナ南部のヘルスセンターを事例として
浜田 明範
セッションID: E08
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_164
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本発表の目的は、ガーナのヘルスセンターにおけるドキュメントの取り扱い方を素描することにより、<複数の統治実践の連鎖>という視角を提示することにある。ドキュメントは、権力を作動させる必須のテクノロジーとしてたびたび言及されてきているが、ドキュメントの作成は未来における自己の行為を現在において方向づける実践でもある。本発表では、ドキュメントを通じた自己統治と他者の統治が干渉する様子を描きだす。
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(152K)
精神疾患概念の翻訳
カンボジア王国プノンペン市にある精神科外来での診断過程から
吉田 尚史
セッションID: E09
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_165
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本発表では、カンボジア人精神科医師の患者診断プロセスに関して考察する。精神医学教育は英語で行われるが、診察場面において使用される言語はクメール語である。そのため彼らは、診断過程においてクメール語から英語に翻訳をして、英語で思考している。もともとあるローカルな精神疾患概念が、グローバルに拡大しつつある欧米起源の精神医学概念を通して、どう解釈されるのか。現地で得たデータをもとに発表する。
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(96K)
韓国の卵子提供とエッグ・シェアリング
「生命倫理法」にみる卵子売買防止策の医療人類学的考察
渕上 恭子
セッションID: E10
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_166
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女性の不妊が離婚の要件となり卵子売買が絶えない韓国で、2008年に卵子の有償提供を禁じた「生命倫理法」が改正され、不妊女性間でエッグ・シェアリングを行う際の実費補償が認められた。この法改正は患者達の「同病相憐」の精神に訴えて不妊治療に必要な卵子を分かち合い、卵子売買を防止することを意図したものである。本報告で同法の卵子売買防止策を医療人類学の視点から検討し、韓国社会になじむ卵子提供の方策を考えてゆきたい。
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(171K)
ケアの再構成を通した韓国の家族再考
既婚女性の乳がん患者の事例
澤野 美智子
セッションID: E11
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_167
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韓国では否定的感情の蓄積が乳がんの原因として認識されている。特に既婚女性の患者は、家族内で担ってきた自己犠牲的なケア負担を病因と関連づける。病いを治すための女性患者たちの行為は家族成員をまきこみ、家族内のケアを変化し再構成させる。しかし婚家に対しては接触を避けるなどの消極的な対処を行い、〈家族ならざるもの〉として区分する。ケア要求をめぐって相互に働きかける範囲で家族が再構築されている。
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(94K)
「病を治すは生活を直す」
生活障害を抱えた釜ヶ崎の結核患者に対する服薬支援の取り組み
西 真如
セッションID: E12
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_168
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本報告では、生活障害(日常生活の質を保つのに必要なスキルの広範な欠如)を抱えた釜ヶ崎の結核患者に対して服薬支援の活動をおこなっている、医療NPOスタッフや共同住宅経営者の取り組みについて検討する。またそのことを通して、既存の家族制度や会社組織に統治されない者として生きてきた元日雇労働者が、ケアされる身体を抱えた者として釜ヶ崎の地域社会に受容される過程について考える。
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(141K)
個人発表
F会場(531 教室) 第二日目 6 月9 日(日) 15:00-16:55
過剰な<かわいさ>で戯れる
韓国人青年のエギョ行為とパフォーマンス
原田 静香
セッションID: F09
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_175
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韓国人青年の日常的相互行為の中で見られる「エギョ(aegyo)」行為に注目し、彼らのやり取り及び語りからその考察・分析を行う。まず、エギョの「5W1H」、すなわち、エギョの技法や発現形態、エギョが見られる関係性や状況などを概観した後、エギョ行為が参与者(間)にどのような一時的・恒常的変容をもたらしているのか、R.シェクナーのパフォーマンス概念を援用しその把握を試み、相互行為においてエギョの果たす役割を明らかにする。
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(109K)
朝鮮王朝の加髢と頭髪の流通
加髢流行とその背景
