災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
23 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
査読原稿
  • -親子間の対話の分析を通して-
    岡田 夏美, 矢守 克也
    2025 年23 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    東日本大震災以降、迅速な津波避難のための指針として「津波てんでんこ」の重要性が指摘され、それを実現するための教育や啓発活動が各地で展開されている。発災時に「津波てんでんこ」が発動するためには、たとえば親子に代表されるような、お互いに大事と思っている人同士の、お互いの避難行動や避難先について知っているという信頼関係(認識共有)が重要である。

    しかし、津波避難に関して、親子であっても信頼関係(認識共有)を形成することは容易ではない。本研究では、このような信頼関係(認識共有)が形成される場面として「対話」に着目した。津波避難をめぐる親子の「対話」を分析した結果、複雑な意思決定のプロセスが存在していることが明らかとなった。さらに、津波避難に関しては、その「対話」がどれだけ多様な視点から展開されたかが重要であり、親子間の「対話」の分析を通じて、「親からの提起」と「第三者の介在」によって信頼関係(認識共有)の形成が促進される可能性を明らかとした。

  • -石川県珠洲市における群発地震被害を事例として-
    小林 秀行
    2025 年23 巻1 号 p. 13-24
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    本研究は、2022 年 6 月 19 日および 2023 年 5 月 5 日に石川県能登地方で発生した 2 つの地震を対象として、とくに「申し訳ない」「情けない」という言葉に着目し、多重被災の実態を明らかにしたものである。調査は 2023 年 11 月から 12 月にかけて郵送調査によって実施し、珠洲市上戸町・正院町・蛸島町・野々江町の 4 地域 2,021 件に調査票を配布、527 件の有効回答を得た。このうち 327 件を多重被災者とみなし、その被害実態および心情を分析した。結果として、多重被災者の 66.3% から「生活再建に対する気持ちが削がれた」という回答が見られ、また「申し訳ない」「情けない」という感情については、それぞれ19.7%、19.2%にそうした感情を体験したことがあるという結果が得られ、多重被災による精神的な負荷の存在が示唆された。さらに、自由回答を分析したところ、「申し訳ない」では他者との関係性のなかで恥が感じられており、対して「情けない」では現状から自身の不備を見出そうとしてしまうというところに、自尊心の低下とそれによる自己否定の感情が見出された。このような精神的な負荷が、生活再建に対する「気持ちの削がれ」につながっているものといえる。これらの結果は先行研究における「申し訳なさ」「情けなさ」、もしくはその背後にある「負債」の議論を支持するものであり、多重被災の実態の一部を理論的に明らかにすることが出来た。

  • 紅谷 昇平, ユン ソナ
    2025 年23 巻1 号 p. 25-35
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    日本に滞在する留学生や外国人旅行者は、日本語能力や自然災害に対する知識の不足が原因で、災害時に困難を抱える傾向がみられる。本研究では、留学生と日本人との災害・防災に対する意識・対策の違いを踏まえて、大学における留学生対象の防災対策の取組実態を明らかにすることを目的としている。

    まず、日本人学生と留学生を対象としたアンケート調査を行った結果、留学生は日本人学生と比べて災害や防災について学んだ経験が少なく、災害・防災知識を得る場として大学が果たす役割が大きいことを明らかにした。次に、国内の大学を対象としたアンケート調査を行い、留学生への防災教育や防災対策の実態を比較分析した。その結果、日本人学生への防災対策と比べ、留学生への防災対策が不十分と自己評価する大学が多いこと、留学生数が多い大学の方が留学生への防災対策が充実している傾向があること、宗教的・文化的な配慮をしている大学が少数であること等を明らかにした。さらに、兵庫県内の二つの大学と大学コンソーシアムを対象とした調査の結果、兵庫県内では、大学コンソーシアムが留学生の防災対策に積極的に取り組んでおり、外部組織との連携が大学の留学生への防災対策に効果的である可能性を指摘した。

  • 桑原 暢子, 牛山 素行
    2025 年23 巻1 号 p. 37-45
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    都道府県や市町村は、大雨警報等の各種の予報等をトリガーとして災害対応体制を段階分けし、災害待機等を行っている。災害対応体制の妥当性を考えるためには、これらの警報等の発表頻度やそれに対する被害の発生状況の把握が必要であるため、熊本県内の大雨注意報・大雨警報・土砂災害警戒情報(以下「大雨警報等」という。)と被害の関係について調査した。

    ある市町村で大雨注意報または大雨警報が発表され、警報等が全て解除されるまでの一連の大雨警報等の発表・解除状況を「大雨警報等発表イベント」とすると、大雨警報等発表イベントは 7 年間に 7,123 件あり、うち注意報止まりが 5,410 件、警報止まりが 1,237 件、土砂警到達が 476 件あった。被害報告は全市町村で 7 年間に延べ 218 回で、うち対応する大雨警報等発表イベントがある回が 215 回、ない回が 3 回あった。

