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細谷 広美
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E13-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
グローバル化が進展するなか、地球共同体や地球市民という概念が生まれており、グローバルな規範、ジャスティス、普遍的な人権などが模索されている。この結果、グローバルなジャスティスとローカルレベルの多様なジャスティスのコンタクト・ゾーンが生まれている。本発表では、ペルーの先住民と紛争及び紛争後の平和構築に焦点をあて、グローバル・ジャスティスにおけるコロニアル・レガシーの課題について考察する。
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Reece v Island Treasure Art Gallery, Inc. et al 事件を事例に
早川 和哉
p.
E14-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表では、2006年、ハワイで著作権侵害を巡って争われたReece v. Island Treasure Art Gallery, Inc. et al裁判を事例として採り上げる。本発表は、この事例を通じ、近年、ハワイ先住民が昨今の知的財産権法制度といかに関わっているかを考察することを目的とする。特にこの裁判結果がハワイ先住民に対していかなる影響を与え、いかなる意味・認識を人々にもたらしたかを考察したい。
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北海道日高地方におけるアイヌ文化伝承活動の歩みから
関口 由彦
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E15-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表は、北海道日高地方におけるアイヌ民族の文化継承をめぐる動きを事例として、そこに浮かび上がる「血」、「系譜」、「地域」の観念を検討する。それぞれの観念の複雑な絡み合いが、直接的な人と人とのつながりに基づく「アイヌ」や「仲間」といった自己認識を生み出し、自己のエスニックな帰属が文書資料によって規定される「人種化」(=出自/血統にもとづく帰属集団の固定化)という現実に抗う様態を考察する。
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外圧に揺れる捕鯨の島・ベクウェイ島
浜口 尚
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E16-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
ベクウェイ島のザトウクジラ捕鯨は、1875年頃にアメリカ帆船式捕鯨から技術を習得したベクウェイ島民によって創始された。1987年以降、その捕鯨は国際捕鯨委員会によって「先住民生存捕鯨」として承認されてきた。ところが、2012年にNPOが同島のザトウクジラ捕鯨をホエール・ウォッチングに転換する運動を開始した。本発表においては、同運動がベクウェイ島にもたらした諸問題を報告、考察すると共に同島の捕鯨の将来を展望する。
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岸上 伸啓
p.
E17-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
米国アラスカ州のイヌピアット社会には近隣の村落の人々を招き、交易や交換を行い、ドラムダンスや共食を楽しむ使者祭りがあったが、20世紀前半に中断し、1988年に復活した。本発表の目的は、使者祭りの変遷をバロー村の事例に焦点をあてながら紹介することである。現代の使者祭りは、1970年代以降のアラスカ北部地域での石油開発に由来する経済的繁栄によって実施が可能になった「創り出された伝統」である。
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-風土論の観点から-
一戸 恒人
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E18-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表は、アメリカ・アラスカ州セントローレンス島に暮らすサイベリアン・ユピックを対象とし、様々な場所について、和辻=ベルクの風土論の観点から論じることを目的とする。特に狩猟活動の各場面に焦点を当て、彼らが特定の場所をいかに認識しているかについて、移動、身体感覚、地名といった側面から整理する。そしてそれらの場所の認識の複合として立ち現れる風土について考察していきたい。
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流動的な社会でみられる親密性と公共性に関する一考察
細田 尚美
p.
E19-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
外国人に対する非定住化、非同化政策をとるアラブ首長国連邦(UAE)では、外国人とホスト社会とのかかわりは職務に関する場面を除いて非常に形成されにくい。本発表は、UAEで働くフィリピン人中間層が積極的にかかわるボランティア活動に注目して、一時滞在者から成る組織が親密性のみならず公共性にもかかわる存在となれるかどうか、またその公共性が意味する公共とはいかなるものなのかを問う。
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国際結婚者と家事労働者の事例から
渡邉 暁子
p.
