日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
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日本文化人類学会第52回研究大会
選択された号の論文の187件中101~150を表示しています
個人発表 H5-H11
ラウンドテーブル
  • 外部機関との連携プロジェクト
    李 應哲
    セッションID: RT1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    弘前RTと翌週韓国でのソウルRTの二部構成をとる本セッションは,「自分の言語で人類学すること」についての日韓学会員間の対話を通じて,①自身の学的実践の再認識,②「普遍」言語を介した交流とは異なる次元での疎通,③狭義の学術活動に留まらない懸案事項の共有,を試みる。弘前RTでは韓国学会員(李應哲・全ウリョン)が話題提供を,日本学会員(小川さやか・木村周平)が討論を担当する。ソウルRTでは役割を交代する。 李應哲は、 英語と母国語,人類学者個人が関心を持つ地域の言語でない他の言語使用者たちとの知識共有の脈絡を考慮し,研究者が属する大学が外部の企業や行政機関と連携したプロジェクトを紹介し,これが学生たちに,そして韓国の人類学にもたらす肯定的効果を述べようと思う。これは学期中の授業や休暇中の別途のプロジェクトを通じてなされるが,外部機関には人類学への関心を,学生たちには将来の就職等を含む現実的支援をもたらしうる。
  • いくつかの争点と可能性
    全 ウリョン
    セッションID: RT2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    弘前RTと翌週韓国でのソウルRTの二部構成をとる本セッションは,「自分の言語で人類学すること」についての日韓学会員間の対話を通じて,①自身の学的実践の再認識,②「普遍」言語を介した交流とは異なる次元での疎通,③狭義の学術活動に留まらない懸案事項の共有,を試みる。弘前RTでは韓国学会員(李應哲・全ウリョン)が話題提供を,日本学会員(小川さやか・木村周平)が討論を担当する。ソウルRTでは役割を交代する。 全ウリョンは、 現在,韓国において「韓国語で人類学すること」は,大学内の韓国語と英語の矛盾する位階的共存の中で多くの問題に直面している。人類学の枠を越えた韓国の学界での批判は,主に「知識の西欧従属性」,「知識の脱植民化」,または「土着的知識」の必要性という枠組の中で思考されてきた。発表者は,いくつかの問いを通じ,「自分の言語で人類学すること」が既存の批判を超えた新たな問題意識の中で再考される必要があることを述べたい。
2018年6月3日(日)
個人発表 A12-A17
分科会9 文化人類学と異分野のコ ラボレーション
  • 達成したこと・問題点・今後の課題
    島田 将喜
    セッションID: A2-0
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    本分科会の目的は、実際に始動し始めた文化人類学者と認知心理学者、霊長類学者などと協同した異分野間コラボレーションの、これまでの成果や失敗事例を紹介し、また今後協同できる可能性のある課題について情報共有を進めることである。それによりこれまでのコラボレーションの過程で経験したさまざまな問題点、トラブルを精査、共有し、多くの文化人類学者に関心をもってもらい、将来のコラボレーションを促進することを目指す。
  • 文化人類学と認知心理学の融合による仮説生成と仮説検証の循環
    高橋 康介
    セッションID: A18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    我々は文化人類学と認知心理学の学際的融合を通して、フィールドでの実験という手法によりヒトの認知についての多文化研究を行ってきた。この中で、例えば「実験」の意味、仮説生成と仮説検証の不協和など、学際的研究の枠組みで議論する価値のある諸問題が見えてきた。本発表では認知心理学者の視点からこれら諸問題について整理、解説し、文化人類学を含む異分野間の融合により諸問題を乗り越える意義について議論する。
  • フィールドでの経験からみた可能性と成果共有の課題について
    大石 高典
    セッションID: A19
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    文化接触領域における顔や身振りの表情認知の問題は、多言語・多民族社会でフィールドワークをする人類学者にとっては、調査場面のみならずフィールドでの日常生活におけるコミュニケーションのあり方を揺るがしかねない問題として切実な意味を持ち得る。この発表では、実験心理学者との共同研究として中部アフリカ・カメルーンでおこなった顔認知の野外実験について振り返り、得られた気づきや課題、今後の展望について共有する。
  • 人類学と認知心理学の対話のために
    岡本 圭史
