経済的な格差の増大
高度経済成長のなか、「一億総中流」と言われ、先進国の中でも所得格差が小さかったわが国も、バブル崩壊後、所得格差が徐々に大きくなってきた。特に、非正規雇用労働者が増えたことから、若年層における格差が顕著になっている1)。20歳代では、年収150万円未満の雇用者の割合が1992年の15.3%から2002年の21.8%と6.5ポイント上昇する一方で、年収500万円以上の雇用者の割合は2.9%から3.2%と上昇している。所得の二極化が進み、格差が増大してきているのである。
また、格差が広がった結果、貧困層の増加も問題となってきている。OECD(経済協力開発機構)が発表した2005年の相対的貧困率〔等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値)が全国民の等価可処分所得の中央値の半分に満たない国民の割合〕はこの15年間で2.9ポイント上昇して、14.9%とOECD加盟30カ国の中でメキシコ、トルコ、米国についで4番目に高い数値になっている(図1)2)。
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