E20-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表は、アラブ首長国連邦(UAE)とカタル首長国という2つの湾岸アラブ諸国において、カトリックからイスラームに改宗したフィリピン人、とりわけ女性家事労働者と国際結婚者を対象にする。国籍、社会階層、宗教、文化等の違いがヒエラルキーとして人びとを「分断」する両国社会のなかで、キリスト教国フィリピンからの移民労働者たちの改宗を契機とする親密なつながりの変容を描き出す。
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インド、ゴア・クリスチャンのトランスナショナル・ネットワーク
松川 恭子
p.
E21-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本報告は、湾岸アラブ諸国に長年居住してきたゴア州出身のキリスト教徒(ゴア・クリスチャン)の事例を扱う。彼らが現地で生活する上で、アラビア海を越えて故郷と湾岸アラブ諸国を頻繁に行き来する中で形成されるトランスナショナル・ネットワークがベースにあることを、UAEとクウェートで報告者が得たデータに基づき、親密圏の形成という観点から考察する。
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メキシコ・オアハカ州のストリートアーティストを事例として
山越 英嗣
p.
E22-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本報告では、メキシコ・オアハカ州において、政府の新自由主義的政策に対抗するような作品を制作し、広場や街路などの公共空間に設置するストリートアーティストたちの活動を事例とする。彼らはメキシコ革命の英雄たちを民衆の統合シンボルに用いたが、それはサブカルチャーを取り入れることにより若者世代の価値観を表現したもので、ナショナルヒストリーによって産出されてきたものとは異なる物語性をもつ。
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メキシコ、オアハカ州先住民農村の事例より
山内 熱人
p.
E23-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
発表者はメキシコ南東部に位置するオアハカ州の先住民農村を主な調査地として調査を続けてきた。フィエスタという言葉は様々なものを指し示すが、共同体の行事としてのそれと個人が家庭で開催するそれの二種類に分けて論じられてきた。本発表では、調査地における共同体の行事的フィエスタに注目し、調査地においては共同体の行事的なフィエスタと個人的なフィエスタという区分が厳密には機能しないことを主張する。
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―19世紀植民地インドにおける英国人兵士に対する結婚許可制限―
上杉 妙子
p.
F01-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表は、19世紀の植民地インドに駐留していた英国人兵士を例にとり、婚姻区分(独身/既婚の別)と軍隊で認識されたり期待されたりする兵士の男性性について論じる。英国人部隊では19世紀後半以降、独身兵士の男性性と既婚兵士の男性性という複数の男性性が認知されるようになり、従前の結婚制限が緩和された。近代の軍隊における役割の構造化は、婚姻区分が作り出す複数の男性性を組み込みながら展開していったのである。
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北インド・チベット系社会スピティ渓谷における階層リグの事例から
中屋敷 千尋
p.
F02-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
民主主義的政治制度が成功しているといわれるインドであるが、対象地の北インド・チベット系社会スピティ渓谷では、階層の下位に位置づけられる人々の政治的地位が向上する一方、儀式や祭礼の場面では中間層から下層の人々への差別的発言や暴力的行為が顕著になっている。本発表ではこの両義性の現状と背景を把握した上で、インドの政治体制と土着の階層制度がどのような関係にあるのかを明らかにすることが目的である。
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スィク教徒移民のトランスローカルな生活世界とモビリティ
東 聖子
p.
F03-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表では、スィク教徒移民が創出する生活世界において、モビリティがどのように作用しているのかを示す。人やモノの移動や移動にかかわる事象、つまりモビリティから現代社会を分析することの重要性が提起されている(Buscher et al. 2011)。それにならい本発表では、移民研究の分野ではこれまで中心的に扱われてこなかったもモビリティの視点から、トランスナショナリズムに収斂しない、トランスローカルで多様な生活世界を考察する。
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南インドのヒンドゥー寺院司祭集団の通過儀礼を事例に
飯塚 真弓
p.