    セッションID: A20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    文化人類学と心理学の架橋は、容易に成功し難い課題である。その原因の1つは、人類学者による心理学の参照が、しばしばデータから切り離された概念の領有に陥っていたという点であろう。本発表では、いわゆる「宗教の認知科学」における霊的存在のエイジェンシーをめぐる議論について検討する。そのことを通じて、人類学者による認知心理学の正確な理解が、生活世界の中の霊の位置を新たな視点から描く助けとなることを示す。
  • 心理学におけるfamiliar faceの認知を手がかりに
    金沢 創
    セッションID: A21
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、心理学における顔認知に関する研究動向をレビューし、見られるものとしての顔が、他者としてカテゴリー化され、さらに固有性を獲得する、つまりシニフィアンとしての顔イメージが、シニフィアンを構成していく顔の記号化プロセスを発達心理学の観点から検討する。人見知りは、unfamiliar faceとfamiliar faceを弁別する感情的反応であるが、その発達プロセスを探求することは、文化人類学と発達心理学、記号論が交わる場であるともいえる。
個人発表 B13-B18
分科会10 肉のポリティク
  • 人獣関係における産業化・権力・宗教
    近藤 祉秋
    セッションID: B2-0
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    本分科会では、動物の権利、食肉の産業化、食の安全、宗教的な禁忌、宇宙論、収奪的な経済体制など、さまざまな切り口から《肉のポリティクス》を扱う。本分科会は、科研プロジェクト「種の人類学的転回:マルチスピーシーズ研究の可能性」の活動の一環として企画されており、最近提唱されている「人間以上」のアプローチについて、民族誌的な次元で検討を進めることを目的としている。
  • 中国玉林犬肉祭のコスモポリティクス
    シンジルト
    セッションID: B19
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    毎年夏至の日に、中国南西部の広西チワン自治区玉林市において開かれる犬肉祭は、しばしば動物(犬)の生きる権利(狗権)を優先すべきか、それとも人間の動物の肉を食する権利(人権)を優先すべきかをめぐる議論の絶好の材料として位置付けられてきた。そこで、犬や犬肉そして犬肉祭は、副次的なものあるいは一種の結果としてしか理解されてこなかった。本発表では、犬肉や犬肉祭を主役に位置付け、ほかならぬ犬という非人間との関係において、人間の本来あるべき姿をめぐる議論が、いかに、俎上に載せられているかを、民族誌的な情報をもとに考察していきたい。
  • 九州山地におけるmicrobiopolitics
    近藤 祉秋
    セッションID: B20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    近年、日本の各地でニホンジカ(Cervus nippon)による獣害が問題とされるようになってきたことを受けて、国や地方自治体はシカ個体数の調整を喫緊の課題と見なすようになってきた。その動きを受けて、シカ肉の商品化が各地で試みられている。本発表では、九州山地のある「ジビエ」事業を事例として、ヘザー・パクソンが提唱したmicrobiopolitics概念をたよりとして、マルチスピーシーズ民族誌の観点から分析する。
  • 現代ブータンにおける屠畜の産業化と宗教実践
    宮本 万里
    セッションID: B21
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    屠ることと食べることが表裏一体である一方、仏教社会では屠畜行為はしばしば秘匿され、屠畜者たちは社会の最底辺に配置された。家畜の健康管理から移動・屠畜・解体過程の集約化・機械化を含む「屠畜の産業化」を試みる政府農業省と、変化を迫られる牧畜社会、そして殺生を禁じる仏教界の間のコンフリクトを辿りながら、屠畜行為がいかに可視化され、死んだ牛の肉・屠られない肉をめぐる価値がいかに変容したのかを考察する。
  • 「シシ」と「ムシ」から再考する東北日本の種間宇宙論
    石倉 敏明
    セッションID: B22
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    東北日本に継承された「シシ」や「ムシ」をめぐる儀礼には、民衆の食料となる農作物をめぐる駆け引きや、自然の循環の中で朽ち果て、大地を肥沃にして新たな生命の誕生に寄与する原理に対する配慮が存在する。この配慮は、シシ踊り、虫送りといった芸能の中に生き続けている。本発表ではこうした「朽ちる肉」の物質性を問うことによって、生命記号として民俗語彙によって構築される「人間を超えた世界」のイメージを検討したい。
  • 先住民エンベラによるブタ飼育に見る多層的関係性
    近藤 宏
    セッションID: B23