渡邉 麻理亜
セッションID: F10
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_176
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本発表は、朝鮮王朝期(1392-1910)、支配階級の女性を中心に加髢(カチェ)と称する巨大なカツラを着用していた事実に着目し、加髢流行の理由を当時の社会背景や人々の美的価値観などとの関連において分析しようとするものである。これまでに韓国でおこなった現地調査の報告を中心におこなうとともに、人と加髢、人とカツラとして頭に付けるモノの関係を検討する。
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(180K)
北朝鮮社会の人類学的研究
脱北者情報の分析を通して
伊藤 亜人
セッションID: F11
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_177
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本発表は、「北朝鮮民衆の生活実態に関する人類学的研究ー脱北者情報の分析を通してー」(科学研究費 基盤A 2011~2013年度)の中間報告を兼ねるもので、北朝鮮社会の人類学的研究における、課題の同定、方法論的な問題、現在試みている当事者の参与による民族誌的手記の手法等について紹介し、その中で明らかとなってきた北朝鮮社会における二重性の実態、民衆の生存戦略における非公式活動の実態等について報告する。
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(164K)
北朝鮮の民俗学における現代性の位相
板垣 竜太
セッションID: F12
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_178
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北朝鮮の「民俗学」の歴史的展開のなかで、現代の社会・文化に対する調査研究がどのように位置づけられてきたかを明らかにする。現在は主として近代以前の生活風習を復元する歴史科学としての性格が強いが、1950年代後半から1960年代前半の民俗学は、ソビエト民族学の影響も受け、フィールドワークによる研究論文が一定の地位を占めた。発表では、テキストを具体的に分析するとともに、その位相を北朝鮮社会史のなかに位置づける。
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(137K)
個人発表
H会場(533教室) 第二日目 6月9日(日)
スリランカにおける「ひとの種類」の実践的編成
ジャーティヤ概念を生活の場に差し戻すこと
鈴木 晋介
セッションID: H09
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_190
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スリランカの「ジャーティヤ」という語は、従来「民族」や「カースト」等を指す多義的な概念として捉えられてきた。だが、それはもはや「ひとの種類」としかいいようのない曖昧さをもって生活の場に姿をみせる。本発表は、このジャーティヤという概念を、生活の場のひとの種類の実践的編成の水準に遡って捉え直すことで、スリランカ人類学における民族論、カースト論を発展的に継承していく道筋を議論する。
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(148K)
辺境のツーリズム
インド、ブータン国境地帯の事例から
脇田 道子
セッションID: H10
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_191
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インド北東部に位置するアルナーチャル・プラデーシュ州のタワン県、西カメン県、そして地続きの山岳国境を隔てたブータン東部のサクテン、メラ地区は、両国の中でも開発の遅れた辺境地域である。その主たる住民であるインド側のモンパ、ブータン側のブロクパは類似の文化を共有し、民族的にも近縁関係にあるが、いずれもそれぞれの帰属する国家の中では少数派の集団である。 1959年のダライ・ラマ14世のインド亡命、それに続く1962年の中印国境紛争は、チベットとの文化的、経済的関係が濃厚であった両地域をそれぞれの国家との関係強化へと向かわせる大きな転換点となった。それから半世紀経ち、両地域とも、近年になって外国人ツーリストの入域禁止が緩和され、逆に観光開発の対象地として注目されはじめている。本発表では、インド、ブータンの国境地帯に住むモンパとブロクパとが迎えつつある近代化の諸相を始まったばかりのツーリズムを軸に考察する。
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(177K)
排他と歓待の分水嶺
ヒンドゥー女神寺院における贈与に関する調査研究
國弘 暁子
セッションID: H11
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_192
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本発表は、南アジア地域における贈与に関する先行研究を踏まえて、インド、グジャラート州のマヘサナ県に位置するヒンドゥー女神バフチャラー寺院に巡礼する人々と、その巡礼者を寺院で待ち構える女神の帰依者ヒジュラとが係わり合う契機となる贈与の意義を明らかにすることを目的とする。
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(136K)