    これらのデータを市町村ごとに対比すると、注意報止まり、警報止まり、土砂警到達と警戒のレベルが上がるにつれ、被害発生率は 1.7%、6.9%、 30.3%と上がり、また被害非発生率は 98.3% 、92.8%、 69.1%と下がり、見逃し率は 0.1%、0.2%、0.6%といずれも低かった。また、大雨警報等がない場合に大雨による被害はなく、注意報止まりイベントにおいても被害が発生する可能性は極めて低いことがわかった。

  • 海老原 将, 梅本 通孝
    2025 年23 巻1 号 p. 47-57
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    近年、救急車の出動件数は年々、増加傾向にあり、将来推計によると、今後は高齢化の進展等の影響もあり、救急需要は益々増大する可能性が高いことが示唆されている。本研究では、地域の保有する限られた救急医療資源の一つである、救急車の効率的な活用を目指し、救急安心センター事業(#7119)のさらなる利用促進を実現させるべく、行政広報の持つ特性を考慮しつつ、戦略的広報モデルを用いた分析を行い、地域での効果的な行政広報へ向けた方策を検討した。

    本研究では、文献資料と事務担当職員へのヒアリング調査を実施し、その結果から仮説を立て、住民を対象にアンケート調査を実施した。その結果、戦略的広報モデルにおいて、多くの人が認知の段階に留まっていることが明らかとなり、最終的な行動変容へと至るためにはモデルの関心惹起フェイズや探索誘導フェイズ、着地点整備フェイズの作用を強化することが必要である。また、関心を惹き起こすために効果的であるとされるのが個別的有用性の向上であり、自身にとって有用であると判断されることが重要となる。そうした個別的有用性を高めるために利用者からの経験談をアンケート調査で提示し、その有効性を確認し、今後の広報施策への新たな知見を得た。

  • 立山 皓基, 大本 航, 杉山 高志
    2025 年23 巻1 号 p. 59-70
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    災害時の適切な避難行動は、個人や地域の生存を左右する大きな要因であり、災害時に適切な避難行動を可能にするためには、実践的な防災教育の経験の蓄積が重要である。特に防災訓練への参加は、将来起こりうる災害への備えとして最も重要な対策の一つであり、津波災害においても同様のことが指摘されている。一方で、防災訓練への参加に関する既往研究は十分に蓄積されているとは言い難い現状である。例えば既往研究では、単発的な訓練を分析したものが多く、訓練を継続的に分析した既往研究であっても訓練参加者の総数を概略的に分析したものがほとんどで、訓練の参加状況を仔細に分析できていない。さらに、これらの既往研究では定量的なアプローチでのみ分析したものが多く、定性的な分析を併用したものは相対的に少ない。そこで本研究では、継続的に収集した個人名ベースの訓練参加状況のデータを量的・質的両面から分析した。これまであまり活用されてこなかった個人名ベースの訓練参加状況のデータを活用することで、住民の属性や地区内での役割、居住地の地理的要因によって研修への参加率が異なることがわかり、訓練を単純に繰り返すだけでは見えてこなかった細かな課題が明らかになった。また、分析対象の住民へのインタビューを組み合わせることで新たな分析の視点を得るだけでなく、質的分析による量的分析の確からしさを検証することができた。

  • -長期的な推移とその特徴-
    西村 太志, 齋藤 さやか
    2025 年23 巻1 号 p. 71-80
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    地震・噴火災害が発生すると、各種メディアにより、地震・噴火発生の要因、被災状況、ライフラインや避難所、生活関連の情報などさまざまな情報が数多く発出される。平常期にも、過去の災害や地域の災害リスクに関する報道を通して、防災行動を促し、将来起こりうる大地震や火山噴火の災害の軽減をはかる。本研究は、このような地震・噴火災害に関する情報がどのようにメディアによって伝えられているかについて、1990 年以降に国内で発生した 8 つの大地震と 4 つの火山噴火を対象とし、長期間にわたる報道量の時間変化を調べた。読売新聞のデータベースを利用し、検索語として地震名あるいは火山噴火名を用いて新聞記事を抽出した。地震・噴火の発生時を起点に数年から数十年にわたる記事の数や文字数を系統的に調べた結果、いずれも、その発生からの経過時間のべき乗に比例することが明らかとなった。これは記事数・文字数の減少にはフラクタル的特徴があることを示唆している。記事数・文字数は概ね経過時間に反比例して減少するが、大きな災害を引き起こした地震や火山噴火ほど記事数・文字数の時間的な減少率は小さく、被害が相対的に小さい場合の減少率は大きいことが明らかとなった。