F04-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表の目的は、通過儀礼にみられる女性と神霊の交渉を事例に、ヒンドゥー教における人と神々、ジェンダーについて考察することを目的とする。その際に参照とするのは、ヒンドゥー教におけるドーシャと呼ばれる厄災や障り、女性の被傷性、神格化の概念である。本発表では、特に婚姻儀礼と葬送儀礼における夫が存命する吉なる既婚女性(スマンガリー)に着目し、神霊を含む儀礼世界がいかに人の生と絡みあっているのかを考えたい。
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スリランカ伝承医療の出家者に対する診療をめぐって
梅村 絢美
p.
F05-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
スリランカ土着の伝承医療の治療家は、診療の見返りとして患者に貨幣を要求することに積極的な姿勢を示さない。これは診療が布施であると説明されるが、診療に立ち会い観察すると、在家の患者と出家した患者とでは治療家の振る舞いに明確な違いがみられることが分かる。本発表では、寺院に布施診療を行う治療家の事例を検証しながら、布施として行われる診療における治療家と患者の関係について検討する。
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スリランカ中部地方を中心として
小林 正史
p.
F06-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表の目的は、バングラデシュ西部、スリランカ中部地方のキャンディ地域とクルナーガラ地域、キャンディ県南東のマヒヤンガナ県の土器作り村における男女分業の比較を行い、その違いを生み出した諸要因を明らかにすることである。南アジアでは、「ロクロ成形を担当する男性が土器生産の主体であり、女性は叩き成形の一部や型成形を担当し、どちらかといえば補助的な役割である」点が特徴とされてきた。一方、スリランカ中部地方では、隣接するマヒヤンガナ地域やインド・バングラデシュに比べて「女性が主体的製作者である世帯」の比率が明瞭に高かった。その要因として、生産器種(ロクロ構造に影響)、生産規模(土器の需要)、賃金労働の機会、などがあげられた。
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On Issues of Cosmopolitanism and Multiculturalism
ゴロウィナ クセーニヤ
p.
F07-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表は、日本在住のロシア人女性移住者と婚姻関係にある日本人男性に焦点を当て、年齢や職業等を含むバックグラウンドのデータを紹介すると共に、留学等の経験の例が少なくない彼らの生活実践においてコスモポリタニズムがどのように表れ、彼らが多文化共生についてどのような態度を示すかを検証する。
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ポピュラー文化のグローカル化と在日ナイジェリア人
松本 尚之
p.
F08-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表では 、在日アフリカ人の間で2000年を前後して隆盛を極めた服飾ビジネスについて、特にナイジェリア出身者の事例を通して報告する。対象とするビジネスは、アメリカのポピュラー文化(ヒップホップ)の流行を背景として生まれたもので、彼らが携わるエスニック・ビジネスのなかでも日本人を対象とした点に特徴がある。服飾ビジネスの概要と変遷を論じ、ポピュラー文化のグローカル化と移民の関係について考察を行いたい。
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日本人のラスタファーライ実践者の意識について
神本 秀爾
p.
F09-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表では、日本人のラスタにとって、ラスタであるとはどのような状況であるのかを考察する。彼らのあいだで「生き方」であるということが強調される、ハイレ・セラシエ崇拝の希釈されたラスタファーライとは、他の宗教的・スピリチュアルな実践、世俗的な実践とも共感可能な領域を残しながら、より良い生き方を目指す思想や実践の体系を意味しており、ラスタであるとは、そのような生き方の途上にあるという状況を意味している。
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日本の社交ダンスにみる身体の規格化
井上 淳生
p.
F10-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
現在の日本には高齢者が社交ダンス(ballroom dance)を楽しむ施設が何種類かある。カラオケパブもその一つである。本発表ではそこで展開されている踊りの分析を通して、ダンスの領域における身体の規格化について考察する。なかでも、国家や社会的規範への反対運動の過程で構築されてきた「正しい/正しくない」という区分を取り上げ、現実に社交ダンスに参加する人びとの実践との関係に注目する。
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―東京都市部のSMクラブにみる性・身体・関係性構築の問題系をめぐって―
熊田 陽子
p.
