2012年3月11日、歴史的規模の東日本大震災が発生し、恐怖や喪失体験をした児童生徒の自己再構成を支援するため、今後長期に渡る心のケアに関わる取り組みが求められている。また、児童への個別対応の必要性も指摘されていることから、当該地震の被災体験がもたらした心の状態および経時的な心的反応の変化の様相をケースとして蓄積する必要があると考えられる。
本研究は、学校という同時空で地震や巨大津波襲来の経験をした子ども同士の関わりを、参与観察法によって語りから捉え自己再構成過程を考察した。
調査の結果、属する集団である学校において、震災後学級内で起こったいじめの経験は、仲間や友だちという他者を通し自己の変化を肯定的に捉えさせ、価値や能力を再確認させる作用をもたらしたことが伺われた。また、同時空で体験を共有した者同士の共感と連帯感が構築され、個人の自信の回復と他者とのつながりが深まっていく過程が垣間見られた。すなわち、大人が実施するケアのほかにも、子ども同士の相互作用からも自己効力感が促され自己再構成へ向かうケースが見られたのである。
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