哲学と人類学のシンメトリックな関係に向けて
南インドの村の女神の高級化とホラーなものの力を事例として
内山田 康
セッションID: H12
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_193
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人類学は哲学の概念を応用して民族誌に記述された問題を説明しようとしてきた。応用人類学が時の公共政策を受け入れて公共政策が既に対象化した社会の問題の解決を目指したのと同様に、人類学が既存の哲学の諸概念を使って社会現象を説明することの限界を本発表は取り上げる。このような哲学と人類学の非シンメトリックな関係をシンメトリックな関係にするために、人類学は何をしなければならないのか。私は南インドの不可触民を起源とするある女神寺院の高級化を事例に使い、ハーバーマスの公共圏の議論を応用して高級化の説明を試みる人類学的説明の限界を示すと同時に、民族誌的なデータを使って、公共圏の拡大の議論に内在する限界に光を当てることを試みる。
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(138K)
代表性をめぐる試み
ムンバイにおける市民社会団体の選挙活動から
田口 陽子
セッションID: H13
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_194
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本発表は、インドにおける政治社会とモラル社会の概念を参照しつつ、ムンバイの市民社会の代表性を検討する。現代インドの市民社会は、都市のミドルクラスの利益団体として政治社会の要求の政治に参入しているのか?あるいは、新たな関係性を求めるモラル社会における代表性が提示されているのか?彼らは誰を代表していて、それはいかに正当化されるのか?本発表では、市民活動家の選挙運動を事例として、これらの問いに取り組む。
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(93K)
インド、ゴア社会の演劇ティアトルにみる地域的想像力の展開
松川 恭子
セッションID: H14
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_195
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本発表では、19世紀から現在のインドにおけるナショナルな大衆文化の系譜のなかに西部インド・ゴア社会の演劇ティアトル(tiatr)の発生と展開を位置づける。新たな大衆文化と想像力のかたちが、インドのネーション意識形成だけでなく、地域アイデンティティの再編に果たしてきた役割を明らかにする。さらに、新たな想像力の形式を通じて、地域社会が現在のグローバル化された公共圏にアクセスする可能性について考える。
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フランスのマヌーシュ共同体における死者の位置づけと沈黙の敬意
左地(野呂) 亮子
セッションID: H15
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_196
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本発表では、フランス南西部のマヌーシュ共同体における死者に対する沈黙の敬意を、口に出されない死者の名前、語られない記憶、所有者の死に際して廃棄されるキャラヴァンを事例として考察することで、沈黙や所有物の処分という死者の痕跡をめぐるマヌーシュの態度が、単に死者の忘却につながるのではなく、死者の個別性や代替不可能性の保護と結びつき、独自の死の社会的解決を導くことを示す。
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(155K)
第二次世界大戦下の漫画の中に描かれた日本人像に見る「国民」意識
――プロパガンダ表現の中に隠された「国民」を演じる「庶民」像――
横田 吉昭
セッションID: H16
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_197
会議録・要旨集
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第二次世界大戦中の日本においては、漫画は総力戦遂行のプロパガンダを担うマスメディアの一部として利用された。しかしその漫画には、生活の中に持ち込まれた戦時という非日常を、生活者が道化的に提示する構造が見られた。それは、国家体制にとって望ましい「国民」像を演ずる「庶民」という重層性を示すものである。これらの漫画構造からは戦後にも続く日本人の「国民」意識と普遍的な庶民像が見出される。
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(116K)
コミュニティと観光に関する一考察
英国カントリーサイドにおける観光案内所をめぐる動きから
塩路 有子
セッションID: H17
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_198
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本発表は、コミュニティと観光のあり方に関して、コミュニティにおける観光案内所(TIC)をめぐる動きに着目し、英国カントリーサイドの1つのコミュニティにおいて、TICがどのように設立、運営されてきたのか、さらにTIC、観光に対する住民の認識や姿勢の変化について明らかにする。それらを通して、コミュニティと観光のあり方に関してコミュニティ側から考察し、TICや観光とコミュニティをつなぐ関係性の確立を模索する。