F11-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
東京都市部のSMクラブ(X店)における参与観察調査の成果に基づき、女性性労働者(「おんなのこ」)と他者との関係で確認される「笑い」について検討する。そして、「おんなのこ」が「笑い」を頻繁に実践しながら「おんなのこ」と「おんなのこ」の間に、新人との間に、あるいは客との間に関係を構築していく様子を、「笑い」の「転換機能」や教育効果、「共同の想像体/態」などの観点から明らかにしていく。
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お返しを求めない支援者とお返しを渡したい被支援者
小西 信義
p.
F12-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
除排雪の担い手の減少と高齢化は、寒冷過疎地域では切実な問題である。本報告では、雪処理問題の解決状況下での、地域内および広域的共助における支援者と被支援者との関係性について、横断的な試論を行う。地域外からの支援者は、被支援者から返礼行為を求めず、内的報酬を得る間接互恵性が働く一方、被支援者は、支援者への何かしらの返礼を希望する直接互恵性が働くといった、互恵性をめぐる戦略的不一致(非対称性)が確認された。
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井上 敏昭
p.
F13-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
福祉専門職による支援の現場では、被援助者の文化的背景や価値観、社会的状況を深く理解することやラポールを構築し対話を重ねつつ相互理解を図るといった、人類学のフィールドワークと同様のことが求められるようになっているが、専門職養成教育ではそのような訓練が十分に行われていない。「実践的人文学」としての文化人類学が、福祉実践の領域においてどのような可能性を持ちうるのか考えてみたい。
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―宮古市T地区を事例に―
佐藤 悦子
p.
F14-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
東日本大震災による被災地では、仮設団地で暮らす女性たちが集まり、手仕事や趣味の楽しみを共有しながら活動している。彼女たちは「○○の会」というようにグループ名を掲げ、さをり織りや籠つくり、手芸品やペーパークラフトの制作などさまざまな活動を行っている。本発表では、宮古市T地区を事例に、このような女性たちの集まりはいかにして生まれ、いかなる実践を行っているのかを探る。
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エイジング・イン・プレイスと時空間共有に向けたレジリエンス
鈴木 七美
p.
F15-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
高齢化する社会への憂慮を契機として、全ての世代の人々の生活環境調整に向けた「エイジ・フレンドリー・コミュニティ」構想や運動が、都市部では「住み慣れた所で暮らす」という意味あいの「エイジング・イン・プレイス」を目指し進められてきた。本発表は、過疎地・被災地などで生活の激変に遭遇した全ての世代が、生活の場を共に再生・創出する「エイジング・イン・プレイス」の課題を、時空間共有のレジリエンスから検討する。
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金属切削加工を営む愛知県の小規模工場を事例に
加藤 英明
p.
F16-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表では、愛知県刈谷市の小規模工場がもつ技能と自動車製造との関係を検討する。事例で取り上げる小規模工場は典型的な家族経営の工場であり、自動車製造の本流からこぼれ落ちる不確定要素の高い仕事をおこなっている。そのような仕事に対して、機械工は生産ラインの機械の仕組みや開発現場の脈絡を考慮に入れながら、製作手順や機械、道具を決定していく。この一連の行為について、2点の製作事例をもとに検討する。
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梼原町の訴訟事件を通してみる森林資源統治の民族誌的研究
権 允義
p.
F17-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
人々が自然をコントロールし「資源」として活用する営みのなかには、さまざまな権力作用が内包されている。近年の資源統治に関する研究では、フーコーの統治性概念を採用して内在する権力作用を説明しようとする試みが行っている。本発表が対象とするのは、高知県の山村である梼原町における森林資源統治の様相である。具体的には、1968(昭和43)年から1993(平成5)年まで行われた「統合町有地保護交付金請求事件(以下、訴訟)」を取り扱う。旧村の共有林野の所有権が行政町に移転された後、国による人工造林が行われた。その収益金の受領先をめぐる訴訟で、いわゆる「入会」訴訟である。本発表では、この時代的変化の中で行われた国と町レベルの政策を地域社会がいかに抵抗し、受容してきたのかを明らかにする。さらに、村落共同体の内部に起こる衝突を解決するため、多様な主体が取った行動を政治的行為として把握し、訴訟当時から現在まで地域社会に与えた影響を考察する。森林資源への統治がコミュニティーの構成員まで浸透するなかで、権力はいかに作動してきたのか明らかにすることを試みる。
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父島・母島の新たな生業の事例を中心に
山崎 真之
p.
