発災時には、道路管理者は被災した道路上の場所を収集し、その情報を集約して通行の規制、迂回路の設定、被害の拡大の防止や復旧対応等の処理をしなければならない。そして、道路の被災場所の情報は、移動や輸送の為に他の機関や道路利用者にも利用される。しかしながら、あらゆる道路上の場所を安定して表現でき、分かりやすく、伝達しやすい方法が無いため、しかも、災害時には極めて限られた時間内に(時には場所に不案内な応援の人員の助けを借りて)場所情報を整理しなければならないといった制約も加わり、道路上の場所の表現には、路線と多様な場所の目印(地理識別子)が用いられている。
文字列で表現された場所から座標を算出するための情報技術としてジオコーディングがあるが、これまでのジオコーディングは道路上の場所を対象としたものではない。このため、路線と地理識別子から道路上の場所を割り出すには目視による処理が必要であり、場合によっては、複数の地図を見比べるといった作業が必要であった。本研究では路線と地理識別子を関連付けて道路上の場所を特定するために開発した道路ジオコーダを使用し、平成29年7月九州北部豪雨災害による道路災害の日田市内の国道・県道の規制情報を例にその評価を行った。道路ジオコーダは入力データの86%から道路上の座標を出力することが可能であった。さらに、その所要時間は1件当たり1秒以下であり、有用なシステムと考えられる。
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