安全教育学研究
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11 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • ― 役割演技法を用いることによる主体的な学習の可能性について ―
    大谷 亮, 橋本 博, 小林 隆, 岡田 和未, 岡野 玲子
    2011 年11 巻1 号 p. 7-24
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2025/09/05
    ジャーナル フリー
    小学校における安全教育を概観すると、高学年児童は入学時からの教育により、交通安全についての正しい知識を既に学習しており、安全教育に対する動機づけが低下しているために、自らが主体となって交通安全についての技量や知識を習得することが難しいと考えられる。この問題を解決するために、筆者らは高学年児童を対象にした安全教育として、役割演技法を用いた教育を実施した。役割演技法による安全教育では、高学年児童が教師役となって、低学年児童に道路の適切な横断方法を教えることとした。この安全教育の後、児童とその保護者を対象にしたアンケート調査を実施して、役割演技法により、交通安全教育に対する児童の態度や他者配慮などの社会的スキルが変容するか否か把握した。また、本教育手法により、適切な道路横断行動が促進されるか否かを把握した。児童を対象にしたアンケート調査の結果、役割演技法による交通安全教育は、高学年の教育に対する動機づけを高め、他者配慮などの社会的スキルを学習するのに有用であることがわかった。しかしながら、保護者を対象にしたアンケート調査の結果から、役割演技法による安全教育を実施しても、児童の日常の横断行動が変容するまでには至らないことが示された。以上の結果より、交通安全教育の実施回数や学習内容などの点から、高学年児童を対象にした安全教育としての役割演技法の有用性と問題点を議論する。
  • 佐藤 健, 村山 良之, 増田 聡, 源栄 正人
    2011 年11 巻1 号 p. 25-40
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2025/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,著者らが実践している地域性が考慮された地震防災教育プログラムについて,地震防災キャンプによる学習前後における児童の災害予防行動の変化に基づいた教育効果を明らかにするとともに,実践した教育プログラムに対する学習指導者による評価,さらには児童の地震防災キャンプへの参加が家庭の地震対策に与えた波及効果の測定により,教育プログラムとしての新規性や有効性,残された課題を明らかにすることである。結果の要点を以下に示す。
    1)児童の災害予防のための行動意欲が学習後において創出されたことから一定の教育効果が確認された。
    2)学習指導者となった学校教員の3分の2から地震防災教育プログラムとしての新規性と有効性があるとの評価結果を得た。
    3)児童の地震防災キャンプへの参加をきっかけとして,特に,「家具転倒・落下物防止対策」の家庭への波及効果が高かったことが確認された。
    以上のことから,著者らが実践している地域性が考慮された地震防災教育プログラムの新規性と有効性,家庭への波及効果が一定程度あることが確認されたが,地域のぜい弱性の改善までの波及効果が少なかったことから残された課題もあり,教育プログラムの高度化の必要性が考えられた。
  • 秋元 秋代司
    2011 年11 巻1 号 p. 41-52
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2025/09/05
    ジャーナル フリー
    学校の運動部活動は日常的に行われ多くの生徒が参加している。しかし運動部活動に関する重大事故が発生しており、事故防止は緊急の課題である。この課題を解決するための理論は、Reason,J.の安全文化の理論と、エルゴノミクスの基本的な考え方である。
    安全文化の中心は「情報に基づく文化」であり、この基礎となるものは、適切な安全情報システムを所有していることである。また、エルゴノミクスは、人間はミスをするということを示しており、安全情報システムはこの観点から構築することが必要である。そして、望ましい危険認識の状態を持続させる最良の方法は、安全情報システムを構築することである。
    はじめに、リーディングケースを4ケース検討した。それらは、運動部活動事故防止に役立つものである。その結果、いずれのケースにおいても、過去の事故事例や事故防止に関する情報が組織のメンバーに共有されていることが重要であることがわかった。また、この情報が望ましい危険認識の状態を持続させる。次に、最近の事故・裁判事例14例を検討した。その結果、次の情報が重要であると考える。それは、事故が多く発生している1年生の事故や指導に関する情報、事故に関する過失の情報、そして事故防止に関する文献情報である。そして、教師がそれらの情報を知っていなければならない。そのためには、安全情報システムが構築されていることが必要である。その理由は、教師はこのシステムによって情報を知るからである。
  • 山本 俊美, 田嶋 八千代
    2011 年11 巻1 号 p. 53-69
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2025/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究では,学校の危機管理力を高めるための校内研修のモデルとして,討論型演習とロールプレイング演習を組み合わせた以下の研修を行い,その効果を検討した。
    1)「危機の洗い出しと評価研修(討論型演習)」では,自校で起こりうる危機を洗い出し,対策の優先順位を話し合った。その結果,教職員の危機に対する感性を高め,危機管理意識を向上させることができた。
    2)「具体的な危機を想定した卓上訓練(討論型演習)」では,危機発生時の組織的対応の在り方を話し合った。その結果,危機発生時の組織的対応を全体としてイメージ化することができ,危機管理マニュアルの見直しや危機管理体制の再構築の必要性に参加者自らが気づくことができた。
    3)「具体的な危機を想定したシミュレーション訓練(ロールプレイング演習)」では,危機発生時の組織的対応をより実践的にシミュレーションした。その結果,危機発生時には冷静に判断し行動することが困難であることが認識され,組織的対応への意識を高めることができた。
    4)「事故発生後のメディア対応演習(ロールプレイング演習)」では,事例に基づいて記者会見をシミュレーションした。その結果,冷静に対応することが難しいことに参加者が気づくとともに,平素からの教育活動を説明責任という視点で考え直す契機となった。
    以上のことから,討論型演習とロールプレイング演習を校内研修に取り入れることで,安全・危機管理に関する研修の有用感や教職員の研修意欲を高め,学校の危機管理力の向上を効果的に図ることができる可能性が示された。
  • 範 衍麗
    2011 年11 巻1 号 p. 71-86
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2025/09/05
    ジャーナル フリー
    幼保育園の保護者を対象とした「ひやり・はっと」体験の調査は家田ら1)2)3)によってなされているが,幼保育園の保育者を対象とした調査はなされていないので,大阪府と奈良県の幼保育園の保育者を対象とした調査の結果を報告する。
    (1)保育室,階段,トイレ・洗面所,ホール・廊下,ドアの順に「ひやり・はっと」体験が多い。(2)保育室では転倒,転落,他児との接触・衝突,けんか,口腔・飲食に関することなどが上げられており,階段では転倒,転落,他児との接触・衝突などがあげられている。(3)トイレ・洗面所では転倒,転落,挟まれる他に,歯ブラシを口に入れて走ったり,つまずいたりする例が報告されている。(4)その他にブランコ,すべり台,鉄棒などの遊具での「ひやり・はっと」体験も報告されている。
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