F18-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表では、小笠原諸島にみられる新島民に着眼する。1968年、アメリカ統治からの返還以降、新島民と呼ばれるIターン者らが島に影響をもたらし、戦前とは異なる様相の社会が築かれている。その中で、島に従来みられなかった生業に携わる新島民の姿がみられる。彼らは、「文化の資源化」を通じて島に変容をもたらしているであろう。現地調査に基づき、彼らの実践が、いかにして変容をもたらしているのかを分析・考察する。
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マレーシアにおける上座仏教団体と上座仏教徒の実践から
黄 蘊
p.
F19-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本報告では、マレーシアの上座仏教徒の活動にみられる親密性と公共性がどのようにして生起し、また仏教親密性と公共性の両者はどう相互関係しながら相乗的に存在しているのかを考察する。それを通して、マレーシアにおける上座仏教の展開、上座仏教徒の実践のあり様を明らかにする。
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シンガポールにおける宗教集団の実践
伏木 香織
p.
F20-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
管理社会シンガポールの公共空間で宗教集団が行う宗教的実践を、個々人の参加態度というミクロな視点から分析することで、人々が社会的諸問題に柔軟に対処しようとする局面をとらえる。宗教集団は既知の親密圏/公共圏のあり方とは異なり、言語、医療、高齢者ケア、都市計画などの諸問題ごとに異なる複数の親密性/公共性の度合いとベクトルをもって集団の外縁を形成し、穏やかな社会的諸問題の解決を目指しているのである。
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マレーシア華人の儀礼コミュニティを中心とした自発的結社慈善活動について
櫻田 涼子
p.
F21-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本報告は、独立以後、マレー人中心の国づくりが推進されてきた多民族国家マレーシアにおいて「政治的マイノリティ」として暮らしてきた華人が、いかにして権力と大きく対立することなく彼らにとっての公益に利する活動としての自発的結社慈善活動を達成してきたのか、つまり〈華人的公共〉がいかにして構築されるのか、その様態を中元節儀礼「盂蘭勝会」を契機に組織される儀礼コミュニティに着目し検討することを目的とする。
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ソロモン諸島アレアレにおける竹製パンパイプス演奏集団の事例から
佐本 英規
p.
F22-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表では、ソロモン諸島アレアレを拠点として活動し、近年、海外の音楽産業との結びつきを急速に強めつつある竹製パンパイプス演奏集団であるナラシラトを事例として、現代南太平洋における音楽的営為が、多国籍音楽産業と関係を結びながら地域横断的な活動を展開に焦点をあて、現地における音楽的営為をめぐる交換関係がどのような変容を遂げつつあるかについて検討する。
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ライヴ性の変遷
登 久希子
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F23-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
現代美術の作品形態のひとつであるパフォーマンス・アートは、その初期においてアーティストと観客との時間的・空間的に直接的な対峙を重視した。本発表は、現代のアーティストがライヴ性を重視するパフォーマンス・アートとの関係においてどのように自身の作品の記録を位置づけているのかを、ニューヨークで活動するアーティストを事例に考察するものである。
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世界遺産「コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観」の事例より
堂下 恵
p.
