安全教育学研究
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14 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • ― 「備え」に関する重要性の意識と実施状況、及びそれらの関連要因 ―
    西岡 伸紀, 藤岡 達也, 松本 容史子, 丸山 美貴
    2014 年14 巻1 号 p. 3-12
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2025/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:本研究では、養護教諭や保健室の防災に関する役割について検討するために、小学校及び中学校の養護教諭を対象に質問紙調査を行い、様々な役割の重要性に関する意識、各役割の調査年度における実施状況、及びそれらの関連要因について明らかにした。
    方法:調査対象は、北陸地方及び近畿地方の2県の小学校及び中学校の養護教諭とし、412人から回答を得た。調査項目は、防災の準備に関する役割17項目について、重要性に関する意識及び調査年度における実施の有無、防災の校内研修において養護教諭が重要な役割を果たす内容とした。さらに、重要性や実施状況の関連要因として、学校種、勤務校の所在地、発生が懸念される災害、防災の計画やマニュアルの有無、それらにおける養護教諭の役割の明示、養護教諭の教職経験及び勤務校での経験年数について調べた。
    結果:役割の各項目の重要性の意識は高く、「非常に重要」と「ある程度重要」を併せた割合は92.9〜100.0%であった。そのうち、「非常に重要」は23.1〜92.9%を示し、特に割合が高かったのは、医療機関等の緊急連絡先の把握、救急処置体制の整備であり、低かったのは、校内の防災担当部への所属、防災計画等の作成への参加であった。また、各項目の調査年度における実施割合は7.9〜91.5%であり、特に割合が高かったのは、医薬品の管理、救急処置体制の整備、低かったのは、被災後の環境管理方法等の把握、被災後の健康相談の準備であった。役割17項目の重要性の意識と関連する要因については、学校の所在地、発生が懸念される自然災害、防災計画等の有無などが、各々、17項目中1,2項目と有意な関連を示したが、関連の方向は一定ではなかった。一方、防災計画等における養護教諭の役割の明示は4項目と有意な関連があり、役割が明示されている場合に、いずれも重要性が高くなった。実施状況との関連要因についても、役割の明示が役割の3項目と有意に関連し、明示されている場合、いずれの項目も実施率が高かった。役割の明示が重要性や実施状況に関連することが示唆された。
  • 堀 清和, 村上 佳司, 佐藤 健
    2014 年14 巻1 号 p. 13-25
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2025/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、障害を持つ子の防災教育の実態を明らかにするとともにその指導方法について検討することを目的としている。
    方法:2012年11月から2013年2月にかけて、障害を持つ子の保護者を対象に、防災に関するアンケート調査を実施した。保護者70名から回答を得た。また、調査後に、障害者団体に対して追跡ヒアリング調査を実施し、障害を持つ子の指導方法について検討を行った。
    結果:1)障害を持つ子の保護者の半数以上が、わが子の防災教育を十分行っていないことが判明した。2)発達障害などを持つ子の指導方法については、原因と結果をイラストで明示すること、理由を論理的に説明すること、時系列で説明することによって理解度が高まるものと推察できる。
    結論:障害を持つ子の防災教育は質的にも量的にも十分とはいえない。本研究で提示した方法を参考により充実させていかなければならない。
  • ― 自然の災害と恩恵の二面性からの追究―
    佐藤 健, 佐藤 喜代, 戸田 芳雄
    2014 年14 巻1 号 p. 27-37
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2025/08/27
    ジャーナル フリー
    我が国では数多くの優れた防災教育の教材が活用されている。同様に、「稲むらの火」や「津波てんでんこ」の伝承なども、防災教育の題材として用いられてきている。しかし、未曽有の大災害となった東日本大震災の後、防災教育のさらなる高度化が期待されている。本論は、自然の災害と恩恵の二面性に着目した防災教育における新しい教材開発の提案である。題材は、8世紀の古事記や日本書紀に記録された出雲神話としてのスサノオとヤマタノオロチである。その着想の背景は以下に示す通りである。
    (1)ヤマタノオロチの本質は、土石流を伴う河川の洪水を表現しているものと解釈できる。
    (2)スサノオによるヤマタノオロチを退治する物語は、河川の治水と利水により持続可能な出雲の暮らしが実現することを表現しているものと解釈できる。
    以上のような着想から、古事記や日本書紀に記されているスサノオによるヤマタノオロチ退治の出雲神話が、従来の国語や社会などの教科教育における物語の題材としてだけではなく、防災教育の有益な教材と成り得ることについて論じる。
  • 宮田 美恵子
    2014 年14 巻1 号 p. 39-46
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2025/08/27
    ジャーナル フリー
    2004年、奈良県での児童誘拐殺害事件など、児童をめぐる犯罪被害が相次いだことから、子どもの安全確保対策は喫緊の課題となっている。警察庁統計における平成18年刑法犯認知件数は、被害者が小学生の場合23,935件となっており、単純に2013年の18,955件と比較すれば減少傾向が伺えるものの、依然高値を示している。
    こうした状況に対して、地域では市民による防犯活動のほか、学校では生きる力として子どもが自分で自分を守る力の育成を目的とした防犯指導も始まっている。防犯教室は教員によって実施されるほか、警察や警備会社、NPO、ボランティアなどの外部講師が実施している地域もある。しかし、防犯教室における児童への効果や防犯能力の評価データは多くはない。
    そのため本研究では、幼稚園段階で防犯指導の経験・未経験小学1年生(162人男子79名、女子83名)を対象に、およそ1年前の学習の記憶と行動化を観察法によって比較調査した。