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(120K)
「石ころ」から「守るべき遺産」へ
トルコ地中海地方パターラにおける遺跡保存と観光開発
田中 英資
セッションID: H18
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_199
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本発表の目的は、トルコ地中海地方のパターラ遺跡を事例に、特に所有の観点から考古遺跡の遺産化と観光開発の関係の変化を検討することによって、文化遺産に利害を持つ人々の遺産に対する理解・関わり方を、その変化も含めて明らかにすることである。特に、遺跡発掘と復元作業の進展によって、パターラの地元住民や彼ら以外の利害関係者の間で、文化遺産保護を前提にした観光開発がどのように理解されてきたのかを考察する。
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(85K)
個人発表
I会場(513教室) 第二日目 6月9日(日)
埋葬儀礼におけるしかるべき発話
マリ共和国南部セヌフォ社会の埋葬儀礼を事例を手がかりに
溝口 大助
セッションID: I04
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_205
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本発表の目的は、マリ共和国最南東部に住むセヌフォ(ポンポロ方言話者)の農村でおこなわれた埋葬儀礼の資料を対象とし、そこでなされた墓掘り人たちの仄めかしとしかるべき発話を分析することで、儀礼上での社会的相互行為の固有性を浮き彫りにすることにある。
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(171K)
「こども/おとな」であることをするところ
マリンケの子どもの集会における会話場面の分析から
今中 亮介
セッションID: I05
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_206
会議録・要旨集
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本発表では、同輩集団における子どもの社会化の議論において主要な論点のひとつであるカテゴリー化の問題に焦点をあて、マリンケの「トン」という社会組織が子どもたちによってどのように制度化され、「教育の場」として成立しているのかについて検討する。
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(213K)
葬送儀礼「クロワグワ」に見るショナ族の祖霊観念
松平 勇二
セッションID: I06
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_207
会議録・要旨集
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ショナ族は祖霊「ムズィム」(mudzimu)を信仰の対象とする。特に父系クランのムズィムは守護霊としてその子孫を守ると考えられている。ムズィムは憑依を通じて子孫と会話をおこなう。元首長のムズィムは、クランの政治的指導者としても重要な役割を果たしてきた。本発表では、ムズィムの概念を喪明け・相続の儀礼「クロワグワ」(kurova guva)から考察する。この儀礼において死者のムズィムが清められ、家族のもとに守護霊として迎えられる。
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(155K)
ジュリになるということ
ケニア・メル社会における長老結社への加入に関する一考察
馬場 淳
セッションID: I07
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_208
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本発表は、ケニア・メル社会(ティガニア・メル)を対象に、その伝統的制度であるジュリチェケ(長老結社)の加入動機について考察する。ジュリになる理由・動機はそれこそ多岐にわたるが、発表者がとくに焦点を当てるのは、ジュリと一般人の力関係である。もちろんこの力関係は、事実というよりも、ジュリチェケの営みや秘儀性を通じて想像されたものだが、本発表は人々をジュリに駆り立てる一つの要因にそうしたローカルな理解があることを示す。
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(197K)
分科会
8日(土) 14:30-17:25 D会場
分科会PDa 「映像の共有人類学 ―映像をわかちあうための方法と理論」
代表者:村尾静二(総合研究大学院大学)
映像の共有人類学
映像をわかちあうための方法と理論
村尾 静二
セッションID: PDa0
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_49
会議録・要旨集
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文化人類学では、フィールドワークをはじめとして、研究から教育、そして、研究成果の公表にいたるまで、様々な方法で映像が活用されるようになった。この傾向は、今後さらに広まるであろう。本分科会は、文化人類学における映像の可能性を「共有」という言葉を手がかりにして考察し、映像人類学および文化人類学における映像の議論を、技術論から認識論へ、そして、実践へと拓いていくことを目的としている。
