禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
vol.6 巻, 10 号
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  • 川崎 詔子, 高橋 裕子
    2012 年 vol.6 巻 10 号 p. 1-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル オープンアクセス
    要 旨
    目的:建物内禁煙の大学における6年間の大学生の喫煙状況の変化を明らかにする。
    方法:関西都市部で建物内禁煙の状況下にある中規模総合大学(学生数約6500人)において、2004年4月から2009年4月までの6年間にわたる各入学年度で、入学から卒業(最終学年)まで追跡可能であった学生について、定期健康診断実施時に行っている記名自記式喫煙状況実態調査の中から、喫煙実態、意識、傾向等の現状を示す項目を抽出し、入学年度ごとに比較した。
    結果: 1年生から4年生までの間、追跡出来た学生数は6224人(追跡率66.1%、18.28±1.32歳、男性4172人、女性2052人)であった。調査した6年間で入学時の喫煙率は年々漸減しているものの、入学後に喫煙率が急激に増加する傾向が続き、特に2年生から3年生の1年間での喫煙率の増加が顕著であった。喫煙経験率についても入学後に増加する傾向が続き、2年生から3年生の1年間で急激に増加し、入学年度間の有意な変化は認められなかった。
    結論:健康増進法制定後6年間の大学生喫煙状況実態調査において、入学時の喫煙率は年々漸減しているものの、入学年度に関係なく入学後に喫煙者が急激に増加する傾向を認めた。とくに、入学後の喫煙率は2年生から3年生の1年間の間に急激に増加し、入学年度間の有意な変化は認められなかった。
  • 川崎 詔子, 高橋 裕子
    2012 年 vol.6 巻 10 号 p. 11-17
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル オープンアクセス
    要 旨
    目的:大学1年生に対して入学9ヶ月後に[新入生対象参加型喫煙防止教育]を実施し、15ヶ月後にその成果を比較することで参加型喫煙防止教育の有用性を検討した。
    方法:2007年4月の新入学者の内、課外活動団体に属する学生220人に対し、入学9ヶ月後の2008年1月に参加型喫煙防止教育を実施した。参加した学生群(以後参加群と呼ぶ)と参加しなかった学生群(以後非参加群と呼ぶ)の2群を、定期健康診断時に実施している記名自記式喫煙状況実態調査等を用いて2009年4月(介入後15ヶ月)まで追跡し、喫煙状況を比較した。参加群には講演と学生主体のグループワークを中心とした参加型喫煙防止教育を実施し、参加群以外の学生には、学内で参加型喫煙防止教育のビデオ閲覧の機会を設けた。
    結果:介入後15ヶ月後までの追跡率は参加群で99.5%(219名、18.1±0.4歳)、非参加群で75.3%(1053名、18.3±1.2歳)、男女の比率はどちらも概ね2対1であった。参加群の喫煙率は2年生から3年生の1年間で4.1%増加し非参加群の喫煙率は9.5%増加した。男子学生の喫煙経験率については、参加群が1年生から3年生の2年間で33.1%から45.5%へ12.4%増加し、非参加群は34.5%から61.8%へ27.3%増加しており、参加群の喫煙経験率の上昇は非参加群に比べて低かった。参加群では「学校でのこどもの喫煙防止教育は必要」との回答の割合が、非参加群に比べて有意に高かった。
    結論:大学1年生への参加型喫煙防止教育は、実施後15ヶ月経過した時点でも有効性を有することが示唆された。大学生を対象に、禁煙についての教育実施後1年以上経過した時点での教育成果を検証した研究は稀少である。
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