    その結果、防犯行動のうち「声をあげる」「防犯ブザーを鳴らす」について、経験者と未経験者では、いずれも行動した子どもの比率に差のあることが示されたのである(p<0.01)。
  • 桜井 愛子, 徳山 英理子, 佐藤 健, 村山 良之
    2014 年14 巻1 号 p. 47-61
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2025/08/27
    ジャーナル フリー
    本論では、東日本大震災の被災地である石巻市において、市立鹿妻小学校の4年生が、大震災発生1年後の2012年度から取組む「復興マップづくり」プログラムの概要と、2年間の活動から明らかにされた成果ならびに課題について報告している。
    「復興マップづくり」プログラムは、4年生の担当教員と筆者らとの綿密な協議と、学習期間中の実践とフィードバックを繰り返して開発された。2013年度は53名の4年生が、総合的な学習の時間のメインテーマとして約50時間を用いて取組んだ。プログラムでは、学区全体を12エリアに分割して、12班のグループに分かれた4年生の児童が、2回のまち歩きを通じて収集した情報を「復興マップ」にまとめ、学校内や地域住民に向けて発表した。
    2013年度に実施された事前アンケートや各まち歩き後のふり返りから、「復興マップづくり」を通じた子どもたちの反応や意識の変化が示された。まち歩きを通じて子どもたちは学区の被災状況を知り、「場所や建物」に加えて「優しい人がいるところ」と、地域を見る目に変化が表れていることが明らかになった。
    また、2年分の復興マップの比較から「危険や不安に思うもの」が減少し、「楽しい、きれい、自慢できる場所やもの」が増えていることが示された。鹿妻小学校区の復興が進展している様子が記録として蓄積されていることが明らかになった。さらに「復興マップづくり」が2年続けて行われ、4年生から5年生、そして3年生へと成果を共有したことにより、学年を超えて学びが継続され、復興の記録が受け継がれていることが確認された。
    その一方で、以下に示す課題が明らかとなった。第一の課題としては、子どもたちが「自分たちの活動が地域の復興や改善に役に立った」と社会的な自己実現を感じられるような機会が十分でないこと。第二には、「復興マップ」の情報を今後の学校での防災教育教材として活用していく具体策を検討すること。第三としては、鹿妻小学校での実践を大震災からの復興をテーマとする学習プログラムとして評価していくことが課題である。さらに、「復興マップづくり」の実践を他地域へと普及可能なプログラムとして発展させるために、引き続き、分析や検討を重ねていく必要がある。
  • ― 石巻市立鹿妻小学校での「復興マップづくり」の実践をふまえて ―
    桜井 愛子, 佐藤 健, 村山 良之, 徳山 英理子
    2014 年14 巻1 号 p. 63-72
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2025/08/27
    ジャーナル フリー
    本稿は、災害復興教育プログラムのひとつとして、筆者等が実践に取り組む石巻市立鹿妻小学校での「復興マップづくり」について、学習指導案の開発経緯とその内容を中心に論じ、災害復興教育プログラムの方向性を明らかにしていくことを試みた。
    本稿での議論を通じて、「復興マップづくり」の特長が示された。その特長は、第一に地域性(自然環境、社会環境、災害による被害状況)を考慮した教育プログラムであること、第二に基本構成にまち歩きとマップづくりワークショップの手法が取り入れられ、小学4年生の総合的な学習の時間を用いて実践されていること、第三に防災研究者と学校教員、教育実践の支援者との協働によって、子どもの発達段階や単元の目標を意識して構成された学習指導案が開発されたことである。
    「復興マップづくり」のこれら3点の特長により、学校と学校以外の関係機関との有機的な連携に基づいたフレームワークの構築が行われ、持続可能な災害復興教育プログラムとして実施される可能性が広がったと言えよう。
    また、鹿妻小学校での「復興マップづくり」は、津波によって大きな被害を受け、それとともに人口も流出し、町内会等の再建が困難である等の地域の状況や子どもたちの心のケアにきめ細かく配慮した内容となった。「自分の命を自分で守る」こと以上に、被災の経験に向き合い、地域に積極的に関わりを持つことを優先課題とし、地域の一員としての誇りと愛情をもつことによって、地域の未来を考えることに重きを置いて設計された。さらに、震災の体験をポジティブにとらえられるよう、まち歩きでの発見ポイントの分類等で工夫を図り、これらは学習指導案の中に明記された。
    「復興マップづくり」の実践から、子どもたちと地域の大人との間に新しいつながりが醸成されていることが示された。災害復興期における復興マップづくりの実践が、震災によって被害を受けた地域と学校との連携を進める一助となることが期待される。そのためには、「復興マップづくり」の実践の継続と、地域の復興の進展や子どもたちの心のケアに配慮しながら、さらに改良していくことが求められている。
  • ― 養護教諭を対象とした調査より ―
    渡邉 正樹, 宮本 香代子, 竹下 君枝, 牛島 三重子, 刈間 理介
    2014 年14 巻1 号 p. 73-80
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2025/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、学校の管理下において、靴の使用が関わって発生する事故の実態を探ることを目的とする。対象は中国地方で行われた研修会に参加した養護教諭であり、学校の管理下で発生した靴に関連した外傷の発生の状況について質問紙調査実施した。調査時期は2013年7月、8月であった。
    有効回答は526人の養護教諭から得られ、前年度に靴が原因となって外傷が発生したという回答が77.3%であった。また外傷の発生状況に関する自由記述から、靴のサイズが合わないことが靴ずれなどの足のトラブルの原因となり、靴の不適切な履き方が転倒などの事故の原因となっていることがわかった。さらに現在も足のトラブルが発生している学校は50%を超えていた。しかし前年度に靴の履き方に関する指導が行われた学校は、集団指導および個別指導も半数を下回った。靴が原因となる外傷を軽減するために、靴の選択や使用法に関して指導を行う機会を増やすことが重要と考えられる。
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