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(110K)
映画を撮ること・観ること・共有すること
ロバート・フラハティの映画と「共有」の課題
村尾 静二
セッションID: PDa1
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_50
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ドキュメンタリー映画の祖といわれるロバート・フラハティ(1884~1951)はカナダ北東部のハドソン湾東岸地域、ポリネシアのサモア諸島、アイルランドのアラン島において、伝統的な生活を送る人々を讃えるドキュメンタリー映画を制作している。彼の作品の生命力にもなっている独特の映像制作を「共有」という言葉を手がかりにして読み解き、それが映像人類学および文化人類学に対していかなる問題を問いかけるのか検討する。
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(104K)
ベイトソン、ミードの映像による文化研究の今日的意義
<映像の共有>の多元的複層的諸相の分析から
宮坂 敬造
セッションID: PDa2
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_51
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G・ベイトソンとM・ミードが1936年から2年あまり行ったバリ島での共同調査は、大部の映像記録撮影と選定・編集を体系的文化研究調査方法論に即して行った点で先駆的業績をなす点で、映像人類学調査研究の原点の意義がある。彼らの映像人類学的民族誌作品の今日的意義を、特に映像の共有という映像人類学の根底的問題設定から再検討し、現地の人とともに映像体験を分かち合う過程に潜む多元的複層的要因を新視角から掘り下げる。
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「子ども」と映像
記憶と変化の撮影
南出 和余
セッションID: PDa3
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_52
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映像制作の過程である「企画立案」「撮影」「編集・公表・保存」という作業において、撮影者(研究者)と被写体(現地の人びと)との間に築かれる「共有」の可能性を考えるのが本分科会の目的である。本発表では、被写体が「子ども」である場合にこのプロセスをいかに共有しうるか、そして映像のもつ「記憶」と「変化」の記録の可能性について検討する。
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(170K)
ジャン・ルーシュにおける共有人類学
その概念、実践、振幅、可能性
箭内 匡
セッションID: PDa4
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_53
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この発表では、ジャン・ルーシュの仕事の全体(民族誌映画のみならず、民族誌的・社会学的著作、劇映画、エスノフィクション映画、教育的活動など)、そしてその仕事の人類学内外への影響の全体を視野に入れつつ、近年多数公刊されてきたルーシュに関連する文献資料・映像資料を参照しながら、彼が「共有人類学」と呼んだものの根本的な特徴(友情、口頭伝承、メディア、生成、喜び)の描写を試みる。
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(107K)
撮影技術から見たジャン・ルーシュとの共有関係
大森 康宏
セッションID: PDa5
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_54
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ジャン・ルーシュは映像人類学の確立において重要な役割を果たし、そのなかで、共有人類学という重要な構想を示した。そこで問題となるのは、撮影、編集、そして上映にいたる映像制作の手法、そして、その過程で研究者は調査地の人々とどのように関わるべきかといった問題であり、この実践と通して、映像人類学および文化人類学の可能性を拓こうとしたのである。
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(100K)
分科会
8 日(土) 10:00-12:25 E会場(526 教室)
分科会PEa 「サファリングとケア、その創造性」
代表者:浮ヶ谷幸代(相模女子大学)
サファリングとケア、その創造性
浮ヶ谷 幸代
セッションID: PEa0
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_55
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本分科会では、仏教的な信仰や行為、民俗的な信念や行為、現代医療の言説や実践の文脈を視野に入れ、現代社会の生老病死をめぐる臨床の現場における人々のサファリングのありようを観念や信念、感情、行為を通して明らかにする。そして、サファリングとケアとの関係、サファリングの創造性という側面を明らかにし、サファリングとケアについての理論的な再構築を試みる。
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(114K)
サファリングとケアの継承性
日本における精神の病いをめぐるピアサポートの実践から
浮ヶ谷 幸代
セッションID: PEa1