  • 山川 仁子, 天野 成昭
    2025 年23 巻1 号 p. 81-90
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    スキー場の拡声放送における情報伝達を向上させることを目的とし,音声学と言語心理学の知見に基づいて,聞き取りやすい単語の選定指針を提案した。この選定指針では,雑音に妨害されやすい/k/,/s/,/t/,/h/,/p/等の無声子音の数(難聴取音素数)が少ない単語,および馴染みの程度(単語親密度)が高い単語を選定することを推奨している。この指針の有効性を調べるために,元の単語(原単語)と同じ意味の新しい単語(代替単語)を指針に従って選定し,原単語と代替単語を刺激とする聴取実験を日本語母語話者 26 名と非日本語母語話者 24 名を参加者として,雑音あり条件と雑音なし条件にて行った。その結果,日本語母語話者の雑音あり条件および非日本語母語話者の雑音あり条件と雑音なし条件において,代替単語は原単語に比べて聞き取りやすかった。さらに重回帰分析を用いた解析の結果,日本語母語話者による聞き取りやすさには単語親密度が効果を持ち,非日本語母語話者による聞き取りやすさには難聴取音素数が効果を持つことも明らかになった。以上から,提案した単語の選定指針は日本語母語話者と非日本語母語話者の両者にとって聞き取りやすい単語を選ぶ基準として妥当であり,スキー場の拡声放送の情報伝達の向上に有効であるといえる。

  • 趙 旭青, 梅本 通孝
    2025 年23 巻1 号 p. 91-102
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    本研究では、豪雨災害リスクが高い四川省都江堰市中山間地域コミュニティ住民の避難意向と協働避難意向の向上を目的に、豪雨災害マイタイムラインや協働タイムラインを作成するワークショップ(WS)を開発、実施した。本WS は、地域の豪雨災害リスクや豪雨時に得られる情報と読み解き方の解説、自分自身がとる標準的な防災行動の時系列的な整理を基づくマイタイムラインの作成、地域の住民とコミュニティ担当者による協働タイムラインの作成の3つのセクションで構成された。WS 前後のアンケートデータの比較分析によって、WS 後に住民の災害情報に対する認識が正確になったこと、異なる災害情報に対する避難意向が高まったこと、協働避難意識が高まったことという 3 つの結果が得られた。これらの結果により、開発した WS が地域住民の避難意向や協働避難意識に与える有効性が示され、中山間地域の防災教育における有用な手法であることが明らかになった。

  • 安藤 ゆかり, 紅谷 昇平
    2025 年23 巻1 号 p. 103-113
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    地震対策のため家具転対策の推進は重要である。賃借人は、賃貸借契約で原状回復義務を負い、それが家具転対策を制約する可能性が懸念されるが、これまで学術的に主要論点として研究されてこなかった。本研究では、家具転対策に一定の知識と理解がある防災士にアンケート調査を行い、原状回復義務が、賃借人の家具転対策に与える影響を明らかにすることを目的とした。

    その結果、一部の家具転対策を実施している防災士でも、原状回復義務を負う賃借人要因が背の高い家具の家具転対策を阻んでいることを明らかにした。また、対策をする場合も、原状回復を免れる方法を選択する傾向があった。さらに、賃借人要因により家具転対策の方法が限定される、原状回復義務が免除されれば家具転対策が進む等の意見があった。実際にそれが免除されている公営物件等では家具転対策が促進された事例があった。さらに、大家である防災士の回答から、家具転対策の重要性の理解や、固定方法・設置場所等の許容できる条件が見いだせれば、大家が賃借人の原状回復義務を免除する可能性があることを明らかにした。

    これらの結果は、賃貸住宅の原状回復義務が賃借人の家具転対策の実施状況に影響を与えており、大家に対する重要性の啓発やインセンティブの付与により原状回復義務を免除することで、賃借人の家具転対策が推進できる可能性を示唆している。

  • -葛尾村における帰還世帯を対象とした調査から-
    服部 正幸, 小山 良太
    2025 年23 巻1 号 p. 115-124
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    本稿は、全村避難を経験した東京電力福島第一原子力発電所事故被災自治体である福島県葛尾村における帰還後の単身世帯の実態に注目する。被災後に進行した世帯分離の状況を避難指示区域別に整理した上で、単身世帯における帰還後の暮らしと血縁・地縁関係とのコミュニケーションの実態を把握し、生活保障の実態と課題を検討することを目的とする。この目的を達成するために、2 拠点居住世帯を含む全ての帰還世帯を対象として、面接法による質問票調査およびヒアリング調査を実施し、151 世帯から回答を得た。