G01-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
既存の人類学研究ではあまり対象にならなかった英国の世界遺産「コーンウォール・西デヴォンの鉱山景観」を事例に、近代・西欧を軸に展開されがちなグローバリゼーションの議論に新たな視座を提供することを試みる。近代・西欧の中核にいる人々であっても彼らの実践は必ずしも主流の論議を援護しないこと、また、メキシコ移住者の子孫と共時的に実施する祭りがあり、文化の生成と共有が瞬時に起きている可能性を紹介する。
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グローバル化時代のローカリティ表出
矢島 妙子
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G02-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
「地方」「地域」が注目されるようになって久しい。グローバル化の時代において、ほかのどこにもないものは、その「地域」である。他との差異化、オリジナリティを出すために、「今、そこにある地域」を表現する。「今」は、歴史や習俗を土台とするだけでなく、ときには、ヴァーチャルなものが起因して変化もする。そして、「そこにある」地域は「そこにしかない」。そうした動きはコンテンツ・ツーリズムともなっている。
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「危険」の商品化と「冒険」の大衆化
大野 哲也
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G03-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表の目的は、自らの生命を賭けるという点で、身体活動の極北とも言うべき「冒険」について人類学的に考察することにある。特に本発表については、現代日本社会における冒険の文化・社会的意味に焦点化して考えてみたい。
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トルコ南西部パターラ遺跡とキビラ遺跡の事例から
田中 英資
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G04-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本報告では「遺産」とみなされた過去の痕跡(モノ)とそれに関わる様々な人々(考古学者、地元住民、観光客等)の「協働(collaboration)」(Tsing 2005)に注目し、トルコ西部地中海地域のふたつの遺跡を事例に、過去の痕跡が様々な利害集団との関わりのなかで遺産となっていく過程を検証する。特に、発掘調査とその後の遺跡の保存・管理の動きを通して、観光開発も含めた地域の人々の遺跡への関わりにどのような影響を与えているかを明らかにする。
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―アメリカのコンサーバティブ・メノナイトの事例から―
中 朋美
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G05-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
アメリカのキリスト教プロテスタント系のコンサーバティブ・メノナイトグループの人々を対象に信仰と寄付、消費、貯蓄といった金銭的な判断がいかに宗教的な評価を受けていくのかを考察する。そういった議論は、彼らにとって、自分たちと「外」の社会との違いを明確にするよい機会となっている一方、快適な暮らし追求したいという現実的な側面とどう調整していくのかといった問題をも浮かびあがらせていることを報告する。
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韓国地方自治体の観光コース開発の事例から
中村 八重
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G06-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本発表は、韓国南部の都市における近代遺産をめぐる観光コース開発について報告し、地方都市での地域アイデンティティの模索における近代と植民地遺産の位置づけを考察する。大邱市で「近代路の旅行」という町並み観光が市を代表する観光プログラムとして定着しつつあることについて、植民地の建築物を自らの歴史の一部として再評価し、観光資源として活用する潮流の中にあることを明らかにする。
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パプアニューギニア・アベラム社会における月経処置法の伝承者の変化から
新本 万里子
p.
G07-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
フリー
本報告では、月経についての観念がどのように変化しているのかを、月経処置法の伝承者と伝承の内容に注目して検討することを目的とする。調査対象としたのはパプアニューギニア・アベラム社会である。報告では、月経処置法の伝承者が母から上級生や友人、教師に変化していること、伝承内容にも変化があることを示す。伝統的には月経はヤムイモ栽培との関係において忌避されていたが、伝承者の変化に伴い羞恥心が意識されるようになったことを明らかにする。
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サモア独立国のケーススタディ
山本 真鳥
p.