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_56
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北海道浦河町の社会福祉法人〈浦河べてるの家〉のメンバーの体験を例に、メンバーが自らの苦悩(サファリング)の経験とそこからの回復の体験をリソースとして、仲間(ピア)の苦悩からの回復に向けてサポートする状況について報告する。そして、自らの苦悩の経験と支えられてきた経験が、仲間の苦悩の経験に対する理解と仲間を支える術を編み出す源泉となっていることを、苦悩とケアの創造性として示す。
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(110K)
在宅緩和ケアにおける看取りとサファリングの諸相
宮城・福島県における在宅緩和ケア遺族調査をもとに
相澤 出
セッションID: PEa2
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_57
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在宅緩和ケアの現場では、自宅での看取りが再び可能になりつつある。自宅での看取りで患者と家族(遺族)は、医療化された死の枠に収まらない多様な経験をする場合がある。それを可能にするのは自宅という場での、長い過程としての死の体験である。この過程のなかで患者と家族の間に、喪失や悲嘆にとどまらない体験とその物語が紡ぎ出される。こうしたサファリングの体験である看取りの物語を、継承性という点から検討する。
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タイのエイズホスピス寺院におけるサファリングとケア
鈴木 勝己
セッションID: PEa3
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_58
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報告者は、タイのエイズホスピス寺院におけるケアとサファリングに着目する。臨死期のエイズ病者は看護介入的なケアが中止され、儀礼的な手続きにしたがって死んでいく。この儀礼的死の意味は、輪廻転生を是とする世界観とケアの互酬関係において読み解かれる。死に逝く者と医療者にとって過去を忘れること、忘れたふりをすることが看取りのケアを支えている。寺院におけるケアは、一切を赦すための忘却の知に基づいている。
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苦境における不確実性、偶然性、必然性
近藤 英俊
セッションID: PEa4
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_59
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病、事故、死別等の苦境に際し、人は通常と同じ存在論的地平に上に立っているとは限らない。そのとき人の関心は不確実な偶然的状況に向かいやすく、そして偶然性を払拭するのではなく、必然性に転化することで苦境を生きようとするのではないか。この発表では民族誌的研究をもとに、苦境における不確実性、偶然性そして必然性の関わりを吟味し、偶然性とともに苦境を生き抜くいくつかの方法を示唆したい。
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(168K)
分科会
8日(土) 13:30-16:25 E会場(526 教室)
分科会PEb 「自己と〈異物〉の見えない関係 ―身体と外部との「境界」をめぐる不確実性」
代表者:市野澤潤平(宮城学院女子大学)
自己と〈異物〉の見えない関係
身体と外部との「境界」をめぐる不確実性
市野澤 潤平
セッションID: PEb0
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_60
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病気を引き起こす原因としての〈異物〉の身体内部への侵入および身体組織との相互作用は、しばしば当事者にとって「見えない」過程となり、大きな不確実性を生み出す。本分科会は、生物医学の知識・制度・技法を介した身体との関わりにおいて見いだされる不確実性への着目を通じて、身体と外部の「境界」というテーマを、不確実性やリスクをめぐる問題系において再構築することを、試みる。
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「肥満」と機械的身体
減量がはらむ不確実性を事例に
碇 陽子
セッションID: PEb1
発行日: 2013年
公開日: 2013/05/27
DOI
https://doi.org/10.14890/jasca.2013.0_61
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本発表は、肥満が人口全体の健康問題とされ、減量への志向が強まるアメリカ(カリフォルニア州)でのフィールドワークをもとに、減量とそれに関連する行為の背景にある複雑で多様な問題群を明らかにする。そのうえで、「科学」が示す極めて単純なはずの減量が、当事者にとっては、自己の身体と食物の関係にかかわる不確実な事象として立ち現れてくる様態を描き出すことを目的とする。特に、当事者たちが太った原因と結果をいかに結びつけ、そのことが不確実性としていかにして経験されるのかを整理する。減量をめぐる不確実性に着目することによって、目的合理的であろうとする行為が、結果的に不可避に不確実性をはらむという問題をあぶり出す。
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