安全教育学研究
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17 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 尾形 藍, 渡邉 正樹
    2018 年17 巻3 号 p. 1-13
    発行日: 2018/10/31
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル フリー
    近年、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の発展と普及によって、特に若者の間でのSNS利用に関わるリスクテイキング行動が増加している。リスクテイキング行動へのリスク認知は、その行動を回避するかどうかの決定に影響を与えると考えられる。本研究では高校生を対象に、SNSの利用に関するリスクテイキング行動の経験やリスク認知に関する調査を実施した。対象者はWeb調査会社によってモニターとして登録された500名の高校生(250名の男子と250名の女子)であり、有効回答数は480名であった。
    学生の90.2パーセントがSNSの利用を経験していた。また44.4%はリスクテイキング行動の被害を経験し、24.8%は加害の経験者であった。リスクテイキング行動の加害経験者であった高校生は、他の高校生よりもリスク認知が低かった。しかしリスクテイキング行動の被害経験とリスク認知との間には関連がみられなかった。リスク認知と安全なSNS利用に関する知識得点、学習体験、リスク回避可能性の認知との間で、有意な正の相関がみられた。SNS利用におけるリスク回避可能性を高めるためには、知識を獲得するだけでなく、リスクテイキング行動に関するリスク認知を高めることが重要である。
  • ― 辛苦体験克服に向けた競技者の在り方と指導者の役割―
    水谷 幸恵, 櫻井 忠義
    2018 年17 巻3 号 p. 15-31
    発行日: 2018/10/31
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル フリー
    競技スポーツを行う学生が活動に伴って直面する辛苦の状況、及びどのような事柄がその克服のきっかけとなり得たのかについての心的指標を作成して、体験した最大の辛苦による心への影響を検討し、辛苦体験克服に向けた競技者の在り方と指導者の役割についての知見を得ることを研究の目的とした。
    体育系大学に属する学生313名(20.7±1.2歳)を対象に、質問紙法を用いた調査を実施し、競技スポーツ活動における辛苦体験44項目及び克服要因40項目について因子分析を行い、最大の辛苦体験の背景と克服可能性を検討した。
    因子分析の結果、競技スポーツ活動における辛苦体験として「受傷による競技活動への影響」「競技成績不振」「競技生活の中にみられる心的負担」「練習に関わる厳しさ」「人間関係の拙劣さ」「組織内における責任感」の6因子が抽出され、克服要因として「競技意欲・信念」「他者による支援」「思考の切換」「競技継続の意義」「環境の変化」の5因子が抽出された。
    最大の辛苦体験の背景として、その年齢は主に勝利至上志向が強化される高校時代によるものであった。競技レベルの高い選手については「競技生活の中にみられる心的負担」の辛苦体験の程度が強く、「競技意欲・信念」による克服要因の影響度が大きいことが示され、チームを率いる選手については「組織内での責任感」「受傷による競技活動への影響」の辛苦体験の程度が強く、「競技意欲・信念」「他者による支援」「思考の切換」による克服要因の影響度が大きいことが示された。辛苦体験の克服可能性を検討すると、辛苦体験の程度が強いほど克服可能性が低く、克服推進要因が多いほど克服可能性が高まる傾向がみられた。
    辛苦体験を克服体験として将来への糧としてゆくためには、支援する人達の思いを受け止めながら良好な人間関係を構築し、肯定的思考を獲得してゆくという選手自身の持つ立ち直りの力と、技術指導に加えて、選手ひとりひとりに目を向けて、部内の人間関係を調整しながら、選手の気持ちを理解し、支援してゆく指導者の役割が重要である。
  • ― 学校内での負傷予防を目指して ―
    中井 宏, 岡 真裕美, 臼井 伸之介, 森泉 慎吾
    2018 年17 巻3 号 p. 33-46
    発行日: 2018/10/31
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル フリー
    本論文では、特に学校内での児童の負傷予防を目指した安全教育プログラムの実践結果を報告する。目標設定理論や実行意図を理論的背景とし、安全のための具体的な行動目標を、児童自らが設定する点を特徴とする教育プログラム「ひなどり」を開発した。本プログラムでは、児童自らが校内の危険な状況を見つけ、怪我を防ぐための具体的な行動目標をピクトグラムとして描き、掲示する内容であった。64名の小学校4年生を対象とし、総合的な学習の時間を5コマ(225分)利用して、3週間のうちの3日間で実施した。しかし、教育開始前と教育終了後の約1ヶ月間の危険行動の頻度を尋ねたものの、教育後の有意な減少は見られなかった。その一方で、負傷により保健室を訪ねた児童数を分析した結果、4年生においては他学年に比して有意に減少した。考察では、学校外での安全にも目を向けた教育の展開や、他校への普及の可能性について議論した。
  • 森 康成
    2018 年17 巻3 号 p. 47-58
    発行日: 2018/10/31
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル フリー
    日本における震災の語り部活動は比較的新しい考え方である。本稿では、語り部活動を調査し、分析し、そして、語り部がどのように防災教育に寄与するのか提案する。著者は語り部活動が活発な地域を訪問し、語り部に聞き取りをし、防災教育に関する情報を収集した。ここでは、北淡震災記念公園と語り部に焦点を当てた。研究結果から、次の提案をする。
    1.語り部を始める場合、いくつかの要素が必要である。そこに災害があり、それをよく知る人がおり、語り部活動をする場があり、それを聞く児童・生徒がいることである。
    2.語り部の高齢化に対しては、現在の語り部クループが次世代のグループを育成し児童・生徒への語り方を伝授していく必要がある。
    3.語り部は自分の手法やその効果を検証する必要がある。
    4.語り部は他の語り部の話を聞いたり、それぞれの手法を一緒に研修する必要がある。
    5.語り部を開始したい生徒は、まず、自分たちの周りの災害をしっかりと研究し、ある程度の知識を得た後で、語り部に挑戦する。教師は、生徒が知識を得るのに災害について授業で教え、課外活動で指導し、語り部の方法を習得するのを援助する必要がある。
    6.語り部の事務局は来館予定の生徒や学生に災害の事前学習が語り部の話を聞くのに役立つことを知らせるなど情報の交換が必要である。
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