G08-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
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サモア社会の伝統的な互酬経済は、海外への移住が広範に生じると共に、その送金がきっかけとなって大きな変容にさらされた。互酬性による儀礼交換の経済はその中で過剰に加熱してきた。その後2000年前後から、政府のイニシアチヴにより生じた、女性の伝統的な仕事の見直しと、儀礼交換縮小および「伝統回帰」の政策介入により、その制度にはさらに大きな変化が生じている。
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先住民コスモポリタニズムとシドニー南西部郊外のオーストラリア先住民
山内 由理子
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G09-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
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シドニー南西部郊外のオーストラリア先住民においては、その植民地化の歴史より、非先住民のルーツを引いていることは珍しくない一方、そのルーツはあまり語られない傾向にある。本発表では、先住民コスモポリタニズム(Indigenous Cosmopolitanism)の議論における他者への尊敬と義務、という側面を梃子に、この様な中であえて非先住民のルーツを積極的に語る人々について考察を加えてゆきたい。
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アボリジニコミュニティから地方都市に流入する人々の事例から
平野 智佳子
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G10-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
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2007年オーストラリア国家が北部準州への介入政策を発表した。国家により自由を制限された状況に、アボリジニコミュニティから地方都市に流れ込む人々が増加している。一方、都市でも治安の悪化が不安視され飲酒規制が強化された。本発表では、アボリジニ都市生活者たちが飲酒規制にいかに対応しているかを考察する。飲酒規制をすり抜けて奔走するアボリジニたちが、既存の枠組みをこえた社会関係を編み出す現状を読み解く。
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カメルーン東部バカの子どもによる会話の組織化
園田 浩司
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G11-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
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子どもの会話には、普段は気づかれない日常の細部を照射する作用がある。本研究では、集団猟をおこなう子どもの行為としての会話を考察する。集団猟は、獲物を捕らえるというひとつの目標に向かって、個々人が行為を協働させる現場である。行為として会話に着目するにあたり、本発表では指示 (directive) 表現のその諸形式と利用実態を検証する。熱帯雨林で狩猟採集を営む人々の生活世界を描き出すこころみである。
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国家に接近するバイクタクシー業と全国バイクタクシー協会
岡野 英之
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G12-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
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国家とは、政府機構のみで構成されるわけではないとする議論がある。中央政府は、社会に存在する諸勢力と手を結ぶことで統治を拡大する。こうした諸勢力と中央政府の同盟網を単一の主体とみなしたものが国家とされる。本発表では、シエラレオネで近年台頭したバイクタクシー業、および、その業界団体「全国バイクタクシー協会」を考察することで、ローカルな勢力が政府機構と接近し、権力を拡大するプロセスを描く。
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体の鍛錬、疲労と回復のサイクルからの一考
萩原 卓也
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G13-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
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本発表の目的は、ケニア首都近郊に存在する自転車競技選手の小集団を対象にすることで、①グローバル化された制度であるスポーツに関わりながら生計を立てようとする若者の生活実態を明らかにすることと、②そうすることを可能にしている小集団を集団として存続させている仕組みについて、食事制限や厳しい練習による体の鍛錬、また疲労から回復へという振れ幅の大きい身体活動のサイクルに注目しながら考察することである。
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ケニア海岸地方ドゥルマの妖術とキリスト教
岡本 圭史
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G14-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
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人類学的宗教研究の中には、様々な二分法を前提とする暗黙の二元論的宗教観がしばしば見出される。妖術等のオカルト的実践をその一部とする生活世界がこの宗教観の下に捉えられた場合、宗教と呼ぶべきではない対象が宗教とされる危険がある。本発表では、ケニア海岸地方のドゥルマの事例を元に、そうした生活世界を人々が想像、創出する様子を描く。また、宗教概念の再定義の試みに一線を画しつつ、新たな宗教観を模索する。
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タンザニア・ボンデイ社会の事例
高村 美也子
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G15-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
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本発表の目的は、タンザニアの民族語の一つであるボンデイ語に焦点を当て、その衰退に対する人々の無関心さと復興への取り組みについて考察することである。タンザニア北東部に位置するボンデイ社会では、母語であるボンデイ語の使用が衰退している。特に経済活動を村外で行っている男性には、ボンデイの言語や文化に無関心な人びとが多い。日常社会と長老たち(男性)のボンデイ語復興活動との「ずれ」について検討する。
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エチオピア農村部に位置する一集落の事例から
吉田 早悠里
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G16-
発行日: 2015年
公開日: 2015/05/13
会議録・要旨集
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本発表は、エチオピア南西部に位置する農村の一集落に暮らす、顔の見える関係にある住民たちが、住民間での「もめごと」にどのように対処しているのかについて、複数の具体的事例をもとに検討するものである。
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