要 旨
目的:本研究は禁煙外来での継続受診状況を明らかにすると同時に電子カルテ内の問診情報を基に個別の特徴を踏まえて
患者の類型化を行った。禁煙外来の継続受診を中断する患者の特徴を明らかにすることを目的としている。
方法:研究デザインは単施設における後ろ向きコホート研究である。2008年4月1日から2014年3月31日の期間にA病院の禁
煙外来を受診した468名のうち、初回問診データに欠損のある81名と医師の同意のもと治療を中断した13名を除外した374
名を調査対象とした。分析には潜在クラス分析を用いて患者を類型化し、その類型化した各クラスの特徴を確認した。
結果:継続受診回数5回を継続受診達成とすると、継続受診達成1クラス、継続受診未達成3クラスの計4クラスに分類する
ことができた。また各クラスを患者の特徴をもとに達成クラス(クラスサイズ70.3%)、序盤脱落クラス(クラスサイズ
8.5%)、中盤脱落クラス(クラスサイズ10.3%)、終盤脱落クラス(クラスサイズ10.9%)と名付けた。さらに帰属確率
90%以上のクラスに受診者を分類すると調査対象者の98.1%をいずれかのクラスに分類することができた。
結論:潜在クラスモデルを用いることで患者を継続受診の脱落時期によって類型化できることが明らかとなった。これに
より医療者は初回問診時の患者情報から継続受診の脱落時期を予測できる可能性が示唆された。初診時に患者の脱落時期
が予測できればこれまで以上に個別の患者に適した禁煙サポートが可能となる。それは禁煙外来継続受診率の向上、ひい
ては禁煙外来による完全禁煙と健康寿命の延伸につながると考えられる。
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