    調査の結果、次の 4 点が明らかになった。(1)帰還世帯および単身世帯の居住状況と高齢化の実態。(2)行政区の生活協同機能の低下の実態。また互助的機能において、長い歴史を持つエリアが「血縁・地縁関係から互助・交際の機会を得ている」世帯の割合が最も高く、一方「血縁・地縁関係から互助・交際の機会がない」世帯の割合が最も高いのは歴史が浅いエリアであった。(3)行政区機能が低下し近隣関係も希薄化している中でも、営農再開をきっかけに近隣関係の再構築が促進された。(4)多くの単身世帯では生活再建が進み精神的にも回復したが、孤立単身世帯の 3 世帯では、精神障害に発展しうるケースがみられた。この結果は震災から 10 年以上が経過した帰還後においても精神的問題に発展する可能性を示しており、深刻なこころの問題に至らないための施策や仕組みが求められる。

  • 有吉 恭子, 柴野 将行, 古坂 一正, 越山 健治
    2025 年23 巻1 号 p. 125-136
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    本研究は、令和 6 年能登半島地震時の輪島市を対象に、発災直後の自治体職員の1か月の業務実態を詳細に記録し、災害対応業務種別、時期による推移、業務の実施手法別の業務量について量的に分析することで、初動期対応の組織対応課題を見出すことを目的に行った。

    本研究の結果から、ほとんどの職場で 1 日あたり一人の業務量が過労死ラインを超え、最大で 1 日平均 19.7 時間の班もあった。また内閣府の 17 分類業務を用いて業務形態別に分析した結果、本部運営などの調整系と、避難所運営や物資などの現場対応系業務に分けられ、「本部運営」、「避難所運営」の業務量が相対的に多いことが明らかになった。また「通常業務」の業務量も多く、自治体職員は中盤から後半にかけては通常業務と認識した仕事量が増加していく実態が明らかになった。業務形態別にみると「直接現場対応」「住民電話対応」が多く、「会議(内部)」「会議(外部あり)」が少ない実態が示され、特に災害情報は電話対応に多くの時間が割かれることが観察できた。時系列でみると業務量の偏りは業務別に違いがあることが明らかになった。本研究は 1 か月間に限られるが、業務量が多くなる時期が発災から 10 日までにある「救助・救急」、「避難所運営」、「物資」については、他の業務に比べ早期に応援があったことが示唆される。

  • 佐々木 浩貴, 田中 龍二, 池本 悠華, 待寺 彩香, 松田 哲裕, 竹之内 健介
    2025 年23 巻1 号 p. 137-147
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    近年,地球温暖化などの気候変動の影響により日本各地において豪雨が相次ぎ,水害が頻繁に発生している.しかし,住民の避難行動については課題が残っており,長年十分な改善がみられていない.

    避難指示が出ている状況下で住民が避難しない理由には様々な要因が考えられるが,一つの要因として,避難行動と普段の生活の選択に「葛藤」が発生することによって避難行動が阻害されることが挙げられる.水害時の「葛藤」は逃げ遅れを助長する可能性がある.

    本研究では,地域住民が水害時の様々な状況下における「葛藤」を疑似体験することにより水害時の避難を訓練する環境が必要であると考え,洪水シミュレーションにより対象地域の浸水状況を再現するとともに,地域住民の平時の行動を踏まえた,実際の水害時の「葛藤」を追求した水害時避難訓練支援 WEB アプリ「雨トレ」を住民参加型式で開発した.

    「雨トレ」の住民体験会で得られたデータを分析した結果,実際に葛藤を体験できるツールであること,本ツールが実態としての避難を模した訓練ツールとなりうる可能性が示唆された.

  • -和歌山県内における地域比較から-
    福本 晋悟
    2025 年23 巻1 号 p. 149-159
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/21
    ジャーナル フリー

    東日本大震災以降、各放送局では津波からの住民の避難を“後押し”するため、特にキャスターコメントやアナウンスメントの改善作業を行い、その後の津波警報発表時の災害特番で使用した。また、近年これらの改善策への住民の受け止めについての調査や研究が実施されつつある。

    本研究では、震災後に登場した新たな津波避難キャスターコメントに対する住民の評価と地域傾向を調べるため、和歌山県内の住民を対象としたインターネットアンケートを行った。

    13 市町を津波襲来想定時間で 3 地域に分類し分析したところ、キャスターコメントに対する高評価/低評価は概ね同じ傾向だった。例えば、「今すぐ避難してください」や「今すぐ逃げてください」、「ためらわずに」や「命を守るために」をいずれの地域の住民も高く評価した。

    一方で、統計的に有意な差があるキャスターコメントは、津波襲来想定が「5 分以内の地域(串本町など)」と「46 分の地域(和歌山市)」の間で、「津波避難タワー」などの 4 キャスターコメントに留まった。

    考察として、少なくとも津波避難タワーが存在しない和歌山市への津波襲来時には、当該キャスターコメントを使用する必要性はないだろう。津波襲来まで時間が限られる中、災害特番では使用するキャスターコメントを事前に厳選し、優先順位も検討しておくことが重要である。

feedback
Top