要 旨
目的:「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」第2回締約国会議(2007年)で「受動喫煙を防止するためには
100%全面禁煙とする必要がある」という方針が示されている。しかし日本では禁煙条例が施行されているのは神奈川県
と兵庫県のみである。そこで日本における受動喫煙の健康被害と全面禁煙に関する意識について海外と比較するための調
査を実施した。
方法:2015年2月3日~2月12日の期間に日本の1000人とアメリカの1000人を対象とし、インターネットによるアンケート
を実施した。
結果:レストランや飲食店において、日本では分煙が最も多く(65%、p<0.001)、全面禁煙はごく少数であった
(11%、p < 0.001)が、アメリカでは全面禁煙が最も多く(60%、p < 0.001)、分煙は少数であった(28%、p <
0.001)。また日本は受動喫煙の健康被害に対する知識度がアメリカより低い一方、関心度は高かった。東京オリンピッ
ク・パラリンピックに向け強制力のある受動喫煙防止条例の制定を希望するかについては、日本(とても思う:51%、少
しそう思う:29%、あまり思わない15%、全く思わない:6%)、アメリカ(とてもそう思う:45%、少しそう思う:
34%、あまり思わない15%、全く思わない:6%)と、日米共に約8割が制定希望であった。
結論:受動喫煙の健康被害に関する知識度は日本の方がアメリカより低い一方、関心度は日本の方がアメリカより高いこ
とが明らかとなった。日本において受動喫煙の健康被害に関する情報発信を強化していく必要性がある。
抄録全体を表示