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では、パナマ東部からコロンビア太平洋岸にかけて居住する先住民エンベラのもとにみられるブタ飼育とブタに関わる諸言説を通して、肉となるその動物をめぐる権力関係を、多層的関係としてとらえる。中心に位置する関係は、育てられるブタと育てる人間、先住民エンベラのあいだの関係性である。多様な関係を通じて、ブタを育てることに関わる多層的な(権)力関係を描くことにしたい。
個人発表 C13-C18
分科会11 宗教と開発の人類学
個人発表 D13-D18
分科会12 『ホスト・アンド・ゲスト』再考
  • 観光人類学の新展開に向けて
    市野澤 潤平
    セッションID: D2-0
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    V. L. Smith の編集による観光人類学の嚆矢、Hosts and Guests: Anthropology of Tourism が1977年に刊行されてから41年(及びその最初の邦訳から27年)を経た2018年、橋本和也を中心とした文化人類学者たちが、同書を再翻訳して世に問うことになった。本分科会は、ホストとゲストの関係という観光人類学の古典的テーマの価値を再確認した上で、同書における議論の限界を見極め、それを乗り越える新たなホスト-ゲスト論の展開可能性を、提示する試みである。
  • 小笠原諸島における移住者を事例に
    山崎 真之
    セッションID: D19
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、小笠原諸島の移住者を事例に柔軟で多様なホスト・ゲスト関係の再考を試みることが目的である。本発表では、ホストとゲストという図式が形成されるその過程に注目することに加えて、ゲストからホストに転位した移住者が必ずしもホストであり続けないことに焦点をあてていく。このように、これまで論じられてきたような固定的な「ホスト」と「ゲスト」という二項対立な図式はもはやあてはまらないと考えられる。
  • フィリピン・ボラカイ島の観光開発に現れる新たなホストとゲスト関係
    東 賢太朗
    セッションID: D20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、フィリピン・ボラカイ島の事例から「ホストとゲストの関係」という視座の有効性を問い直す。ボラカイ島が観光地として直面している危機的な状況と急激な変化の渦中で、ホストとゲストという関係を越えた別種の共同性が生起している。それは必ずしもユートピア的ではなく、未来に向かいながら抑圧的であり、ときに過去に向かってのみ連帯を生じさせ、不確実で偶然に左右される観光という領域の特殊さを際立たせている。
  • バリ島ウブドの日本人のリキッド・ホーム
    吉田 竹也
    セッションID: D21
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、『ホスト・アンド・ゲスト』の刊行後に明確になった社会状況やそれに関する考察を導入し、当該論集の議論の更新可能性を検討しようとするものである。具体的には、バリ島ウブドに90年代に移動/定住した日本人の事例をもとに、ホストでもありゲストでもあるような主体にとっての流動化するホームのあり方を捉えることから、ホストとゲストの関係性を主題化した当該論集とは別様の議論可能性を探求し、さらにこれをリスク社会論へと接続しようとする。
  • ―カトマンズの観光市場、タメルにおける宝飾市場を事例に―
    渡部 瑞希
    セッションID: D22
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    ヴァーレン・スミス著のHosts and Guests: Anthropology of Tourismが1977年に発表されて以降、「ホストとゲスト」の関係は二項対立図式では捉えきれいない可変性を有するものとされてきた。本発表の目的は「ホストとゲスト」の可変性から一歩踏み込み、その可変性から引き起こされる観光ならではの独特の現象を明るみにすることで、観光現象を文化人類学的に論じることの意義を提唱したい。具体的には、カトマンズの観光市場、タメルにおいて土産物の宝飾品を売買する小売商人(ホスト)とツーリスト(ゲスト)に着目し、「ホストとゲスト」の可変性が経済的利益を追求するような「売り手と買い手」としての立ち位置をいかに揺るがしているかを明らかにする。
  • 観光における対人接客サービスとホスピタリティを再考する
    市野澤 潤平
    セッションID: D23
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、ホストの仕事を対象とする人類学的な考察が、観光現場での対人接客サービスをめぐる議論に新たな論点/視座を提案できないか、模索するものである。観光業(従事者)にとって、ツーリストは実に多くの文脈でリスク要因であり、自身の安全を脅かす「敵」とみなせる側面を持つ。本発表はそうした認識に基づき、タイで働くダイビング・ガイドとその客との関係の敵対的な側面について、考察する。
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