本論では、東日本大震災の被災地である石巻市において、市立鹿妻小学校の4年生が、大震災発生1年後の2012年度から取組む「復興マップづくり」プログラムの概要と、2年間の活動から明らかにされた成果ならびに課題について報告している。
「復興マップづくり」プログラムは、4年生の担当教員と筆者らとの綿密な協議と、学習期間中の実践とフィードバックを繰り返して開発された。2013年度は53名の4年生が、総合的な学習の時間のメインテーマとして約50時間を用いて取組んだ。プログラムでは、学区全体を12エリアに分割して、12班のグループに分かれた4年生の児童が、2回のまち歩きを通じて収集した情報を「復興マップ」にまとめ、学校内や地域住民に向けて発表した。
2013年度に実施された事前アンケートや各まち歩き後のふり返りから、「復興マップづくり」を通じた子どもたちの反応や意識の変化が示された。まち歩きを通じて子どもたちは学区の被災状況を知り、「場所や建物」に加えて「優しい人がいるところ」と、地域を見る目に変化が表れていることが明らかになった。
また、2年分の復興マップの比較から「危険や不安に思うもの」が減少し、「楽しい、きれい、自慢できる場所やもの」が増えていることが示された。鹿妻小学校区の復興が進展している様子が記録として蓄積されていることが明らかになった。さらに「復興マップづくり」が2年続けて行われ、4年生から5年生、そして3年生へと成果を共有したことにより、学年を超えて学びが継続され、復興の記録が受け継がれていることが確認された。
その一方で、以下に示す課題が明らかとなった。第一の課題としては、子どもたちが「自分たちの活動が地域の復興や改善に役に立った」と社会的な自己実現を感じられるような機会が十分でないこと。第二には、「復興マップ」の情報を今後の学校での防災教育教材として活用していく具体策を検討すること。第三としては、鹿妻小学校での実践を大震災からの復興をテーマとする学習プログラムとして評価していくことが課題である。さらに、「復興マップづくり」の実践を他地域へと普及可能なプログラムとして発展させるために、引き続き、分析や検討を重ねていく必要がある。
抄録全体を表示